ISGジェネレーション   作:京勇樹

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駆け足ですが


決着

場所は変わり、宇宙

宇宙では、情勢が大きく変わった

まずは、ホワイトファング

ホワイトファングは月のMD製造工場を制圧

それにより、大量のMDを部隊に加えることに成功

そしてホワイトファングは、指揮官にゼクス・マーキス

本名、ミリアルド・ピースクラフトを据えた

そして搭乗機は、エピオンだった

このエピオンはヒイロと交換した機体であり、換わりにヒイロはウィング・ゼロを手に入れていた

 

「ウィング・ゼロ……ジェネレーションワールドでも、最強に位置する機体だ」

 

「砲撃、機動、格闘、装甲……それら全てが、高いレベルで纏まって完成された機体」

 

「そして何より、エピオンシステムの原型。ゼロシステムを搭載した機体だ」

 

三人がそう言うと、ウィング・ゼロが表示された

その見た目はまるで、天使のようだった(ウィング・ゼロは最初からEW仕様とします)

それを見て、全員が口々に

 

「綺麗……」

 

「まるで、天使みたい……」

 

と呟いた

確かに、ウィング・ゼロは天使だろう

しかし正式には、告死天使と言えるだろう

なにせ、対峙した相手には絶対的な死しか無いのだから

そして、宇宙での戦いは動き続けた

OZを二分した一人

ツバロフはゼクス・マーキスの手により、宇宙要塞毎死亡

それにより、ツバロフ派は全滅

これにより、OZはトレーズ派のみとなった

そして、OZトレーズ派対ホワイトファング対ガンダムチームという状況になった

そして戦場は、衛星軌道に移る

そこに見えたのは、地球に向かって移動する巨大要塞

リーブラだった

ホワイトファングはリーブラを地球に落とすつもりなのだ

そしてトレーズは、誇り高い敗者になるつもりだった

その幕引きに、この戦いを選んだ

 

『スピリッツ、出撃!』

 

『俺から言うのは、ただひとつだ……全員、生きて帰れ!』

 

『了解!』

 

ゼノンとマークの指示に従い、スピリッツは出撃

この戦いを終わらせるために

 

『人形とMS合わせて、何機居やがるんだよ!』

 

『盛大なパーティー会場じゃねえか!』

 

『さあ、ちいとばかし……鉄火場に行こうぜ!』

 

直哉達はそう言いながら、次々と敵機を撃破していった

その時

 

『この戦争で、何人が死んだと思っている!』

 

と五飛の声が聞こえた

どうやら、オープンチャンネルらしい

 

『貴様のせいで……!』

 

『5276名だ』

 

五飛の言葉に被せるように、トレーズはそう言った

 

『な、に……?』

 

『この戦争で死んだのは、5276名だ……』

 

『デタラメを言うな! 覚えきれるわけが!』

 

『覚えているさ……レディ、先の戦いで何人死んだ?』

 

トレーズがそう問い掛けると、トレーズの部下

レディ・アン特佐が

 

『15名です。既に、プロフィールは纏めてあります』

 

と言った

トレーズの言葉に偽りはなかったのだ

トレーズはガンダム関連の戦場で死んだ人数だけでなく、プロフィール全てを覚えていたのだ

 

『ありがとう、レディ……後で読むよ』

 

トレーズのその思いに気付いたのは、セシリアだった

トレーズはAC世界に於ける貴族であり、指揮官

つまりは、為政者だ

為政者として、自分の領内にて出た犠牲者を覚えている

それが貴族として大事なことだと、セシリアは習った

トレーズはそれを遂行していたのである

その姿は正しく、貴族の鑑だった

 

(あの姿、私の目指すべき姿ですわね……)

 

そうこうしている間にも、戦況は変わっていっていた

リーブラは少しずつ地球に迫り、両軍の部隊は着実に減っていっていた

そして、ウィング・ゼロとエピオンは激しく交差していた

両方共に、名前こそ違うが同じシステムを積んだ機体

一瞬のミスが命取りだった

そして、OZは少しずつだがMDに対応してきていた

しかし、MDのオペレーターも強かったらしい

リーブラへの接近を許さなかった

 

『中々優秀じゃないか! 近付けない!』

 

『人形の癖に!』

 

『邪魔なんだよ!』

 

直哉達はそう言いながら、MDを撃破していく

しかし今度は、OZのMSが立ち塞がった

 

『ちいっ! OZか!』

 

『散開!』

 

OZのMS部隊は手練れが多いらしく、動きが良かった

リーオーはAC世界における量産型機の立役者的な機体であり、発展性と操縦性がかなり高い

だからパイロット次第だが、ガンダムとも戦えるのだ

そして、直哉達に迫った部隊は正にそれなのだろう

完全に互角ではなかったが、かなり迫っていた

そのMS部隊に勝った時、戦闘は終わりに近づいていた

リーブラは大気圏に入り、赤熱気流に包まれ始めていた

トレーズ機とゼクスの機体のIFFは無くなっていた

 

『リーブラが!』

 

『ヒイロ!』

 

よく見れば、ウィング・ゼロがリーブラの前に居た

そして主武装、ツインバスターライフルを構えて

 

『任務……了解』

 

と言って、撃った

ツインバスターライフルから放たれたビームは、リーブラに直撃

その一撃で、リーブラは崩壊した

その威力は、MSが持つには過剰なまでの威力だった

その威力を見て

 

「……凄い威力……」

 

「一撃で……砕いた……」

 

と誰もが驚いていた

 

「この後、地球圏統一連合とコロニーの間で条約が結ばれた」

 

「そして、戦争を未然に防ぐための組織。プリベンダーが結成されて、戦争は起きない……筈だった」

 

「それが起きたのは、丁度一年後のAC196年末だった……」

 

たった一年

たった一年で、大規模争乱が起きた


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