ISGジェネレーション   作:京勇樹

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逃○中

直哉達が来た麻里耶達をもてなしてから、しばらくした時

 

「今の内に、休憩に入るか」

 

と一夏が言った

今一年一組の喫茶店は、予想以上の速度で売れたので売る物が無くなり、臨時買い出しにより一時閉店中である

最低でも一時間は掛かるので、今の内に休憩に入ったほうがいいのだ

 

「だな」

 

「服装は、宣伝も兼ねてこのままでいいか」

 

一夏の提案を聞いて、直哉と弾は同意

外に出ようとした

その時

 

「必殺、人間ミサイル!!」

 

「うごば!?」

 

ドアを開けた一夏の腹に、鈴がまるでミサイルのように突っ込んできた

そして一夏は、完全に予想外だったために直撃を貰って吹っ飛んだ

 

「一夏が死んだ!」

 

「この人でなし!!」

 

「青い槍兵かっての!」

 

弾とカオルの言葉を聞いて、鈴は思わず突っ込みを入れた

そして蹴られた一夏は、完全にうつぶせになっていた

だが、直ぐに起き上がり

 

「いきなりなんだ!?」

 

と鈴に問い掛けた

すると鈴は

 

「あたしに黙って、休憩に入ろうとするからよ! こっちだって、暇なのよ!」

 

と言った

どうやら、相変わらず客が少ないらしい

 

「だからって、蹴るな! 普通に来いよ!」

 

「うっ」

 

一夏のもっともな言葉を聞いて、鈴は苦い表情を浮かべた

蹴ったのは、鈴の素直になれない性格が起因している

箒も気持ちが分かるのか、僅かに頷いている

とりあえず、直哉達はそれぞれ別れて行動することにした

そして一夏は、箒と鈴、ラウラの三人と行動することになり、直哉はシャルロットとセシリア、セツコの三人

弾は、休憩になることが決まると早々に教室から去った

虚と廻るためだろう

カオルはジュリと教室を出たが、途中で簪と合流

一緒に廻るようだ

そして、一夏達は三人の部活(箒は最近幽霊部員だが、剣道部。鈴はチアリーディング部、ラウラは茶道部だった)の出し物を廻った

その後四人はトイレに寄ることになり、一夏は最近ようやく増設された男子トイレから出て、箒達と合流しようとした

その時だった

突如、一夏の前に一人の女性が現れた

スーツを着て、眼鏡を掛けた長い茶髪が特徴の女性だった

その女性は、一夏を見ながら

 

「織斑一夏さんですね? 私は、御剣コーポレーションの巻紙礼子と申します」

 

と言いながら、名刺を一夏に手渡した

一夏はそれを、社会的礼儀として受け取って

 

「その巻紙さんが、何用ですか?」

 

と問い掛けた

すると、巻紙は持っていたカバンから一冊の分厚いパンフレットを取り出して

 

「実は、織斑様には我が社の武装を使って欲しいのです。どうでしょうか?」

 

と様々な武装の一覧表を一夏に見せた

しかし、一夏は

 

「申し訳ないんですが、そういうのは学園を一度通してください。自分の一存では不可能です」

 

と告げた

だが巻紙は、諦めてないらしく

 

「でしたら、せめてこの一覧表だけでも!」

 

と先程見せてきた、パンフレットを差し出してきた

しかし、一夏は首を振り

 

「すいません、人を待たせているので」

 

と言って、離れた

そして、離れたことを確認してから右耳

小型ヘッドセットを、三回叩き

 

「ターゲットδ確認……」

 

と低い声音で告げた

そして、休憩が終わって喫茶店は再開

しばらくした時だった

 

「やっほー、皆ー!」

 

と楯無が現れた

その姿は、何故かメイド服だった

 

「なんで、そんな格好なんですか」

 

と一夏が問い掛けると、楯無は

 

「だって、ここメイド喫茶なんでしょ?」

 

と言いながら、扇子を開いた(扇子には、達筆に愚問と書かれている)

 

「だからって、会長が着る必要はないんでは?」

 

と直哉が問い掛けると、楯無は

 

「だって、生徒会の仕事が忙しくて機会が無いんだもの!」

 

と言った

それを聞いて直哉達が呆れていると、楯無が

 

「それよりも、ちょっと専用機持ち達に要請があるのよ」

 

と言った

そして楯無は、扇子を開きながら(要請と書いてある)

 

「ちょっとばかり、生徒会企画の出し物に協力してほしいのよ」

 

と言った

それを聞いて、カオルが

 

「それ、俺達が聞くメリットあるのか?」

 

と問い掛けた

それに対して、楯無は

 

「そうねぇ……役目を果たしてくれたのなら、生徒会が出来ることを何でも聞く。ってのはどうかしら?」

 

と首を傾げた

それを聞いて、また来ていた鈴とたまたま来ていた簪含めた専用機持ち達は顔を見合わせてから、楯無の要請を受諾した

そして、数十分後

 

「なんか派手だな、このシャツ」

 

「だな」

 

と、直哉達が派手な柄のシャツに着替えて、あるアリーナに居た

すると、そのアリーナのピットに楯無が現れて

 

『それではこれより、生徒会主催の企画を行います! 題して……逃○中!!』

 

と告げた

それを聞いて、直哉達は嫌な予感から顔を見合わせた

考えてみれば、そこには直哉達以外の専用機持ち達が居ない

 

『ルールは簡単! 逃げる彼等を捕まえたら、彼等に命令出来ます! ただし、IS用の武装と殺傷武装の使用は禁止! それ以外は、なんでもあり!』

 

直哉達の嫌な予感を肯定するように、楯無がそう言った

次の瞬間、直哉達を挟む形であった二つのシャッターが開け放たれた

そこに居たのは、黒いスーツを着た他の専用機持ち達を筆頭にした夥しい数の女子達だった

それを見た直後、直哉達は顔を見合わせて直ぐ様反転

その瞬間

 

『では、スタート!!』

 

と楯無が言って、女子達が一斉に走り出した

それと同時に、直哉達も全速力で走り出した

こうして、策は発動した


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