ISGジェネレーション   作:京勇樹

138 / 265
それは、禁断の兵器


大量破壊兵器

弾達は帰還してすぐ、戦闘に参戦

それから数分後だった

 

『こちらリトル1、ナスカ級3に動きアリ!』

 

とリトル隊から報告が入った

その直後だった

 

『こちらは、ザフト軍所属。ヴェサリウス。戦闘前に一方的ではあるが、こちらで捕虜にしていた連合軍兵士を一名。返還する』

 

と、クルーゼは告げた

そして少しすると

 

『リトル1より全機へ! 中央ナスカ級より脱出ポッドの射出を確認! それと同時に、ナスカ級三隻から、MS隊の出撃を確認!』

 

と再び報告がされた

 

『……脱出ポッドは、今は放置する。罠の可能性があるからな』

 

『了解』

 

ゼノンの判断に従い、スピリッツは動いた

すると、ラクスが

 

『エターナルとクサナギ、スピリッツ母艦でヴェサリウスを集中砲撃し、中央突破します。アークエンジェルは、ドミニオンをお願いします』

 

と言った

二面戦闘にならないように、ザフト軍を突破

そのまま、ザフト軍にドミニオンを押し付ける作戦らしい

一歩間違えたら全滅する可能性が高いが、確かにそれが一番いい作戦だろう

そのラクスの作戦に従い、四隻は動いた

三隻はナスカ級三隻と砲撃戦を開始

MSの八割をザフト軍と交戦に回した

トライアドを中心にして、残りの二割

ジェミニ隊とリトル隊はドミニオンと交戦を開始した

その時だった

 

『誰か……誰か助けて!』

 

と少女の声が聞こえた

その声に、直哉達は覚えがあった

その声は、アラスカで転属になった筈のキラ達の友人

フレイ・アルスターだった

 

『この声……フレイ・アルスターか?』

 

『周波数は、国際救難チャンネル……あの脱出ポッドか!?』

 

それは、クルーゼが戦闘前に出した脱出ポッドからだった

 

『私、鍵を持ってるわ! 戦争を終わらせる鍵を!!』

 

フレイのその言葉に、誰もが首を傾げた

戦争を終わらせる鍵

そんな物、存在するのかと

その声を聞いて、キラは劇的に反応した

何時ものキレのある機動ではなく、強引な機動でその脱出ポッドに向かった

 

『キラ、止せ!』

 

『回避しろ!』

 

アスランと弾が静止するが、キラは聞かずに機動

フォビドゥンの砲撃とレイダーのミョルニルが直撃

頭部と背部に損傷を負った

 

『フレイ!』

 

『キラ!? 生きてた!?』

 

キラが呼び掛けると、フレイは涙声だったが嬉しそうにキラが生きていることを喜んでいた

そんなフレイを助けようとキラは動くが、フリーダムの損傷は大きい

その損傷でドミニオンに近付けるわけにはいかず、フリーダムの両腕をアスラン機と弾機が確保

後退を開始した

 

『キラ、気持ちは分かるが無茶だ!』

 

『今は後退する!』

 

アスランと弾がそう言うと、キラは

 

『僕が傷付けたんだ……だから、僕が守らないといけないんだ……』

 

と涙を流した

フレイが入った脱出ポッドは、カラミティによりドミニオンに回収された

そして、三隻の集中砲撃を受けてヴェサリウスは轟沈

開いたザフト軍中央を、三隻は強行突破

僅かに遅れて、アークエンジェルと直哉達に護衛されてフリーダムも突破

三隻同盟は、コロニーメンデルから離れた

 

「この後俺達は、ある宙域に隠れて機体や艦の整備をしながら情報収集に勤めた」

 

「その最中だった。連合軍が、ザフトの宇宙要塞。ボアズに侵攻開始したという情報を得た」

 

「ボアズは難攻不落と言われたザフトの宇宙要塞だ。簡単に落とすことはないと思った……だが、その予想は裏切られた」

 

三人はそこまで言うと、敢えてジュリを見た

するとジュリは、三人の意を汲んだように

 

「核」

 

とだけ言った

だが、それで分かったのだろう

殆どが絶句していた

 

「連合軍は、核の力を手に入れた」

 

「そしてそれを使って、ボアズを跡形もなく吹き飛ばしたんだ」

 

弾と一夏がそう言うと、簪が

 

「……でも、NJがあるはず……NJCはどうやって……」

 

と問い掛けた

すると、直哉が

 

「クルーゼ……奴が、フレイを通じて連合にNJCの設計データを流したんだ」

 

と言った

そう

フレイが言った戦争を終わらせる鍵

それは、NJCのことを言っていたのだ

それを連合に流すことで連合は核を手に入れたのだ

 

「それを知った三隻同盟は、次の連合の侵攻先たるプラントに向かった」

 

「そして、俺達は介入した」

 

一夏と弾がそう言うと、映像が始まった

既に、戦闘は始まっていた

三隻同盟とスピリッツは、その戦闘に介入

戦闘を止めさせようとした

だが連合軍は、メビウスに核ミサイルを運ばせてプラントを撃とうとしていた

そこに、直哉達が現れて

 

『行け、ファンネル!』

 

『させるかよ!』

 

『当たれぇ!』

 

と核ミサイルや核ミサイルを運んでいたメビウス隊に、次々と攻撃した

それにより、ザフトの防衛ラインを突破していた核ミサイルはプラントに当たらなかった

 

『よしっ! 核は防いだ!』

 

『次は、核ミサイル搭載母艦を沈めれば!』

 

とシュンとナナの二人は意気込んだ

その時だった

ザフト軍宇宙要塞、ヤキン・ドゥーエのすぐ近くに巨大な建造物が出現した

 

『な、なんだあれ!?』

 

『あのサイズの代物、今までどこにあった!?』

 

『まさか、ミラージュ・コロイドで隠してたのか!?』

 

と直哉達が驚いていると、その巨大建造物

ジェネシスが動いた

ジェネシスから破壊の光の奔流が放たれて、地球連合軍は大打撃を受けたのだ

 

「なに……あれ……」

 

「コロニーレーザー……?」

 

その威力に、メンバーは呆然とした

すると、弾が

 

「戦略兵器、ジェネシス……核爆発で発生するガンマ線をコヒーレントさせてレーザーとして発射する兵器だ」

 

と語った

それを聞いて理解したのは、簪と楯無。そして虚だった

特に簪は、一堂の中では束の次に科学者である

恐らく、一番理解したのだろう

顔面蒼白だった

 

「……つまり、この一撃自体が核エネルギーなんだ」

 

簪が簡潔にそう言うと、ようやく理解したらしい

他のメンバーも絶句した

 

「クルーゼの狙い通りに、戦争は大量破壊兵器の応酬に発展した」

 

「そしてこの戦争は、最終局面を迎える」

 

「通称、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦……その始まりだった」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。