ISGジェネレーション   作:京勇樹

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真実と選択

『これを見てるってことは、花月荘に来たってことだよね……直哉』

 

と言ったのは、画面に映っている女性だった

 

『私の名前は、神崎百合。旧姓の村雨の方が有名かな』

 

その言葉を聞いて、直哉は携帯を取り出した

そして、村雨百合で検索

出た結果を見て、直哉は驚愕した

村雨百合

15歳でMITにて機械工学博士号を得た天才

現在、行方不明

と出たからだ

 

『私と直隆さんはアメリカで出会い、そして、直哉と六華が産まれた……』

 

直哉は更に、直隆で検索

そして出たのは

桐生直隆

22歳で量子力学の博士号をMITにて獲得

量子力学の分野では、新進気鋭の学者

現在、行方不明

と出た

もしかしたら違うかもしれないが、可能性が高い

 

『産まれた後から、私達はある組織に追われてることに気づいた……そいつらから逃げるために、私達は世界中を回った……だけど、とうとう逃げられなくなったの……だから私達は、直哉と六華を巻き込まないために二人をそれぞれ、別の国の孤児院に預けることにしたの……』

 

そう語る百合の顔は、何処か辛そうで、悲しそうだった

そして百合は、涙を流しながら

 

『こんなことを頼むのは、身勝手だってわかってる……けどお願い……私達を許さなくてもいい……憎んでくれても構わない……だけど、六華を……亡国機業から守って……六華が居るヒントは、オーブ……じゃあね、直哉……』

 

それを最後に、映像は途切れた

すると直哉は、携帯を操作して

 

「こんな時間にすいません。実は、少し調べてほしいことが有るんです……」

 

と電話を掛けた

そして、翌日

 

「一夏、居るかぁ?」

 

と直哉は、織斑家を訪ねた

 

「おーう!」

 

「お前は何処ぞの大工か」

 

一夏が居たのは、屋根の上だった

一夏は頭にタオルを巻き、腰にベルトを巻いて活動していた

それはまるで、本業の大工のようだった

 

「進捗はどうだ?」

 

「大分終わったな。明日には終わる」

 

直哉が問い掛けると、一夏はそう答えた

そして、脚立で降りてくると

 

「何かあったか?」

 

「近々、オーブに行きたいんだ」

 

一夏が問い掛けると、直哉はそう言った

すると一夏も

 

「まあ、どうせ行くつもりだったしな」

 

と言った

そして中に入ると

 

「ちょっと待ってな。着替えてくるから」

 

と言って、自分の部屋に向かった

そして着替えて降りてくると、二人で五反田食堂に向かった

五反田食堂とは、弾の家

五反田家が家族で経営してる定食屋だ

五反田食堂は出される早さと味が好評で、最近は更に好評を泊している

そして中に入ると

 

「いらっしゃいませ……って一夏さん!」

 

最初に迎えたのは、弾の妹

五反田蘭だ

一夏に恋する乙女である

 

「よ、繁盛してるな」

 

「はい! なんか、お兄の腕が買われてるみたいで」

 

蘭と一緒に入ると、一夏と直哉は

 

「業火野菜炒め定食お願いします!」

 

「俺もです!」

 

と注文した

業火野菜炒め定食

それは、五反田食堂では鉄板メニューの一つである

その名の通り、強力な火力で一気に炒めるのだ

すると奥から

 

「あいよ!」

 

「おうよ!」

 

と弾と弾の祖父

五反田厳の声が聞こえた

五反田厳

現在母子家庭の五反田家の大黒柱的存在で、五反田食堂の料理長である

厳は蘭を溺愛していて、蘭のお願いなら大抵は聞いてしまう程だ

逆に弾に対する当たりは強かったが、最近は鳴りを潜めているらしい

そして、数分後

 

「弾! お前も休め!」

 

「あいよー」

 

と聞こえた

すると、弾と弾と蘭の母親

五反田蓮が、お盆を運んできた

 

「あいよ、業火野菜炒め定食」

 

弾はそう言いながら、両手で持っていたお盆を一夏と直哉の前に置いた

そして蓮が、弾の前にお盆を置いて

 

「ごゆっくりー」

 

と言って、離れた

すると、蘭がカボチャ煮定食を持って現れた

カボチャ煮定食

これもまた五反田食堂の鉄板メニューの一つだが、とにかく甘い

ちょっと砂糖入れすぎでは、と言いたいレベルである

そして、一夏の隣の席に座り

 

「一夏さん……確か、お兄や直哉さんと同じで、IS学園に行ってるんですよね?」

 

と一夏に問い掛けた

すると一夏は、野菜炒めを一口食べてから

 

「まあ、居るな」

 

と肯定した

すると蘭が

 

「実は私、来年にIS学園に行こうかと思ってます」

 

と言った

すると直哉が

 

「蘭ちゃん、確かに成績は良かった筈だけど、ISの適性は?」

 

と問い掛けた

すると蘭は、ポケットから一枚の紙を取り出して

 

「どうぞ」

 

と三人に見えるように置いた

その紙には

 

《五反田蘭 IS適性Aランク》

 

と書かれていた

それは、政府が一年に一度無料で行っているIS適性検査だった

Aランクとなれば、代表候補生に選ばれるレベルである

 

「これで、IS学園に入るのには問題はありません」

 

腕組みしながら、蘭はそう言った

すると、弾が

 

「蘭……悪いことは言わない。もし、一夏を追い掛けてなら止めとけ」

 

と言った

その直後、厨房から飛んできた物を弾は指で挟んで止めた

そして、飛んできた物

お玉をくるりと回して

 

「ジイちゃん! 料理人の道具を投げるなよ!」

 

と言って、蓮に渡した

すると蘭が

 

「お兄には関係ないじゃん。私の進路だよ?」

 

と言った

すると一夏が

 

「じゃあさ、蘭ちゃん……戦場に出る覚悟はあるのか?」

 

と問い掛けた

すると蘭は

 

「ISは、アラスカ条約で戦闘に使えないですよ」

 

と言った

すると今度は、直哉が

 

「表向きはな。だったらなぜ、各国の軍にISが配備されている?」

 

と言った

すると、蓮が

 

「あー、やっぱりねぇ」

 

と言った

 

「お母さん?」

 

「千冬ちゃんに聞いたのよ。アラスカ条約なんて、建前に過ぎない。戦争が始まったら、真っ先に破棄されるって」

 

蘭が顔を向けると、蓮はそう言った

そして一夏が

 

「実際、俺達も戦闘をやったし、俺達三人は死にかけた」

 

と言った

すると蓮が、弾に知らなかったという感じに視線を向けた

だが弾は、どうやら無言を通すらしい

そして一夏が

 

「戦場に出る覚悟があるなら、迎えるし、出来るだけ鍛える。だが覚悟が無いなら、IS学園には入るなよ」

 

と言った

その後直哉達は、何気無い会話をしながら手話で会話

オーブに向かうことにした


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