ISGジェネレーション   作:京勇樹

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感想返しは、16日にキャンプから帰ったら行います


トライアド

頭上の三機が降りてきたのを見て、直哉は

 

「カオル、ジュリ、下がってろ」

 

と言った

 

「直哉?」

 

カオルが不思議そうに首を傾げていると、今度は一夏が

 

「こっから先は、俺達(トライアド)の戦いだ」

 

と言った

 

すると、ジュリがカオルに近づいて

 

「カオル様、下がりましょう」

 

と告げた

 

「ジュリ?」

 

「カオル様。ここから先は、彼ら三機蒋……トライアドに任せましょう」

 

ジュリがそう言うとカオルは直哉達に視線を向けてから、ゆっくりと下がった

 

そして、降りてきた三機と直哉達が向き合った直後、六機はバラバラに飛んだ

 

「速い!」

 

その六機の速度は、カオルの予想以上だった

 

特に、直哉達の動きはデタラメと言っていいほどに速かった

 

そこから分かるのは、意志疎通をほとんどアイコンタクトとハンドサインのみで行い、攻撃は直感的

 

だが、お互いの動きを理解し予測し、お互いの死角をカバーしているということ

 

「これが……トライアド……ジェネレーションワールドを生き残ったパイロット達の実力……!」

 

カオルが驚いている間にも、直哉達は縦横無尽に動いていた

 

「ファンネル! お前ら、ファングが来るぞ! 当たるなよぉ!?」

 

「はっ! 誰に言ってんだよ!?」

 

「だよなぁ!? ……TRANSーAM!」

 

一夏が叫んだ直後、一夏の機体が赤く変わった

 

しかも、薄く残像を残しながら先ほどよりも速く動き始めた

 

「さっきよりも速い!」

 

カオルは一夏の機体が劇的に速くなったことに驚き、弾の変化に気づいていなかった

 

弾の場合、機体にはなんら変化は起きていない

 

だが、動きが何時もよりも速く、まるで予知しているかのように相手の攻撃を避けている

 

「あれは……SEEDね」

 

ジュリには覚えが有ったらしく、呟くように言った

 

SEED

 

それは、人なら誰もが持っている進化の可能性の一つである

 

正式名称は長いので割愛させてもらうが、SEEDを発動させることにより、思考速度が劇的に跳ね上がるのだ

 

なお、SEEDを発動させた証拠として、発動した人物は瞳からハイライトが消えるのだ

 

そして、直哉のNT

 

直哉のNTは常時発動型で、通常の人よりも直感力と反射速度

 

更には、感受性が上がる

 

今まではリミッターが有ったので、遅く戦っていた

 

だが、今やそのリミッターという制限は無い

 

だから、背後から襲いかかってきた小型誘導兵装

 

GNファングを見ないで避けて、それだけでなく楯で殴って破壊

 

更には、ビームライフルを横凪に振るいながら二発立て続けに撃ち、ファングを二機破壊

 

一夏と弾もファングを破壊するが、一夏機に対して、巨大な赤い奔流が襲いかかり、そして貫いた

 

「一夏ぁ!」

 

その光景を見て、カオルやピットに居た箒達は叫んだ

 

だが、次の瞬間には、一夏の機体はサラサラと崩れ落ちるように消えた

 

「なっ!?」

 

「まさか……量子化!?」

 

カオルは目を見開き、ピットに居た簪はその現象に驚愕した

 

量子化

 

それは、一夏の機体

 

ダブルオーライザーがTRANSーAMを発動した時にしか使えない、切り札の一つである

 

当然、撃ったアインは撃破したと思ったのと、その現象に固まった

 

だが、それは致命的な隙だった

 

次の瞬間、一夏の機体がアインの後ろに現れて

 

「墜ちろ!」

 

という掛け声と共に振り下ろしたGNソードⅢで、アインを真っ二つに切り裂いた

 

数瞬後、アインは紫電を放ってから爆散した

 

それに怒ったように、ツヴァイがGNバスターソードを振りかざしながら、弾機に突撃した

 

それに先行し、弾機に向かって残ったファングが突撃

 

弾は先に、ファングをビームライフルと楯裏に取り付けられていたビームガンで撃破

 

その爆煙を突き破って、ツヴァイがGNバスターソードを振り上げた

 

次の瞬間、弾はビームライフルと楯を上に投げて、ツヴァイが振り下ろしたGNバスターソードを白刃取りで受け止めた

 

「し、白刃取り!?」

 

カオルは弾がやった妙義に驚愕した

 

タイミングが遅ければ、自分に直撃する

 

だというのに、弾は難なくやってのけた

 

そしてここでツヴァイは、GNバスターソードを放して離れるべきだった

 

だが主兵装だからか、取り返そうと躍起になって両手で引こうとした

 

しかし次の瞬間、両肩にバラエーナプラズマビーム砲が展開された

 

その瞬間、ツヴァイは動きを止めた

 

そして

 

「終わりだ」

 

弾が呟くように言った直後、ツヴァイを二本の極太のビームが貫通

 

爆散した

 

残ったドライは、逃げるためなのか

 

背中のユニットから、大量の赤いGN粒子を放出し始めた

 

「なんだ? アイツ何を?」

 

カオルはドライが何をしようとしているのか分からず、首を傾げた

 

「っ!? レーダーが!?」

 

先に気づいたのは、ジュリだった

 

ジュリはドライが粒子を放出した直後、反射的にあらゆる計器を確認して気づいた

 

ドライが放出した範囲だけでなく、広範囲でレーダーが無効化されていることに

 

「っ! 逃げる気か!」

 

カオルが声を上げた直後、ドライは身を翻して、バリアーの穴へと向かった

 

だが、その背後に直哉機が現れて

 

「逃がすと思うか?」

 

と言いながら、ビームサーベルを一閃

 

背部のユニットを斬り飛ばした

 

そこから立て続けに更に二閃し、両足と右腕を斬り飛ばすと最後に楯で思いっ切り背中を殴りつけ

 

「ハイメガカノン……発射!」

 

楯に内蔵されている最大火力兵装

 

ハイメガカノンを発射し、吹き飛ばした

 

そして、直哉達はアリーナ内を見回すと、残った敵が居ないのを確認して

 

「状況……終了」

 

「機体損傷無し、負傷者無し」

 

「ミッションコンプリート……」

 

と呟いた

 

そして機体を翻すと、カオルとジュリの二人と合流し、全員が待つピットへと向かった

 

こうして、最初の戦いは直哉達の圧勝で幕を下ろした

 

だが、これはほんの序章に過ぎないことを三人はなんとなく予測しており、これから激しい戦いが起きることを覚悟した


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