東方禁初幻譚   作:鈴華

90 / 92
ゲームのフレから先生みたいと言われましたw
まぁあっちで解説色々してるので、否定できないけどw

それでは、本編どうぞ。


Ep,2 焔の謎

こいしの能力で分かったことがある。彼女はこちらの認識を掻い潜って行動することができる。そして彼女が意識的に行っているわけではないということ。

 

「やろうと思えば意識してできるけど、殆ど無意識かなぁ?」

 

拒絶を使っているからこそ認識できるが、解けばカルマも認識するのは難しいだろう。

 

「カルマの能力って便利ね。」

「疲れるがな。」

 

今この場には古明地姉妹にカルマ、そして八雲紫がいる。紫と呼んだには計画のことをさとりに説明するためであり、彼女には予め拒絶をかけておいた。粗方話終わり、別室で待機していた2人が部屋に戻っていた。

 

「それでこいし。悪いが俺がここを後にした時に来た焔の様子を聞かせてくれるか?」

「そうね。あの子と途絶してる以上、少しでも情報は欲しいわね。」

「いいよ~。」

 

カルマの膝の上で足を振りながら、彼女は当時のことを語りだした。

 

 

 

カルマが地底を後にしてから、こいしは部屋に戻っていた。やっと出来た関係に依存していたためか、反動が大きい。彼女はベッドに飛び込み、布団に包まった。

 

「あーあ…。早く戻ってこないかな…。」

 

楽しみを待つ時間は長く感じてしまう。布団に包まりながら、ベッドの上をゴロゴロと落ち着きがない。

 

『失礼しやがります。』

「わっ!?」

 

いきなり聞こえた声に驚き、こいしはベッドから転げ落ちてしまった。ぶつけた頭を押さえながら顔を上げると青い炎がそこにあった。

 

「いたた…。えっと…焔、だっけ?」

『……。』

 

炎はゆっくりと狐の形をとり、こいしを眺めていた。拒絶が焔にかかってない以上、心で考えていることを読み取ることができる。

 

「お兄さんの代わりに来たの?」

 

首を振って否定した。知らせることがある。

 

「知らせること?お姉ちゃんにじゃなくて?」

 

焔は頷き、口を開いた。

 

『カルマは戻って来やがりません。』

「…えっ?」

 

何を言われたか分からなかった。言葉を噛み砕いてようやく何を言われたのか理解した。そしてそれは心でも同じことを思っていた。

 

「お兄さんが戻ってこない…?」

 

焔の言葉は彼女の心に罅を入れた。ここで心を読むのを止めるか目を逸らせばよかったのだが、そうはいかなかった。

 

『もう一度言いやがります。戻ってきやがりません。何度でも言いやがります。戻って来やがりません。戻って来やがりません。戻って来やがりません。戻りやがりません。戻りやがりません。戻りやがりません。戻りやがりません。もう来やがりません。ずっと来やがりません。戻って来やがりません。』

 

追い打ちのように焔は戻ってこないと言い続けた。耳を塞いでも、本気でそう思っていることも読めてしまう。

 

「いやっ!いやぁっ!」

 

戻ってくる。カルマは絶対に戻ってくる。焔がカルマと繋がりがあると知っている以上、いくら否定しても焔の言葉は心の罅を大きくしていく。

 

「戻って…くる、もん。…絶対、戻ってくる、もん。」

 

虚ろにつぶやくこいしに焔は止めを刺した。

 

『カルマも面倒くさいから戻らないと言っていやがりました。』

「―――――――――――――――――――――――――――――――――――。」

 

壊れた。塞いでいた耳を力なく降ろし、虚ろになった瞳から涙を零れ落ちた。第三の目がゆっくりと閉じていく。まだ何か言っているようだが、耳に入らない。だが、焔が部屋から出る時の言葉は聞こえた。

 

『自由にしやがってください。縛る鎖は無くなりやがりました。』

 

 

 

「―って感じ?」

 

笑いながら語る彼女だったが、3人は唖然としていた。第一カルマは戻らないと一言も言っていない。

 

「……何を考えているんだ、アイツは。」

「分からないわね。でもそれは本当に焔だったのかしら。」

「間違いないと思います。こいしの部屋から出てきた所は私がしっかりと見てますから。」

 

さとりが焔の姿を見たのはこいしが心閉ざした直後だろう。

 

「…これは宿主の麗夢に聞いてみた方がいいかしら?」

「そうだな。焔のことなら、アイツの方が分かっているだろうからな。」

「私が知らせてくるから、カルマは焔をお願い。可能性は低いけど、まだ地底にいるかもしれないわ。」

「わかった。」

 

紫はスキマを開き、地上へと戻っていった。善は急げ。早速行動に移すべく膝の上のこいしを下ろし、カルマも立ち上がった。

 

「あれ?お兄さんどうしたの?」

「焔を探す。」

「じゃあこいしも行くー!」

 

しかし、こいしにさとりが待ったをかけた。

 

「駄目よ、こいし。危ないし、カルマさんに迷惑が掛かるわ。」

「えー。」

「…いや、こいしは連れて行こうと思う。」

「ちょ、ちょっとカルマさん!?」

「やたーっ!」

 

彼女の能力はまだ分からないが、少なくとも彼女の認識を阻害することができる。ならば、尾行もできるかもしれない。チラッと見ると、無邪気に喜んでいるようにも見える。尾行してくれるとは思えない。

 

「人数は多いに越したことはないだろ。」

「で、でも!」

「安心しろ。危険な目には合わせねぇから。」

「……。」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん!こいし強いから。」

 

胸を張る妹の様子に溜息を付くと、カルマに頭を下げた。

 

「妹をお願いします。」

「あぁ。」

「お姉ちゃん、固いぞー。」

 

 




疑問に思っている人も多い(?)と思うので、解説をば。
心を閉ざすと大抵は無表情とか暗いイメージが濃いと思います。
こいしの場合、元から子供らしい性格であるため、心を閉ざすとその性格だけになる。
という感じですかね。

焔に何があったのかねぇw
ヒント、焔は善狐の霊です。
わっかるっかな?w

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。