ISGジェネレーション   作:京勇樹

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降臨

「この戦いで、トール・ケーニッヒがKIA。キラ・ヤマトはMIA認定された」

 

「その後俺達は、なんとか地球連合本部。アラスカ・ジョシュアに着いた」

 

「依頼は、実質失敗してる。だが、俺達はそのまま再度雇われて、アラスカ本部の防衛任務に就いた……だが、それ自体が罠だったんだ」

 

と三人が言うと、映像が始まった

それはどうやら、洞窟を使ったドックらしい

 

『防衛隊並びに、スピリッツに通達する。ザフト軍の襲撃を受けている! 大至急出撃せよ!』

 

『了解した』

 

その直後、洞窟からキャリーベースとアークエンジェルが出撃した

 

『サザーランド大佐、なにが!?』

 

『奴等め、やってくれたわ。作戦の目標を、直前でジョシュアに変えたようだ』

 

マリューが問い掛けると、男性佐官

ウィリアム・サザーランドがそう言った

 

『アークエンジェルは防衛に出ろ』

 

『……了解!』

 

二隻が外に出ると、そこは既に激戦区だった

空には、数十機のMSが展開していた

 

『なんて数だ!』

 

『今、ジョシュアの主力は、パナマだったか?』

 

『ああ……作戦目標をパナマと予想していたからな……これは、厳しいか』

 

と三人は語ると、一機のジンが特化重粒子砲を撃ってきた

だが、射線上に居た五機は直ぐに散開回避

そのジンは、キャリーベースが撃ったミサイルで撃破された

だが、新たに四機のジンとシグーが接近

次々と銃撃してきた

五機は回避しつつ反撃するが、相手は止まらない

 

『この戦力……近くの基地や潜水艦。それに、宇宙から降下してきたのか!』

 

『パナマに行った主力が戻ってくるのが間に合うのか、私達が全滅するのが先か……』

 

『弱気な発言は、死に繋がるぞ! ジェミニ2!』

 

『……トライアド1、なんか可笑しいぞ』

 

『どうした、ジェミニ1?』

 

シュンが呼び掛けると、直哉機は盾で一機のディンのコクピットを潰した

 

『さっきから、地球連合のあらゆる通信周波数の返信が、定形文だ』

 

『なに?』

 

シュンの報告に、直哉は眉を潜めた

そして、地球連合の通信に耳を傾けた

その文章は

 

《防衛隊は陣形を維持しつつ、臨機応変に対処せよ》

 

だった

 

『なんだ……嫌な予感が……』

 

『つっ! 一機のスピアヘッドがアークエンジェルに接近! 被弾してる模様!』

 

直哉の言葉に被せるように、ナナがそう言った

確かに、一機の戦闘機がバランスをギリギリ保ちながらアークエンジェルのハッチ目掛けて飛んでいた

 

『何処のバカだ!』

 

『だが、かなりの腕だぞ。あの損傷で、墜落しないなんてな』

 

弾と一夏がそう毒づいたが、スピアヘッドはそのままアークエンジェルのカタパルトに突っ込んだ

そして、少しした時だった

 

『艦長!』

 

とムウの声が聞こえた

 

『しょ、少佐!? あなた、一体何を……転属は!?』

 

『んなこと、どうだっていい! 直ぐに撤退だ!』

 

マリューが驚いて問い掛けるが、ムウはそう言った

その声音から、かなり焦ってるのが分かった

なお、本来だったらムウは、パナマに転属する筈だったのだ

だがどういう訳か、先ほどのスピアヘッドで戻ってきたようだ

 

『て、撤退?』

 

『こいつはとんだ作戦だぜ! 守備隊は一体、どういう指令を受けてんだ!』

 

ムウはそう言うと、立て続けに

 

『いいか、落ち着いてよく聞けよ! 本部の地下に、サイクロプスが仕掛けられている! 発動したら最後、半径十数kmが溶鉱炉になるってサイズの代物がな!!』

 

と衝撃的なことを告げた

 

『そ、そんな……』

 

『俺はこの目で見てきた。本部は既に、もぬけの殻さ! 今アラスカに残っているのは、ユーラシア連合所属か、アークエンジェルやスピリッツみたいに、上によって捨てられた連中ばかりだ!』

 

『つっ……』

 

ムウの報告を聞いて、ラムザットは歯を噛み鳴らした

 

『パ、パナマの主力は……』

 

『来ないだろうな。そして、ジョシュアの防衛線は突破されて、内部に浸入される。そうなったら奴等は、基地の放棄を兼ねて、サイクロプスを起動させて、何もかもを無くすつもりなんだ!』

 

ムウのその報告に、誰もが言葉を失った

つまり、防衛のために雇っていたキャリーベース隊は、最初から捨てゴマだったのだ

 

『作戦だから……死ねって命令されたら、死なないといけないの……?』

 

それは、オペレーターを勤めているミリアリアの言葉だった

その声は、泣きそうな声だった

数秒後

 

『本艦の任務が、ザフト軍戦力の誘引ならば、本艦は既に、その任務を果たしたものと判断します! なお、この判断はアークエンジェル艦長、マリュー・ラミアスの独断であり、艦のクルーには、一切責任はありません!』

 

とマリューが言った

すると直哉が

 

『ラムザット艦長』

 

とラムザットの名前を呼んだ

すると

 

『ああ……これは、我々に対する重大な裏切り行為と判断する。我々も離脱する!』

 

とラムザットは指示を出した

そして、アークエンジェルの横に並んで離脱を開始した

だが、そんな二隻と後に続く艦隊に、ザフト軍は執拗に攻撃してくる

五機はそんなザフト軍を迎撃するが、戦力差が違いすぎた

五機の奮闘虚しく、イージス艦二隻が轟沈した

そして、アラスカ基地の正面ゲートは突破された

 

『ちくしょう! 正面ゲートはくれてやったんだ! こっちは見逃してくれてもいいだろうが!!』

 

ムウはそう言うと、スカイグラスパーに装着されていたランチャーストライカーのアグニとスカイグラスパーの固定武装を一気に解放

複数のザフト軍MSを撃破した

五機も奮闘し、少しずつだがザフト軍の包囲網を突破しようとしていた

その時

 

『11時の方向から接近する機体確認……デュエルです!』

 

とアークエンジェルのオペレーターの一人が言った

 

『しつこいんだよ、てめぇら!』

 

『アークエンジェルはやらせない!』

 

そして、五機とムウの意識がデュエルに向けられたほんの僅かな隙を突かれて、一機のジンがアークエンジェルの艦橋に近づいた

 

『しまった!』

 

『アークエンジェル!!』

 

五機も戻ろうとしたが、それよりもジンが重突撃機銃を構えるほうが早かった

そして、引き金を引こうとした時だった

遥か上空から、一発のビームがジンの持っていた重突撃機銃を撃ち抜いた

そして、距離を取ったジンの頭を一機の機体が切り飛ばした

それを為したのは、青い翼を有する機体だった


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