ISGジェネレーション   作:京勇樹

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なんとか、一話に纏めた……


平和への祈り

「まあ、見たから分かると思うが俺が負傷した後に刹那がリボンズを撃破して終結」

 

「当時の連邦政府は一度解体されて、新しい政権が発足した」

 

「もちろん、アロウズは解体されてな」

 

三人がそう言うと、この戦闘後のことが簡易表示された

新しい政権は融和政策を第一にし、交渉部門の設立

それに並行し、軍縮を行った

これは、アロウズの蛮行を知った民意に考慮してらしい

 

「俺の治療と機体の修理をしている間に、一つ依頼があったらしい」

 

「俺達はエウクレイデスで待機してたがな」

 

直哉の後に、一夏がそう言った

その依頼は、A・G世界からだった

その世界では、未知の敵勢力に地球連邦軍は敗北を重ねていた

依頼してきたのは、一人の艦長だった

要塞攻略戦への参加要請で、スピリッツからはキャリーベースを使ってフェニックス隊とヴァルキリー隊が向かった

そして、直哉の治療が終わりキャリーベースが帰ってきた直後に、西暦世界から三度依頼が来た

依頼主は、ソレスタルビーイングと連邦双方から

依頼内容は、未知の金属生命体との戦闘への共闘だった

そこでスピリッツは、トライアド、ジェミニ、リトル隊をソレスタルビーイングへ

他は連邦軍の方に向かった

そして事は、すぐに起きた

 

「金属生命体、通称ELSに対して、連邦軍は接触を図った」

 

「だが、連邦軍艦隊は壊滅。俺達が到着した時には生き残りは一人だけだった」

 

一夏と弾がそう言うと、映像が始まった

艦隊の姿はなく、一ヶ所にELSが集まっていた

 

『俺の声が聞こえるか!? 逃げろ! 逃げるんだ!』

 

『があぁぁぁあ!?』

 

刹那が逃げるように促すが、その絶叫を最後に通信は途切れた

その直後、ELSが一気に襲いかかってきた

 

『ガンダム各機は接触しないように交戦!』

 

『了解!』

 

刹那の指示に従い、全機は格闘戦闘を避けて交戦を開始した

だが、ELSの数が多すぎた

ELSは単純に突撃してくるのみ

だというのに、その数が膨大で回避すら大変だった

その時

 

『ガンダム各機、攻撃停止! 離脱しろ! ライザーシステムを使って対話を試みる!』

 

と刹那から通信がきた

それを聞いて、他は一時離れた

すると、刹那は

 

『何のために来た! 答えろぉ!』

 

と言った

その直後、GN粒子がELSが居る場所に広がった

 

『ELSと対話するつもりか』

 

と言ったのは、ティエリアだった

ティエリアは前の戦いで死亡したが、ヴェーダと意識を同調させたことで新しい肉体があればその肉体に意識を写して活動することも出来る

そして今回は、刹那を守るために来たらしい

その時だった

ELSが00ライザーに接触、浸食した

それと同時に、刹那の絶叫が響き渡った

ELSから送られる情報量が多すぎて、脳が耐えられなかったのだ

ELSは徐々に浸食していき、00ライザーからGN粒子が無くなった

今の00ライザーは、GNドライヴを失いGNコンデンサーを取り付けた急場凌ぎの状態だった

そのコンデンサー内のGN粒子が尽きたのだ

離れていた他のガンダムや直哉達は、刹那の救助に動いた

だがELSの数が多く、自分達の防衛で精一杯だった

その時、ティエリアが動いた

ELSが脳量子波に引かれるという習性を利用し、自分を囮にしたのだ

刹那を失うわけにはいかないと

納得したわけではなく、全員はティエリアの意思を尊重し、刹那の居るコクピットブロックを確保し、離脱を開始した

そしてティエリアは、疑似GNドライヴのTRANSーAMを起動させて、自爆した

だが、生き残ったELSが追撃してきた

それを引き寄せるために、アレルヤとマリーが乗ったハルート

更に、直哉達は転進

ELSを引き付けつつ、迎撃していった

しかし、ミサイルやグレネードはELSに吸収されて、ELSがその機能を有することになるから使えなかった

更に、直哉達に向かわなかったELSが、ロックオンのガンダム

ザバーニャに接近

もうすぐで、浸食されるという時

援軍が現れた

それは、連邦軍試験機部隊

ソルブレイブスだった

ソルブレイブスは高い技量と連携で、ELSを次々と撃破していく

そのソルブレイブスの隊長は、連邦軍に帰属したグラハムだった

グラハムは刹那の言葉で、生きるために戦うことを決意

今回は、壊滅した艦隊を助けるために急行してきていたのだ

ソルブレイブス隊の援護もあり、全機は無事に離脱

刹那は、医療カプセルに入れられた

その時だった

新たなELSの群れが現れたのだ

それも、一番大きいのは月と同サイズのELSが

現れた場所は、木星

そこから地球まで、約三ヶ月

約三ヶ月後の決戦で、人類の未来が決まる

滅びるのか、繁栄か

二者択一

その鍵は、間違いなく刹那だった

そして、三ヶ月後

連邦軍は、展開出来る全軍を展開

戦闘は始まった

戦力差は、約一万対一

最悪と言えた

だがそれでも、逃げる者は居なかった

愛する者達を守るために

力なき人々を守るために、戦士達は突撃した

最初は優勢だった

だがある時、小型のELSが集まりMSの姿になった

今までは、数任せの突撃だけだった

しかし、MSの姿になったことで戦況は一気に悪くなった

そこに、ソルブレイブス隊

更に、プトレマイオス隊と直哉達が突入した

刹那はまだ、目覚めていない

だが彼等は、諦めていなかった

勝機など、無い

だが、希望があった

そして、刹那は目覚めた

その間に、多くの戦士達が倒れた

 

『トライアド隊! 刹那機をあの超大型ELSまで送り届けろ!』

 

『了解!』

 

エイブラムの指示を聞いて、直哉達は月ELSへ向かう刹那機

00クァンタの護衛に就いた

対話の為の機体

00クァンタを、希望の機体を行かせるために

その途中で、刹那をグラハムが助けた

 

『生きるために戦えと言ったのは、君の筈だ! 例え矛盾を孕んでも戦い続ける! それこそが、生きることだと!』

 

グラハムはそう言うと、道を切り開いた

その道を通り、刹那は月ELSへ向かう

人々の希望をその背に背負って

中に入るために、一夏がTRANSーAMのライザーソードで切り開こうとした

だが、ELSはビームを屈折させて無力化した

その時、再びグラハム機が現れた

だがグラハム機は、半ば近くまでELSに浸食されていた

だがそれでも、止まらなかった

 

『少年! 未来への水先案内人は、この、グラハム・エーカーが引き受けた! だが、これは死ではない! これは、人類が生きるための!!』

 

グラハムはそう言いながら、月ELSの隙間に機体を突撃させて、自爆した

 

『エーカー少佐!』

 

『刹那、行け!』

 

刹那は、グラハムが空けた穴から月ELSの中に突入した

それを見送ると、直哉達はすぐに防衛線まで後退

地球に向かうELSを次々と撃破していった

 

『最後まで、諦めてたまるかよ!』

 

『その通り! 俺達は、ソレスタルビーイング!』

 

『切り開くんだ! 未来を! 明日を!』

 

『守り通すんだ!』

 

『世界を!』

 

『人々を!』

 

ロックオン、アレルヤ、マリーに続いて、直哉達がそう言った

すると、三人が

 

「やべぇ、勢いで言ったとはいえ、恥ずい」

 

「忘れろー!」

 

「今すぐ、忘れろー!」

 

と言った

それはさておき、戦いは続いた

連邦軍の戦力は、最早壊滅状態

プトレマイオスも、三割以上がELSに浸食された

ハルートも、撃破された

ザバーニャも片腕を失ったが、まだ戦う

スピリッツも、一人が死んだ

ブラッド

一人で戦うことを好み、この戦場でも突出してしまった

そこを、ELSの群れに浸食されて死んだ

この時、刹那は中でELSと対話していた

ELSは、母星が滅びに瀕していた

そして滅びを回避するために、旅を続けていたのだ

浸食

融合してきていたのは、分かり合うためだった

そして攻撃してきたのは、ELSがそれを人類の挨拶だと勘違いしたからだった

すれ違い、戦うことになってしまった

たった、それだけなのだ

脳量子波に引かれていたのは、ELSはそれで会話していたからだ

刹那はそれを理解した

そして刹那は、世界を救うためにELSの母星に向かった

GN粒子を使ったワープで

その瞬間、二つのOが戦場に広がった

その直後、ELSが突如として行動を変えた

攻撃を止め、一ヶ所に集まった

そして人々が見たのは、宇宙に咲く一輪の花だった

刹那の、平和への願いを理解した月ELSがその見た目を変えたのだった

これが、西暦世界での最後の戦いだった

 


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