ISGジェネレーション   作:京勇樹

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幼馴染みの死闘

「この後、俺達は案内されてオーブの秘匿ドックに通された」

 

「そこで、ボロボロになった艦の修理をするために」

 

「ついでに、機体も万全にな。その代わりに、オーブ軍MSパイロット用のシミュレーターの構築とパイロット達の教導を依頼された」

 

と三人が言うと、広い空間で模擬戦らしい映像が始まった

三機の前には、白黒オレンジの配色の機体が並んでいた

それを見て、簪が

 

「……あの機体、ウー・ニェンさんの機体に似てる」

 

と言った

すると、ジュリが

 

「MBFー01、機体名はアストレイ……私の機体の最初の機体です」

 

と告げた

 

「型式と機体名を、なんで知って……まさか!?」

 

と真耶が驚いていると、ジュリは敬礼しながら

 

「オーブ国防軍所属、ジュリ・ウー・ニェン二尉……私は、ジェネレーションワールドのCE世界の出身です」

 

と言った

それを聞いて、殆どのメンバーが驚愕していた

まさか、こんな身近にジェネレーションワールド出身が居るとは思っていなかったようだ

するとカオルが

 

「なあ、さっきのカガリの言葉って、マジか?」

 

と三人に問い掛けた

すると弾が

 

「……大マジです」

 

と答えた

それを聞いて、カオルは両手両膝を突いた

心無しか、周りの空間が暗くなっている

三人はそんなカオルに心中で手を合わせてから、軽く咳払いして

 

「で、艦の修理とある程度の教導。シミュレーターの構築を終えると、俺達はオーブから出港」

 

「一路、アラスカに向かい始めた」

 

「だが、その途中で、襲撃を受けた」

 

と語り出した

すると映像が始まった

それは、海上での戦いだった

五機は臨機応変に陣形を変えて、アークエンジェルとストライクを守っていた

その動きは確かに、入港する前よりも良くなっていた

敵味方合わせて、計10機のMSが激しく交差する

そして交差する度に、激しく火花が散る

ストライクは二機のスカイグラスパーと連係し、空中換装し、バッテリーの問題を一時的にだがクリアした

そして激戦の末に、奪取された一機

ブリッツの撃破に成功した

 

「ブリッツのパイロット……ニコル・アマルフィ」

 

「プラントだと、それなりに名の知れたピアノ奏者だったらしい」

 

「そして、アスランの親友だった」

 

三人がそう言うと、映像が変わった

それは、雨の中での戦闘だった

雨の中で五機は、デュエルとバスター

更に、数機のディンと交戦していた

 

『マズいぞ! キラ君と引き剥がされた!』

 

『分かっている!』

 

五機はなんとかキラの方に行こうとしているが、ディン隊に上手く妨害されていた

よく見れば、ディンの一機が白系統の塗装だった

白は、ザフト軍では指揮官を現す機体だ

そして、ザフト軍で指揮官はパイロットの場合は、赤服からしかなれない

勿論だが、ザフト軍訓練校には指揮官訓練コースもある

大半の指揮官はそこからだが、クルーゼやバルトフェルドのようにパイロットから指揮官になったのもいる

そして、そういった奴は大抵が戰上手だ

 

『ちいっ! あの白いディンを優先対象に設定する!』

 

『了解!』

 

直哉の指示に従い、四機も白いディンに対して攻撃を集中させ始めた

そして、シュンのビームガトリングで白いディンを撃破すると、相手の包囲網に綻びが出始めた

その隙を突いて、五機は別れた

一夏と直哉は、デュエルとバスターと交戦開始

シュンとナナはディン隊と交戦開始

弾は、キラの援護に向かった

すると

 

『お前がニコルを……ニコルを殺したぁ!!』

 

と憎しみの籠った声が聞こえた

それは、アスランの声だった

その時だった

弾機の上を、一機のスカイグラスパーが通り過ぎて

 

『キラ!』

 

と声を上げた

 

『トール!? ダメだ、来るなぁ!』

 

キラが制止するが、トールは聞かずにミサイルを発射

しかしアスランは、そのミサイルを跳躍して回避

その直後、アスランは左腕に装備されていた盾をスカイグラスパー目掛けて投擲

弾はその軌道を変えようとしたのか、慌ててビームを放った

しかし僅かに外れて、盾はスカイグラスパーのコクピットに直撃

機体のカメラは、その光景を繊細に捉えていた

盾の直撃により、トールの首が千切れて飛んだのだ

その直後、スカイグラスパーは爆散した

その映像を見た殆どのメンバーは、目を反らしたり、口元を押さえていた

その時

 

『ア、アァスラァァァン!!』

 

『キィラァァァァァ!!』

 

まるで、獣のように二機が戦い始めた

弾はキラの援護をしようとしたが、二機が激しく動きながら戦っているから、援護を断念した

下手に撃ったら、キラに当たりそうだったからだ

この時、直哉と一夏はデュエルを撃退、バスターをアークエンジェルと共同で行動不能に追い込み捕虜に

シュンとナナは、双子らしい連係でディンを全機撃破した

その後、念のために補給に戻っていた

 

『つっ……なんて戦いだ……下手に、手出し出来ない……』

 

弾がそう溢したのも、無理からぬことだった

キラ機とアスラン機は、互いにビームサーベルで一進一退の攻防を繰り広げていた

ストライクがイージスの左腕を切り飛ばした直後に、今度はイージスがストライクの左腕を切り飛ばした

そして、ストライクがイージスの頭を破壊した直後に、イージスのビームサーベルが、ストライクの胸部装甲を切り裂いた

それにより、コクピットが露出

その直後に、イージスが可変してクローで組み付いた

最初はビーム砲のスキュラを撃とうとしたが、エネルギー切れで不発に終わった

それを見た弾は、ビームサーベルを抜いて一歩踏み出した

その直後、アスランが機体から脱出した

 

『えっ!?』

 

『しまった! 奴、自爆か!?』

 

と二人の声がした直後、イージスは自爆

弾機は衝撃で吹き飛ばされた

そこに一夏機と直哉機が来て、岩に打ち付けられる前に弾機をキャッチ

マリュー艦長の判断に従い、離脱した


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