ISGジェネレーション   作:京勇樹

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今回は、ちょっと短いですが


調査と確認

秘匿ドックから去った後、直哉はジュリと会っていた

その理由は、六華に関する情報を聞きにきたのだ

ジュリは、直哉に茶封筒を渡した

 

「頼まれた情報よ」

 

「すまんな、個人的な頼みを」

 

直哉がそう言うと、ジュリは

 

「妹に関することだから、仕方ないわよ」

 

と言った

そして直哉は、封筒を開けて中から書類を出した

その書類には、確かに神崎六華はオーブの一つの孤児院に居た

と書かれていた

しかしその孤児院は、火災事故が起きて崩壊

全員死亡となっていた

 

「そっちが、表向きの物ね……もう一枚よ」

 

ジュリに言われて、直哉はもう一枚に目を通した

件の孤児院経営者は、かなり前から怪しいとされていた

人身売買組織に加担しているとされ、火災事故が起きる半年ほど前から調査していた

しかし突入する前日に、火災が発生

経営者含めた五人の遺体が発見されるが、数人行方不明

と書かれていた

その行方不明の一人が、六華だった

それを見て直哉が目を細めていると、ジュリが

 

「三枚目を見て」

 

と促した

言われて直哉は、最後の一枚を見た

日付は、火災事故が起きてから約一年後だった

件の人身売買組織は、内紛地域に子供を売りさばき、少年兵として使わせていたらしい

その人身売買組織は、空挺部隊により壊滅させられた

その後の捜査により、その人身売買組織の売った先の一つに亡国機業があったらしい

そこに売られたのが、名前は分からないが女の子だと分かったらしい

可能性としては低いが、今も亡国機業で生きている可能性があるらしい

 

「亡国機業にか……」

 

直哉はそう言うと、ジュリに視線を向けて

 

「ダリルさんは?」

 

と問い掛けた

するとジュリは

 

「たまたま、こっちに来ているわ。連絡してみるわね」

 

と言って、部屋から出た

それを直哉は見送り、一人待った

それから、十数分後

 

「呼んだと聞いたが」

 

とダリルが現れた

ダリルが入ってくると、直哉は出迎えた

 

「すいません、お呼びだてして」

 

「いや、構わないが。どうした?」

 

ダリルが問い掛けると、直哉は

 

「実は、一つ聞きたいことがありまして……」

 

と言って、僅かに俯いた

すると、ダリルが

 

「何かあったのか?」

 

と首を傾げた

 

「まあ、そうですね……一つ聞きますが、亡国機業に俺と同い年の日本人少女は居ませんでしたか?」

 

直哉がそう問い掛けると、ダリルは僅かに眉を動かしてから

 

「アタシが知る限り、二人居たな」

 

と言った

 

「一人は、Mって呼ばれていたな。かなり小柄な奴で、叔母さんの部隊に居た」

 

「もう一人は?」

 

直哉がそう問い掛けると、ダリルは少し思い出すような感じで

 

「確か……IS学園に潜入している筈だ……コードネームはR……日本代表候補生の一人になってた筈だ」

 

と言った

 

「日本に居る!? しかも、IS学園に!?」

 

ダリルの話を聞いて、直哉は驚愕した

まさか、すぐ間近に居るとは予想していなかったからだ

 

「何かあったのか?」

 

「……もしかしたら、そのどちらかが……俺の妹かもしれないんです」

 

直哉の話を聞いて、ダリルは驚いた表情を浮かべた

そして、直哉が椅子に座り額に手を当てていると、ダリルが近寄り

 

「お前さん。妹が居たのか」

 

と言った

すると直哉は

 

「俺も、最近まで知らなかったんだ……母さんからのビデオメッセージを見て、初めて知ったんだ」

 

と言った

するとダリルが

 

「母さん……もしかして、神崎百合か?」

 

と問い掛けた

すると直哉は、視線をダリルに向けて

 

「知ってるんですか?」

 

と問い掛けた

するとダリルは

 

「ああ……アタシの機体の改良をしてくれた人だ」

 

と言った

ダリルの機体

ヘルハウンドver2.8

それの改良をしたらしい

 

「あの人、凄かったぜ。確かに、天才だろうな」

 

「母さんが……」

 

ダリルは話しながら、ISの待機形態を見せた

その表情から、ダリルは百合を頼りにしていることが分かった

 

「ただ、百合さんは確か……ここ三年は幽閉されているらしい……なんでも、組織に対する反逆罪だとか」

 

「母さん……もしかして、父さんもか……」

 

父親の方は、顔は分からない

だが、父親たる神崎直隆は量子力学の学者らしい

だからもしかしたら、父親も幽閉されているかもしれない

 

「お前さん……大変なんだな」

 

「そういう運命なんでしょうね……だったら俺は、俺の命と引き換えにしてでも、両親と妹を解放させてみせます」

 

直哉がそう言うと、ダリルが

 

「死ぬな」

 

と言って、直哉の顔の両側を掴んだ

そして、目線を合わせて

 

「アタシだって、テロ組織に居た……人だって殺したことがある……数じゃあ、お前らに遠く及ばないがな……だけど死んだら、関わった奴等が悲しむだろうが」

 

と喋った

そして、直哉が何かを言う前に

 

「アタシはお前らと会ってからは短いが、お前さんのことは気に入っているんだ……だから、生きろ」

 

と言った

それを聞いて、直哉は内心で

 

(対人関係と親子関係は、ガンダム乗りの宿命かもしれんな……)

 

と思ったのだった


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