ISGジェネレーション   作:京勇樹

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新たな力

外に出た一夏は、素早く戦況を把握した

 

(教師IS部隊……残存10……しかも、どれも中破レベル……直哉達は、既に戦闘中……か)

 

 

敵の数は、約30

その中でも、数人がその力を発揮していた

リボンズ・アルマーク、機体はリボーンズ・ガンダム

アリー・アル・サーシェス、ヤークト・アルケー

ラウ・ル・クルーゼ、ニクス・プロヴィデンス

そして、リボンズ・アルマークの部下たるイノベイドが数人

その約10人に、迎撃に出撃した教師IS部隊は半数以上が撃破されていたのだ

更に、要請されて出撃した専用機持ち達

その専用機持ち達も、半数以上が無人機と交戦し手間取っていた

実質、リボンズ・アルマーク達と交戦出来ているのは直哉達のみ

しかし幾ら直哉達といえども、ウルトラエース達約10人相手は劣勢を強いられていた

しかしそれでも、退かない

自分達の背後には、戦う力の無い民間人が居るのだから

そして何より、備えが無い訳ではない

 

『HQより迎撃部隊に通達! 現在、民間人並びに一般生徒の避難状況は約四割! 避難は急がせるが、校舎に対する攻撃を防げ! 死者を出すわけにはいかない!』

 

『了解!!』

 

千冬からの指示を聞いて、迎撃部隊は斉唱で答えた

無人機はどうにかなるが、問題はエース達である

実際、今もまた一人の教師機が撃墜された

 

『レティ!?』

 

『この、テロリスト共が!?』

 

同僚がヤられたからか、一人が激情に駆られてクルーゼ機に突撃していった

 

『よせ、バカが!』

 

それを、弾が蹴り飛ばして瞬間的に翼を分離

スーパードラグーンとして飛ばした

それに追随するように、直哉もフェザーファンネルを射出

そして一夏も、GNソードビットを射出した

それと同時に、サーシェス、クルーゼ、リボンズもそれぞれ、GNファングとドラグーンを射出

総数100に迫る独立機動兵装が戦域に走り、ビームが走った

弾に蹴られた教師は一瞬怒りの表情を浮かべたが、すぐに恐怖に変わった

なにせ、隙間が無い程のビームが自身に迫っていたからだ

しかしそのビームは、間に割って入ったオレンジ色の機体

シャルロットの対BCシールドによって防がれた

防ぎきったシャルロットは、振り向いて

 

『ここは、僕たちが引き受けます! 後退して下さい!』

 

と言った

 

『わかった……すまない』

 

言われた教師は、悔しそうにしながら後退していった

今の自分では、足手まといになると分かったからだろう

そして教師が後退すると、シャルロットは光学式と物理式合わせて、八枚の盾を展開して、眼下に居る民間人や一般生徒に向けられて放たれたビームを全て防いだ

そして光弾が止み、眼下に避難者が居なくなったのを確認してから八枚の盾

ガーデン・カーテンを収納

間を置かずに、高機動パック

リビエールを展開した

それが、彼女の機体に与えられた新たな機能だった

本来だったら、各パックはその度にインストールとアンインストールして切り換える必要がある

その理由が、ISの量子変換容量のキャパシティだった

シャルロットのラファール・リバイヴ・カスタムⅡは普通の機体よりも大容量だった

そこに、彼女自身の高速切換を用いた変則戦法

デザート・デ・ミラージュを用いた臨機応変の戦闘が持ち味だった

それを学習した愛機が、その技量を最大限に発揮するために編み出したのが、更なる大容量化だった

その容量は、数種類のパックをインストールしても相当数の武装を収納出来る程だった

結果、戦闘中にパックを瞬時に切り替えて戦うことが可能となっていた

そして、新しいパック

リビエール

これは、新型バックパックと各所に追加された小型スラスターによる高機動戦闘のために新規開発され、送られてきたパックだった

なお、リビエールという名前の由来は過去のフランス革命の時に平民側に協力した貴族の家名からである

リビエール家は代々、優秀な軍人を多数輩出

その誰もが、高機動戦闘を得意としてきていた

そこから取った名前だった

リビエールを展開したシャルロットは、右手に新規開発されたEセル式レーザーマシンガンを装備

左手には、レーザー刃付の小型盾を装備した

そして、直哉達を攻撃している無人機

ジン・ハイマニューバに突撃

至近距離で、レーザーマシンガンをフルオートで撃った

一発一発の威力は低い

しかし、至近距離のフルオートとなれば話は別

流石に全弾命中とはいかなかったが、ジン・ハイマニューバは胸部と頭を撃ち抜かれて爆散した

そしてシャルロットは、高速変換でマガジンを交換しながら、背後から来ていたジム・クゥエルを盾のレーザー刃で切り裂いた

この時シャルロットは、不思議な感覚を覚えた

 

(なんでだろう……相手の動きが、見える)

 

漠然とだが、相手の行動の先が見えたのだ

そこから体が自然に動き、高速で突撃してきたジン・ハイマニューバの斬撃を回避

頭部を盾で殴って破壊

その直後に、上から来たビームを回避した

そしてシャルロットは、上のジム・クゥエルを撃破しようとレーザーマシンガンを構えたが、その瞬間にはジム・クゥエルは全身をレーザーに撃ち抜かれて爆散した

ジム・クゥエルを撃破したのは、その数を12基に増やしたBT兵器

つまり、セシリアだった

そのセシリアは、両手に持ったレーザー拳銃を使いジム・クゥエル二機を相手にしていた

新しくなったブルーティアーズは、両足装甲内部にレーザー拳銃を一挺ずつ内蔵

その銃身にはレーザー刃が展開されるようになっていて、簡易的に近接戦闘を可能としていた

 

(敵の動きが、わかりますわ……それに、倍になったBTを使ってるのに、動けますわ……)

 

セシリアもまた、漠然と敵の動きが見えていた

だから最小限の動きで回避し、一機のジム・クゥエルの頭を輪切りにした

そして背後からビームサーベルを振りかぶってきていたもう一機は、BT兵器に貫かれて機能を停止

墜落した

計12基に増えたBT兵器

この12基の内、4基がレーザージャベリンとして使えるようになっていた

更に言えば、BT兵器を使いながらの彼女自身による戦闘を完全に出来るようになっていた

これは、彼女の脳波が強くなったのと、機体側がある程度自立化したことが大きい

それにより、彼女の戦闘力は飛躍的に上がっていた

実は二人の機体は、直哉達の機体から流れてきたデータも使っていたのだ

シャルロットの機体は、VとSEED系

セシリアはSEED系とケルディムのデータ

それぞれが流れていた

それにより、二人の機体は今のISの中でもかなり高い性能を獲得することに成功していた

そして二人はアイコンタクトをすると、背中合わせに布陣

両手の武装を乱射しながら複雑に動き始めた

 

(セシリアの動きが……分かる!)

 

(シャルロットさんの動きが、わかりますわ!!)

 

この時、二人は脳波で互いの動きを感じていた

それが二人を、無人MS達と互角

否、優勢に戦わせていた

これが、二人がNTに進化して初めての戦闘になる


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