ISGジェネレーション   作:京勇樹

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第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦1

「一時撤退し、俺達は補給と整備を開始」

 

「この次が、ヤキンでの最後の戦いになると踏んだからな」

 

「そして、戦いは始まった」

 

三人がそう言うと、映像は始まった

場所はまた、ヤキン・ドゥーエ宙域

三隻同盟の進む先では、激しく銃火が飛び交っている

既に、戦端は開かれているようだ

 

『平和を願いながら、銃を手に取る……それもまた、愚かな選択なのかもしれません……ですが、この戦争を断ち切る力を!』

 

ラクスのその言葉を合図に、各母艦から次々とMSが出撃していく

そして

 

『ミーティア、リフトオフ!』

 

エターナル艦首に装着されていたミーティアが、エターナルから分離

ゆっくりと展開し、フリーダムとジャスティスに合体した

その直後、フリーダムとジャスティスは凄まじい速度で行動を開始

僅かに遅れて、三隻同盟MS隊とスピリッツも戦域に突入した

連合は月基地から補給を受けたらしく、戦力は以前よりも増えていた

それは勿論、核ミサイル部隊もだ

核ミサイル部隊は、相変わらずメビウス部隊

しかし、その数が正しく異常だった

前回のは、中隊規模で侵攻、攻撃してきた

それが今回は、大隊規模に膨らんでいる

それも、多段規模で投入している

恐らく、ドミニオンのムルタ・アズラエルが躍起になったのだろう

その結果、新規も含めた核ミサイルを急遽送った

恐らく、任官繰り上げ新兵も含めて

でなければ、MS大隊による護衛を付けるものか

そして、核ミサイルは放たれた

狙いは、プラント

ヤキン・ドゥーエではない

 

『例え一発だろうが、通すな!!』

 

『了解!』

 

スピリッツはマークの指示に従い、一斉に牙を剥いた

MS隊を蹂躙し、核ミサイル装備メビウス部隊を撃滅していく

もし発射されても、絶技により無力化した

弾頭のみを切り裂くという方法で

そして動きを止めたMS隊は、瞬く間に全滅

スピリッツは部隊毎に別れて、行動を開始

核部隊を無力化しながら、ジェネシスに向かう

その道中で、ザフトが攻撃してくるが

 

『すまん』

 

弾は一言謝ると、切り捨てた

その時だった

ジェネシスが、動き出した

 

『ジェネシスが、動いた!?』

 

『何処を狙ってるんだ!?』

 

とスピリッツの誰かが言った直後に、ジェネシスが発射された

 

『発射角から、狙われたのは……地球連合軍の月基地です!』

 

とアークエンジェルのオペレーター

ミリアリア・ハウが言った

その一射により、月基地は跡形もなく吹き飛んだ

それだけでなく、応援として向かっていた戦力もその大半が消滅した

しかもジェネシスはそれで止まらず、三発目の準備に入った

 

『これ以上撃たせるな! 地球を撃たれたら、終わりだぞ!?』

 

ゼノンがそう言うと、三隻同盟とスピリッツはジェネシスを最優先目標にした

実はこの時、ジェネシスの目標は地球に設定されていた

場所は、アメリカのワシントン

そしてもし、ジェネシスが地球に当たればどうなるか

試算では、約半数の動植物が死に絶えると出た

そんなことさせないと、三隻同盟とスピリッツは奮闘した

その甲斐あり、エターナルとクサナギはジェネシスに接近

砲撃した

しかし、二隻の砲撃はジェネシスの表面で弾かれた

 

『PS装甲!?』

 

『厄介な!』

 

PS装甲は本来ならば、ビームには弱い

だが、ジェネシスの巨大さと、MSとは比較にならない出力の高さ

それらにより、ビームですら効かなくなっていたのだ

そうなると、外側から破壊するのは実質不可能だ

それに気付いたのか、アスランはミーティアを解除

ヤキン・ドゥーエに向かい始めた

その後にカガリが搭乗したストライク・ルージュが続く

その護衛に、二機のアストレイが続いた

すると、直哉が

 

『弾、キラの援護につけ! 俺達はアスラン達の護衛に行く!』

 

『了解!』

 

直哉の指示を聞いて、弾はキラの援護に向かった

そして直哉と一夏は、アスラン達に続いた

 

『もう止めるんだ! 本当に滅ぼしたいのか! 全てを!』

 

『奴等が先に撃ったのだ!』

 

『ボアズには、弟が居たぁ!』

 

アスランがオープンチャンネルで問い掛けると、迎撃してきているザフト軍MSはそう返した

 

『くそっ!』

 

『通るっ!』

 

アスランと一夏はそう言うと、目前のMSを切り捨て、砲台は吹き飛ばした

そして、誰も居ないハンガーに強引に機体を入れると機体から出た

その手に持っているのは、小銃やマシンガンである

 

『ヤキンの管制室に行く。付いてきてくれ』

 

『了解』

 

アスランの先導に従い、直哉達は進んだ

その頃外では、激戦が繰り広げられていた

しかも何故か、デュエル

イザークがディアッカと共闘し、連合軍MSを撃破した

更に三隻同盟の奮闘により、徐々にだが連合軍は壊滅しつつあった

だがその時、ストライクが損傷して後退してきていた

そのタイミングを狙い、ドミニオンがローエングリン発射態勢に入った

しかもその前には、ドミニオンから脱出艇が出ていた

だから、油断していた

まさか、ローエングリンを発射するとは

 

『回避ー!!』

 

『ダメです! 間に合いません!?』

 

回避は絶望的

カバーすら間に合わない

その時だった

着艦する筈だったストライクが、盾を構えてローエングリンの射線に割り込んだ

 

『へ、へへ……やっぱ俺って、不可能を可能に……』

 

その言葉を最後に、ストライクは爆散した

 

『ムウゥゥゥゥ!』

 

それを見たマリューの、慟哭が響き渡った

そしてマリューは、涙を流しながらも

 

『ローエングリン……照準……』

 

と指示を出した

この時ドミニオン艦内には、二人しか居なかった

艦長のナタル・バジルール

そして、ムルタ・アズラエルのみ

脱出挺が出たのは、ナタルが指示したからだった

この戦争は、負けだと

だがアズラエルは、ドミニオンの火器管制を操作

ローエングリンを撃ったのだ

勝つという思いだけで

だがその一撃は、ムウの命を賭けた行動により防がれた

そしてマリューは、ローエングリンを発射させた

その一撃はドミニオンの艦橋に直撃

偉大なる天使の妹は、散ったのだった


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