まぁあっちで解説色々してるので、否定できないけどw
それでは、本編どうぞ。
こいしの能力で分かったことがある。彼女はこちらの認識を掻い潜って行動することができる。そして彼女が意識的に行っているわけではないということ。
「やろうと思えば意識してできるけど、殆ど無意識かなぁ?」
拒絶を使っているからこそ認識できるが、解けばカルマも認識するのは難しいだろう。
「カルマの能力って便利ね。」
「疲れるがな。」
今この場には古明地姉妹にカルマ、そして八雲紫がいる。紫と呼んだには計画のことをさとりに説明するためであり、彼女には予め拒絶をかけておいた。粗方話終わり、別室で待機していた2人が部屋に戻っていた。
「それでこいし。悪いが俺がここを後にした時に来た焔の様子を聞かせてくれるか?」
「そうね。あの子と途絶してる以上、少しでも情報は欲しいわね。」
「いいよ~。」
カルマの膝の上で足を振りながら、彼女は当時のことを語りだした。
カルマが地底を後にしてから、こいしは部屋に戻っていた。やっと出来た関係に依存していたためか、反動が大きい。彼女はベッドに飛び込み、布団に包まった。
「あーあ…。早く戻ってこないかな…。」
楽しみを待つ時間は長く感じてしまう。布団に包まりながら、ベッドの上をゴロゴロと落ち着きがない。
『失礼しやがります。』
「わっ!?」
いきなり聞こえた声に驚き、こいしはベッドから転げ落ちてしまった。ぶつけた頭を押さえながら顔を上げると青い炎がそこにあった。
「いたた…。えっと…焔、だっけ?」
『……。』
炎はゆっくりと狐の形をとり、こいしを眺めていた。拒絶が焔にかかってない以上、心で考えていることを読み取ることができる。
「お兄さんの代わりに来たの?」
首を振って否定した。知らせることがある。
「知らせること?お姉ちゃんにじゃなくて?」
焔は頷き、口を開いた。
『カルマは戻って来やがりません。』
「…えっ?」
何を言われたか分からなかった。言葉を噛み砕いてようやく何を言われたのか理解した。そしてそれは心でも同じことを思っていた。
「お兄さんが戻ってこない…?」
焔の言葉は彼女の心に罅を入れた。ここで心を読むのを止めるか目を逸らせばよかったのだが、そうはいかなかった。
『もう一度言いやがります。戻ってきやがりません。何度でも言いやがります。戻って来やがりません。戻って来やがりません。戻って来やがりません。戻りやがりません。戻りやがりません。戻りやがりません。戻りやがりません。もう来やがりません。ずっと来やがりません。戻って来やがりません。』
追い打ちのように焔は戻ってこないと言い続けた。耳を塞いでも、本気でそう思っていることも読めてしまう。
「いやっ!いやぁっ!」
戻ってくる。カルマは絶対に戻ってくる。焔がカルマと繋がりがあると知っている以上、いくら否定しても焔の言葉は心の罅を大きくしていく。
「戻って…くる、もん。…絶対、戻ってくる、もん。」
虚ろにつぶやくこいしに焔は止めを刺した。
『カルマも面倒くさいから戻らないと言っていやがりました。』
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――。」
壊れた。塞いでいた耳を力なく降ろし、虚ろになった瞳から涙を零れ落ちた。第三の目がゆっくりと閉じていく。まだ何か言っているようだが、耳に入らない。だが、焔が部屋から出る時の言葉は聞こえた。
『自由にしやがってください。縛る鎖は無くなりやがりました。』
「―って感じ?」
笑いながら語る彼女だったが、3人は唖然としていた。第一カルマは戻らないと一言も言っていない。
「……何を考えているんだ、アイツは。」
「分からないわね。でもそれは本当に焔だったのかしら。」
「間違いないと思います。こいしの部屋から出てきた所は私がしっかりと見てますから。」
さとりが焔の姿を見たのはこいしが心閉ざした直後だろう。
「…これは宿主の麗夢に聞いてみた方がいいかしら?」
「そうだな。焔のことなら、アイツの方が分かっているだろうからな。」
「私が知らせてくるから、カルマは焔をお願い。可能性は低いけど、まだ地底にいるかもしれないわ。」
「わかった。」
紫はスキマを開き、地上へと戻っていった。善は急げ。早速行動に移すべく膝の上のこいしを下ろし、カルマも立ち上がった。
「あれ?お兄さんどうしたの?」
「焔を探す。」
「じゃあこいしも行くー!」
しかし、こいしにさとりが待ったをかけた。
「駄目よ、こいし。危ないし、カルマさんに迷惑が掛かるわ。」
「えー。」
「…いや、こいしは連れて行こうと思う。」
「ちょ、ちょっとカルマさん!?」
「やたーっ!」
彼女の能力はまだ分からないが、少なくとも彼女の認識を阻害することができる。ならば、尾行もできるかもしれない。チラッと見ると、無邪気に喜んでいるようにも見える。尾行してくれるとは思えない。
「人数は多いに越したことはないだろ。」
「で、でも!」
「安心しろ。危険な目には合わせねぇから。」
「……。」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん!こいし強いから。」
胸を張る妹の様子に溜息を付くと、カルマに頭を下げた。
「妹をお願いします。」
「あぁ。」
「お姉ちゃん、固いぞー。」
疑問に思っている人も多い(?)と思うので、解説をば。
心を閉ざすと大抵は無表情とか暗いイメージが濃いと思います。
こいしの場合、元から子供らしい性格であるため、心を閉ざすとその性格だけになる。
という感じですかね。
焔に何があったのかねぇw
ヒント、焔は善狐の霊です。
わっかるっかな?w
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。