ISGジェネレーション   作:京勇樹

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ホテル2

シャルロット達が多目的ホールに到着すると、そこには既に直哉達は居た

多目的ホールは、ビリヤード、ダーツ、カード等をやる部屋だ

その部屋で、直哉はダーツ

一夏と弾は、ビリヤードに興じていた

すると、ダーツを投げた直哉が気付いて

 

「ほれ、こっちに来いよ」

 

と手招きした

すると、ビリヤードをしていた二人も気付いたらしく顔を向けた

 

「皆さん、そういうのも出来るんですね」

 

「艦での生活が長いと、自然とね」

 

虚の問い掛けに、弾がそう答えた

スピリッツは、活動拠点が極限られている

そのために、艦内多目的部屋には様々な娯楽設備があった

直哉達はそれで、ダーツやビリヤードを覚えたのだ

 

「狭い艦内だと、出来ることは限られるからな」

 

「必然的に、こういう娯楽を覚えたんだ」

 

弾と一夏はそう言うと、ビリヤードボールを集めてケースに納めた

そして直哉は、ダーツ矢をもう1セット取り出した

それを見た女子三人は、シャルロットがダーツの方に

セシリアと虚が、ビリヤード台に向かった

なお、セシリアもダーツに向かいたかったが、経験が無かったのでビリヤードにしたらしい

ビリヤードならば、彼女は自信があったらしい

ダーツでは、直哉とシャルロットが如何に高い点数を得られるかを競い、ビリヤードでは9ボールをしていた

 

「うお、シャル。中々やるな」

 

「ふふん。デュノア社で、暇な時に結構やってたからね」

 

直哉とシャルロットの勝負は、一進一退

 

「うぼあ!? 飛び越えて当てるか!?」

 

「これくらい出来なければ、大会では通用しませんわ」

 

ビリヤードは、セシリアの妙技でセシリアが二人を押していた

虚は、主には観戦

そして大敗した弾を慰めていた

その後六人は、多目的ホールの片隅の机に座り談笑していた

 

「で、オーブはどうだった?」

 

と問い掛けたのは、直哉である

すると、問い掛けられた三人は

 

「平和だなって、思った」

 

「そうですわね……10年前に忘れられた、男女平等」

 

「今の世界は、女尊男卑によって歪んでいます」

 

と答えた

すると、直哉達は頷き

 

「そうだな」

 

「それは、俺達も思っていることだ」

 

「そして何れかは、戦争に繋がると思ってる」

 

と言った

直哉達の言葉を聞いて、女子三人は頷いた

それは、オーブと今の世界各国を比べれば一目瞭然だからだ

しかし、世の殆どの女性がそれを良しとしている

それは何故か

ISという、強大な力に酔っているからに他ならない

ISの台頭で、今までの近代兵器は一気に不要とされた

それが、女尊男卑を後押ししている

そして、それに乗る女性権利主義者達

その女性権利主義者達により、数多くの優秀な男性達が表舞台から引きずり下ろされ、路頭にさ迷うことになった

勿論だが、世の女性の全てが女性権利主義者ではない

中には、男性の権利を主張してくれる女性達も少なからず居る

だが、そういった女性達も女性権利主義者によって淘汰される例も少なからずあった

 

「このオーブにはな、男性の権利を主張し淘汰されて、国を棄てた人が少なからず居るんだ」

 

「そして、自分の国に居られなくなった男性もな」

 

「だから、様々な人種が居るんだ」

 

直哉達のその説明を聞いて、女子三人は納得した

オーブの人種の幅広さに

 

「更に言えば、オーブは最後の楽園なんだそうだ」

 

「女尊男卑の世界で、唯一の男女平等」

 

「正しく、最後の楽園だな」

 

最後の楽園

確かに、今の女尊男卑に染まった世の中で、オーブは唯一の男女平等(空白地帯)である

そこは正に、女尊男卑に馴染めない人達の最後の楽園である

 

「しかし、IS以上の兵器は……」

 

とセシリアが言った

その時

 

「MS」

 

と直哉が言った

そして、立て続けに

 

「MSは、男女関係ないし、数多くがISとは比較にならない性能を有してる」

 

と言った

それを聞いて、女子三人は納得した

実際、直哉達の機体は圧倒的な性能を有している

その性能は、既存のISでは歯牙にも掛けられないだろう

更に言えば、量産型機体でもビーム兵器を標準装備している機体はISでも撃破されるのは予想出来る

 

「そして一番の違い……それが、パイロットだ」

 

「ISパイロットの殆どが、ISの力を頼りにし過ぎている」

 

「中には千冬さんや山田先生みたいに腕の良い人達も居るが、それは数少ない」

 

確かに

技量を磨いているのは、大会にでる選手が大半である

軍に所属しているのは、以前のラウラのような性能に頼った戦い方をしている輩が多い

だが、MSの方は個人技量

そして、連携が重要視される

だから、パイロットの質もMSパイロットの方が高い

特に、エースパイロットと呼ばれるパイロット達

彼等レベルは、千冬ですら敵わないだろう

それほどまでに、隔絶的差がある

 

「まさか、このオーブもMSを?」

 

「さてな」

 

シャルロットの問い掛けに、直哉は肩を竦めた

実際は配備されているが、秘匿されている

そして今の直哉達は、オーブに雇われている

だから、言うわけがない

傭兵とはいえ、直哉達も兵隊だ

雇われている軍の秘匿情報を、漏らすわけがない

 

「さてと、そろそろ部屋に戻って休むか」

 

と言って、直哉は立ち上がった

時計を見れば、夜11時を少し過ぎていた

 

「あ、お風呂入らないと」

 

と言ったのは、シャルロットだ

やはり、年頃だからだろう

一日たりとも、風呂に入らないという選択肢はないのだ

 

「んじゃ、解散だな」

 

弾のその言葉を最後に、全員は部屋に戻ったのだった


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