ISGジェネレーション   作:京勇樹

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行動開始

「何か、作戦は!?」

 

「明日は我が身!」

 

「それダメだろうが!?」

 

一夏からの問い掛けにカオルが答えると、弾が突っ込みを入れた

すると直哉が

 

「だったら、蛇作戦だ!」

 

と言った

それを聞きながら四人は、自分達が入ってきたドアを潜った

それを追うように、大勢の女子達が

 

「追えぇ!」

 

「捕まえて、剥くのよ!」

 

「被写体ゲットぉぉ!!」

 

と叫びながら、廊下を走り去っていった

隅にある四つのダンボールをスルーして

そして、人の気配が無くなったからか

 

「よし、行ったな」

 

とその四つのダンボールの中から、直哉達が姿を現した

直哉達は廊下に来ると、廊下の壁に立て掛けてあった折り畳まれたダンボールを一瞬にして組み立てて、隠れたのである

だから、蛇作戦

伝説の傭兵の真似をしたのである

結果四人は、大量の女子達(ハンター)を遣り過ごすことに成功

誰も居なくなっただろう、アリーナの中に戻った

そこで、時間稼ぎをするつもりだったのだ

そして、四人がある程度入った

その時

 

「全員、散開(ブレイク)!」

 

と直哉が声を上げ、四人は一気に散開した

その直後、四人が居た場所に筒状の物が落下

それから、凄い勢いで煙が吐き出された

 

「スモークグレネードか!?」

 

「だな……って、うお!?」

 

一夏は自身の直感に従い、頭を下げた

その直後、そこを小柄な影が二つ走った

それは、銀と茶髪

 

「ラウラと鈴か!?」

 

「その通りだ!」

 

「その通りよ!」

 

気付いた一夏が名を呼ぶと、着地した鈴とラウラが構えた

もちろん、二人もスーツ姿である

更に一夏の背後に、箒も現れた

そのフォローに、弾が動こうとした

しかしその時、弾はバックステップした

そこに、また一人現れた

それもスーツ姿だったが、弾が間違える訳が無かった

 

「虚さん!?」

 

「私がお嬢様の策に乗せられるのは癪ですが、私が弾君を捕まえますっ」

 

虚はそう言うと、手袋をはめた

それを見て、弾は気付いた

その両手袋の指と指の間に、細い糸が張ってあることに

 

「ちょっ!?」

 

「大丈夫ですよ、弾君……私なら、無傷で捕まえられますから……」

 

虚の言葉を聞いて、弾は一気に動き始めた

捕まらないために

その時カオルは、簪と相対していた

その簪が両手で持っていたのは、小銃だった

 

「それは不味くないか!?」

 

「……大丈夫、シリコン弾だから」

 

簪はそう言うと、その小銃を構えた

それを見てカオルは、不規則に動き始めた

しかし次の瞬間、カオルは嫌な予感がして横に跳んだ

すると、当初行こうとした先に簪の撃ったシリコン弾が着弾した

 

「まさか、進路予測か!?」

 

「……眼鏡のディスプレイに表示させてる」

 

確かに、よく見れば小銃と眼鏡が配線で繋がっていた

どうやら、ISの火器管制(FCS)の進路予測を使っているらしい

そして直哉は、シャルロット、セシリア、セツコの三人に囲まれていた

 

「三人かあ……厳しいなあ」

 

「直哉さん……」

 

「捕まってもらうよ……」

 

「まあ、私はなんとなくですが……」

 

どうやら、セツコはなんとなくで参加しているらしい

セシリアの手には、スナイパーライフルが

シャルロットは腰に大きめのポシェットに、両手にナイフがあった

そしてセツコは、ライオットシールドを持っていた

この状況は、いくら四人でもピンチだった

その時、不意にまた煙が広がって

 

「織斑様、こちらです」

 

と一夏の耳元に、女性の声が聞こえた

それを聞いた一夏は、小さな声で

 

「魚が網に掛かった」

 

と言った

そして煙が晴れると、一夏の姿は無かった

だが、その場に居たメンバーは慌てずに動き始めた

己に課せられた作戦を果すために

そして一夏を地下ロッカールームに案内したのは、あの巻紙だった

 

「どうも、巻紙さん。ですが、知ってます? ここ、今民間の方は立ち入り禁止なんですがね?」

 

一夏がそう言うが、巻紙は無視して

 

「さて、クソガキ……てめぇの機体を貰うぜぇ!」

 

と本性を現した

 

「亡国機業IS実働部隊、スコール隊のオータムか……」

 

「よく知ってるじゃねぇか! てめぇをぶっ殺して、機体を貰うぜぇ!」

 

オータムはそう言って、機体を展開した

それは、可変機構を有する襲撃者の名を冠する機体

 

「レイダーか」

 

「死ねええ!!」

 

オータムは雄叫びを上げながら、初高速砲を撃ち始めた

それが、開戦の合図になった


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