ISGジェネレーション   作:京勇樹

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救出戦

「宇宙に上がった後、俺達は代表が集まって話し合った」

 

「一時的に、身を隠す場所を探してな」

 

「そして向かったのが、L4コロニー……メンデルだった」

 

三人がそう言うと、そのコロニーが表示された

そのコロニーは、ボロボロだった

どう見ても、人が住んでいる気配が無かった

中も大部分が風化しており、建物の大半が倒壊している

 

「このコロニーメンデルは、反コーディネーター感情を高ぶらせたあるバイオハザードが起きて、閉鎖されたコロニーだった」

 

「その後に消毒やら殺菌処理されたが、余程慌ててたんだろうな。一部、まだ稼働してる施設があったんだ」

 

「そこを間借りして、色々と先を決めることにした」

 

確かに、誰も居らず、更に一部の施設が稼働しているなら、身を隠す場所には打ってつけだろう

 

「んで、クサナギの最終調整が終わった時、アスランが一度プラントに戻るって言ったんだ」

 

「しかも、ジャスティスを置いてな」

 

「確か、父親に真意を問い質す……だったかな?」

 

と三人が言った後だった

少し目元が赤くなったカオルが

 

「だが、機体まで置いていったら、流石に危険だろ」

 

と言った

三人は泣いたらしいカオルの言葉に頷き

 

「ああ……確かに危険だな」

 

「だから、キラを含めて俺達が護衛で動いた」

 

「で、俺達はプラント最終防衛拠点。ヤキン・ドゥーエの探知範囲ギリギリ手前に機体を隠して、内部に潜入したんだ」

 

それはまるで、ヘリオポリスの意趣返しのようだった

直哉達三人は機体の優先操縦権を双子に預けると、パイロットスーツの背中に飛行ユニットを取り付けて行動を開始した

そして、プラントの砂時計を彷彿させるある場所に到着した時だった

三人の近くの扉が開き、中から一人のザフト兵が姿を見せた

それを見た三人は、素早く拳銃を構えた

その直後だった

 

『待った、撃つな』

 

とそのザフト兵から、オープンチャンネルで通信してきた

三人が困惑から動きを僅かに止めると、続けて

 

『君達が、隊長の言っていたスピリッツだな』

 

とそのザフト兵

ダコスタが三人に問い掛けた

三人が無言で頷くと、ダコスタは

 

『ここから中に入れ。今なら、カメラも死んでるから』

 

と言って、三人を手招きした

三人はダコスタの言葉を信じて、その扉から中に入った

ダコスタは扉

エアロックを閉めると、近くのタッチパネルを操作

そして、少しすると

 

『もう、ヘルメットを取っても大丈夫だ』

 

と言いながら、先に自身のヘルメットを外した

それを見た三人は、ヘルメットを外した

そして

 

『どういうつもりだ。俺達を招き入れるなんて』

 

と弾が問い掛けた

するとダコスタが

 

『君達に、隊長とある人が会いたいと言ったんだ』

 

と言って、先の扉を開いた

そして少し進むと、別のザフト兵士が現れて

 

『ダコスタ。これを』

 

と言って、三人分のザフトの緑軍服を差し出した

 

『三人共、これに着替えてくれ』

 

三人はダコスタに言われた通りに、そのザフト軍服を着た

そしてダコスタの案内で、ある場所に向かった

そこに居たのは、砂漠の虎

アンドリュー・バルトフェルドだった

 

『バ、バルトフェルド!?』

 

『バカな……なぜ……』

 

『よく、生きて……』

 

三人はバルトフェルドが生きていたことに驚いていた

無理はない

何故なら、MSの爆発に巻き込まれたらまず助からないからだ

しかしバルトフェルドは、片目と片腕を失いながらも、確かに生きていた

 

『まあそこは、おいおいな。ダコスタ、姫様から聞いたな?』

 

バルトフェルドがそう言うと、ダコスタは頷き

 

『はい。捕らわれたアスランを助けるんですよね。手筈は既に』

 

と言った

それを聞いた直哉が、鋭い声で

 

『何をすればいい?』

 

と問い掛けた

そこからは、トントン拍子だった

三人はダコスタに連れられて、ザフト軍本部に入ると、アスランを連行予定だった兵士の内数人を無力化し、隠した

そして、ダコスタと直哉達を入れたメンバーは、何食わぬ顔で交代

そして、アスランが二人のザフト兵に連行されてきた時だった

 

『おい、さっさと歩け……おい!』

 

歩みを止めたアスランを、一人の兵士が小銃で小突いた

その直後、アスランはその兵士を後ろ蹴りしたのだ

 

『はあっ!?』

 

その光景を見て、ダコスタは驚愕した

そして、ダコスタの近くに居た兵士がアスランに小銃を向けた

それを見た弾が

 

『おっと、寝てろ』

 

と、その兵士の足を撃った

その間に直哉と一夏、更に別の兵士がアスランのカバーに回った

 

『アスラン、頭を低く』

 

『君達は!?』

 

直哉達に気付いたアスランは、驚愕で目を見開いた

まさか、ザフトの本拠地に潜入したとは予想していなかったらしい

その間に、ダコスタとアスランが後ろ蹴りした兵士が他のザフト兵士と銃撃戦をしながら合流した

それを見た三人は、その二人のカバーに回った

その間にダコスタが

 

『まったく……聞いた以上に無茶苦茶しますね。こちらの段取りが滅茶苦茶だ! こっちの仲間も、一人蹴倒すし』

 

とアスランに文句を言った

するとアスランは

 

『すまない。知らなかったものでな……君達は?』

 

と謝罪した

 

『所謂、クライン派ってやつですよ……』

 

『ダコスタ、急げ!』

 

溜め息混じりに言ったダコスタに、ザフト兵

クライン派は急かした

今は混乱で浮き足立っているが、続々と警備兵が集まってきていた

それに気付いたダコスタは

 

『背中をこっちに向けて。手錠を撃ちます』

 

と言った

それを聞いたアスランは、言われた通りにした

するとダコスタは、小銃で手錠の鎖を撃って手錠を破壊した

それを見た直哉が、アスランに予備のサブマシンガンを渡した

 

『それじゃあ、付いてきてください! 行きます!』

 

ダコスタのその言葉を合図に、メンバーは移動を開始した

途中で別れると、アスランとダコスタ達

直哉達に別れた

直哉達はダコスタから渡された端末を頼りに、エレカーを走らせた

そして、とあるエレベーターに入ると

 

『よく無事に来た。こっちだ』

 

とクライン派らしい兵士が、ある扉を開けた

そこに直哉達が駆け込むと、別のクライン派兵士が

 

『君達のパイロットスーツだ』

 

と三人のパイロットスーツを差し出した

三人は手早く着ると、その兵士の先導に従い走った

そして、あるエアロックに到着すると

 

『外に、移動用ランチがある。行けるな?』

 

とその兵士が聞いてきた

三人はその問い掛けに、親指を立てて返答した

それを見た兵士は、エアロックを解放

三人は素早く宇宙に出ると、その用意してあったランチに飛び乗った

そして、ランチを高速で進ませていると

 

『後方から、大型の熱源……速い!』

 

とレーダーを見ていた弾が言った

その直後、ランチの上をピンク色の戦艦が通り過ぎた

それには、あのバルトフェルドとダコスタ、アスランの他にクライン派兵士達

そして、ある人物が乗っていた

その戦艦を止めるためにか、ヤキン・ドゥーエから次々とMSが出撃

戦艦に攻撃を開始した

戦艦も迎撃するが、迎撃が追い付かない

そして、弾幕を越えたミサイルが当たりそうになった

その時だった

 

『いっけぇ!』

 

と声が聞こえて、ビーム砲撃が殺到

ミサイルを撃破した

そのビームが来た方向に見えたのは、フリーダムを含めた六機のガンダムだった

 

『トライアド隊、機体を持ってきたぞ!』

 

それはシュンの声だった

その声を聞いた三人は、戦域を突っ切るコースでランチを飛ばした

すると三人はランチから飛び出し、その勢いのまま機体に搭乗した

そして、網膜認証で機体の操縦権を取り戻すと、キラの援護に動いた

そして追撃部隊を粗方無力化すると、戦域から離脱した

その時

 

『スピリッツの皆さん。御協力、感謝しますわ』

 

と懐かしい声を聞いた

その戦艦の艦長席に座っていたのは、ラクス・クラインだった


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