ISGジェネレーション   作:京勇樹

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ネオ・新宿戦1

翌日早朝、中庭の一角のベンチ

そこで、直哉と楯無の二人が密会していた

 

「昨夜、ロシアの部隊が迷惑かけたみたいね」

 

「大したことなかったですよ。雑魚でした」

 

直哉の発言を聞いて、楯無は頬が軽くひきつった

 

(スペツナズだったんだけどね……まあ、一番弱い部隊だったみたいだけど)

 

楯無はそう思いながらも、扇子で口元を隠して

 

「そろそろ、戻りましょうか」

 

「ですね……」

 

楯無の提案に直哉は従うと、立ち上がり楯無に手を差し伸べて

 

「お手をどうぞ、お嬢様」

 

と告げた

それを聞いて、楯無は笑みを浮かべて

 

「あら、ありがとう」

 

楯無はそう言うと、直哉の手を握り、直哉に引っ張られて立ち上がった

 

(悩んでるな……何にかは分からないが、さて)

 

直哉はそう思いながらも、部屋に戻った

そして数十分後、会議室に全員集まった

すると、カオルが

 

「念のために、盗聴機の有無を調べさせた」

 

と耳打ちしてきた

昨夜の襲撃があったからだろう

 

「あんがとよ」

 

直哉はそう返答すると、束に視線を向けた

視線の先では、束があの機械を弄っている

すると、立ち上がって

 

「よし、調整終了! 眼鏡っ子、照明消して!」

 

とジュリに言った

それに従い、ジュリはスイッチを押して電気を消した

そして、映像が始まった

 

「次の戦場は、未来世紀。通称、FCと呼ばれる世界での戦闘でした」

 

「その世界では、MFと呼ばれるガンダムを使ってのオリンピックのような世界規模での競技が行われていました」

 

「その大会で優勝した国は、四年間に渡り、好きな条約を決められるという特典があり、それを狙って各国は最新鋭機と最精鋭のパイロットを参加させました」

 

三人がそう語ると、観戦していたのだろう

二機のガンダムが戦っていた

両方共に、肉弾戦だった

すると映像が変わって、ある場所が映った

それは、廃墟だった

 

「時は、FC60年……第13回ガンダムファイトが行われていた時でした」

 

「この場所は、ネオ・新宿……そこに、所属不明の大量のMS軍が現れたということで、ネオ・ジャパンから救援要請が出されました」

 

「これが、ある存在との戦いの始まりでした」

 

三人がそう語ると、その戦闘の映像が始まった

敵は、一つ目に金棒を持った大量の同型の機体

それがまるで、地面を埋め尽くすように展開している

それに対しているのは、直哉達を含むスピリッツ本隊

更に、水色の塗装が施された多数の量産型機だった

スピリッツはわざと乱戦を挑み、積極的に相手の味方誤射を誘発させて、数を減らす戦術を選択していた

しかし、倒しても倒してもキリがなかった

しかも、仲間が倒されたというのに動揺する素振りが見えなかった

そして何より、死に対する恐怖が感じられなかった

 

『ちいっ! こいつら、どうなってやがる!』

 

『動きは単調なんだが……クソッ! 数が多すぎる!』

 

『フェニックス1より各機に通達! 500m後退し、態勢を立て直す!』

 

『了解!』

 

マークの指示に従い、スピリッツ本隊は後退を開始

その援護に、母艦は主砲や副砲、ミサイルを次々と発射

スピリッツはその砲撃の雨の中を、まるで荒野を駆けるように移動する

気付くと、ネオ・ジャパンのMS部隊は壊走していた

やはり、数の差に押されたようだ

 

『ネオ・ジャパン軍、情けなさすぎだろ!』

 

『もう少し粘れよ!?』

 

一夏と弾は撤退していくネオ・ジャパン軍に文句を言っていたが、仕方ないだろう

ネオ・ジャパン軍と敵の数の差は、倍の話ではない

軽く十倍は開いている

しかも、FCでは戦争が起きていない

起きたとしても暴徒の鎮圧や、災害派遣などだ

本格的な戦闘は経験が無かったのだ

つまり、初陣のパイロットばかりだったのだ

そんな彼らにとって、この敵

デスアーミーは恐怖だったのだ

そして、一機のデスアーミーの胸部を直哉機がビームサーベルで切った時だった

中を、直哉は見た

 

『こいつは……隊長! こいつら、ゾンビです!』

 

『なに? どういうことだ?』

 

『映像、送ります!』

 

直哉はそう言うと、映像を送信した

それを見たマークは、しばらく黙った

その時

 

『なんだ、こいつ!?』

 

『バカな! 戦闘不能にしたはずだぞ!?』

 

と一夏と弾の驚いた声が聞こえた

 

『どうした! 報告しろ!』

 

『隊長! 頭を斬り飛ばして戦闘不能にした敵が、再生しました!』

 

『間違いありません!』

 

その二人の報告を境に、同じ報告が次々とスピリッツ各機から上がってきた

それを聞いて

 

『フェニックス1より各機! 敵は完全に破壊しろ! 中途半端にするな!』

 

と指示を出した

マークの指示に従い、スピリッツはデスアーミーに攻撃を仕掛けた

それにより徐々にだが、デスアーミーの数は減っていた

その時だった

 

『隊長、11時の方向にガンダムタイプを確認しました! 数は四機!』

 

『あれは……ネオ・アメリカ、ネオ・チャイナ、ネオ・ロシア、ネオ・フランスのガンダムだと?』

 

『大会参加登録されてる機体だぞ、どうなっている!』

 

その四機は、今現在行われている大会に参加しているガンダムだった

その時だった

空から、四つの物体が落着してきた

その物体は何故か、トランプの柄だった

 

『な、なんだあれ?』

 

『トランプの柄?』

 

とシュンとナナが驚いていると、その物体が変型した

変型したら、それはガンダムだった

 

『ジャック・イン・ダイヤ!』

 

『クイーン・ザ・スペード!』

 

『クラブ・エース!!』

 

『ブラック・ジョーカー!!』

 

『我ら、シャッフル同盟!!』

 

と、オープン回線で告げた

 

『シャ、シャッフル同盟?』

 

『我ら、義により君たちの救援をする!』

 

四人はそう言うと、デスアーミーに突撃した

その技は凄まじく、正に頂きに至った技だった

 

『なんつーか……』

 

『暑苦しいな……』

 

『けど、あの動きはプロだぞ』

 

『それを言うなら、俺達だってプロだ……やれ!』

 

シャッフル同盟と合わせて、スピリッツはデスアーミーに対して猛攻を繰り出した

そして、敵の正体を知る


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