ISGジェネレーション   作:京勇樹

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脱出行

「この後、俺達は地球連合軍宇宙要塞のアルテミスに到着」

 

「アルテミスは難攻不落と呼ばれた要塞でな。まあ、少しは落ち着けると思った」

 

「だけど、味方の筈の奴等から銃口突きつけられた」

 

と三人が言うと、映像が変わった

それは、ハンガーらしい

三人は、連合軍兵士に小銃を突き付けられていた

 

『機体のロックを外せ! 薄汚い傭兵風情が!』

 

『すまんが、それは出来ない』

 

『守秘義務があるしな』

 

『もし、強引に機体をバラそうとしたら……これを押すぞ』

 

司令官らしいハゲ頭が偉そうに命令するが、三人は拒否

更に、スイッチを掲げた

それは、機体の自爆システムの起動スイッチだった

それに気付いたのか、数人の兵士が引き金を引こうとした

だが、三人は冷静に

 

『言っておくが、俺達が死んでも自爆するからな』

 

『こちらの生体反応が無くなったら、自爆するようになっている』

 

『さあ、どうする?』

 

と告げた

すると、それを見ていたメンバーが口々に

 

「なぜ、こいつらは味方の一夏達に銃口を向けたんだ?」

 

「それに、機体のロックを外せとはな」

 

と言った

それを聞いて、三人は

 

「理由の一つは、アークエンジェルとストライクが連合の友軍識別データコードを持っていなかったこと」

 

「次に、この基地の司令官が欲にまみれた豚野郎だったこと」

 

「最後に、地球連合も一枚岩じゃなかったってことだな」

 

と言った

アークエンジェルが寄ったアルテミスは、ユーラシア連合に所属しており、アークエンジェルは大西洋連邦が主体で開発が進められたのだ

そしてユーラシア連合は、MSや新兵器の開発が大幅に遅れていたのだ

それを知っていたアルテミス司令官

ガルシアは、ストライクや直哉達の機体を入手すると、そこからMSを開発

自分の地位やユーラシア連合の発言権を高めようとしたのだ

しかし、機体を解析しようにもストライクはOSにロックが掛けられていて、直哉達の機体には生体認証式の起動だったので解析が出来ず、直哉達を呼びつけたのだ

機体のロックを解除させて、データを奪うために

その時、爆発が起きた

その隙を逃さず、直哉達は一気に機体に飛び付いた

そして、機体を起動させた

すると、近くの兵士の一人が直哉機に向けて小銃を撃ち始めた

すると、直哉機はわざと足を強く床に突かせて

 

『どう考えても、ザフトの襲撃だろうが! こちらを撃っている場合か!』

 

と怒鳴った

そして直哉は、次々に出撃

襲撃してきたのは、クルーゼ隊だった

 

『やっぱ、ブリッツだったか』

 

『ミラージュコロイド持ってるしな』

 

『ま、ナイスタイミングだったな』

 

『ストライクやアークエンジェルも出てきた』

 

『マザーも無事です!』

 

と五人が会話した直後、爆発するアルテミスの中からアークエンジェルとストライク、キャリーベースが出てきた

そして、爆発しているアルテミスから、一行は離れていった

そして次に見えたのは、デブリベルトだった

すると、一人のノーマルスーツを着た少女が、折り紙で作った花束を蒔いた

それに続くように、周囲の軍人達は黙祷していた

 

「これは……」

 

「一体、何を……」

 

と言ったのは、セツコと真耶だった

どうやら、行動の意味が分からないようだ

 

「ここは、デブリベルト。見えてるのは……ユニウスセブンだ」

 

と弾が言うと、殆どが息を飲んだ

そう

地球連合が核を撃ち込んだ農業コロニーの跡だと分かったからだ

 

「そして、ここに来た理由は補給のためだった」

 

「前に寄港したアルテミスで、補給が出来なかったからな」

 

「燃料や弾薬。特に、水と食料が危機的だったからな……砕かれて真空の宇宙に放り出され、凍った水や食料。使える物全てを回収するために寄ったんだ」

 

つまり、先程のは献花代わりだろう

今を活きるために、ここにある物資を使うことを許してくださいと

 

『キラ君、俺達は周囲の警戒をするぞ』

 

『はい』

 

直哉の言葉を聞いて、キラは頷いた

そして、六機はバラバラに動き始めた

デブリベルトはザフトと連合

その勢力圏内は半々と言ったところらしい

だから、採掘作業をしている間にもザフトが来る可能性があった

そして周囲を警戒していた時だった

 

『こちら、キラ・ヤマト……ザフト軍の偵察機を発見しました……』

 

とキラから通信が届いた

その声を聞き、偶々近くに居た直哉機はキラ機の近くに寄った

そして見えたのは、長いライフルを持った黒い塗装のジンだった

 

『長距離強行偵察型複座式ジンか……』

 

『今のところ、他には居ません』

 

確かに、キラの言う通りに単機だった

そして調査していたのは、一隻。船だった

 

『あの船……撃沈されたのはつい最近だな……武装は無し……民間船か……』

 

と直哉が言った時、そのジンは離れようとした

だがその時、一機のミストラルがジンの近くを通ってしまい、気付かれた

 

『なんで、気付くんだよ!』

 

キラはそう言って、そのジンをビームライフルで撃ち抜いた

 

『ありがとうな、キラ!』

 

『落とされるかと思ったぜ!』

 

と乗っていた二人が立て続けに感謝を述べたが、キラは返答しなかった

代わりになのか

 

『ミストラルにも、レーダーがあるだろ……きちんと確認して、通れ……危ないだろうが』

 

と直哉が忠告した

 

『いや、悪い』

 

『ごめん、採掘するのに集中してて……』

 

と忠告された二人は、苦笑い混じりに謝ってきた

その時、キラがある方向を見ていることに気付いた

 

『どうした、キラ君』

 

『あれ……』

 

『ん? 脱出ポッドだな……』

 

キラが指し示した先に有ったのは、三角形の脱出ポッドだった

それをキラは回収し、アークエンジェルへの帰投コースに入った

これが、運命の出会いの一つだった


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