東方禁初幻譚   作:鈴華

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遅れてごめんね?
土日と学校で多忙だったもんでw

幻想万華鏡、次は非想天則編ですってw
チルノ溶けるでしょ、あれw

それでは、本編どうぞ。


Ep,19 2人=1人

辺りに漂う土煙で幻月の様子が分からない。麗夢は荒い呼吸をしながら横たわっていた。ここまで殴り飛ばされ、身体はボロボロだ。現に彼女の右腕と右肋骨数本が折れ、服がボロボロに擦れており、そこから露出した肌からは血が滲み出てきていた。ここまで飛ばされる間にあちこちを打ち付け、意識を保っていられるのもやっとの激痛が走っている。

 

「――ッ!」

 

こちらに急速に迫ってきている気配を感じる。幻月だ。彼女は麗夢に休む暇を与えるつもりはないらしい。

 

「はぁ…はぁ…。“歪屈折”。」

 

幻月は風圧で土煙を吹き飛ばし、麗夢の姿を見つけた。瀕死の状態だと分かると、彼女に向けて容赦なく弾幕を放った。爆発音とともに煙が舞うが風圧ですぐ煙を晴らす。

 

「うん…?」

 

しかし、そこには瀕死の麗夢がいるだけで今の攻撃でダメージを負った様子はない。疑問に思うが狂気がそれを上回り、今度は飛び蹴りを放つ。当たる寸前に彼女に薄い笑みが見えたがそんなことは関係ない。

 

―ドゴォォン!!―

 

避けきれる速度と衝撃ではない。確実に捕らえたはず、だった。

 

「感触がない…?」

 

蹴りが直撃し肉を潰し骨をも砕き内臓すらも潰す。その感触が伝わってこないのだ。麗夢もこの場所にいない。少し離れた場所に岩にもたれてやっと立ち上がったところと言ったところだった。

 

「―ちっ。」

 

予想できるのは先の戦いで見せた移動手段。それで回避したのだろう。手を振るい、弾幕を放つ。だが、その弾幕は当たることはなかった。先程思い浮かべた方法で躱したのなら、まだ分かる。弾幕は彼女に当たることなくすり抜けたのだ。

 

「…は?」

 

再度放っても攻撃は当たらず、彼女をすり抜けていく。

 

「どういう、ことか。分からな、いでしょう?」

「喋るな、目障りなのよ!」

 

瀕死の癖に余裕の表情を見せるゴミに苛立ちを覚え、急接近し爪を立てて振り下ろした。しかし、その攻撃すらも彼女をすり抜ける。

 

「クソックソォッ!」

「当たらなくて…当然です。私、はそこに…いません、から。」

 

麗夢の能力は歪められる概念があるものなら、その全てを歪めることができる。今幻月が見ているのは、ただの光の屈折で出来た虚像でなく、光の軌跡を歪めて生まれた虚像。そう簡単に見つけられるものではない。

 

「ふざっけんなっ!」

 

ただそれはその場しのぎ。今のように全方位に弾幕は放たれれば、必ず当たる。

 

「あぁ。やはり…そう、来ますか…。」

 

―“開門”―

 

空間が割れ、麗夢の前に大鎌が飛んできた。鎌は彼女の前で突き刺さり、大きな刃が弾幕から彼女を防ぐ。

 

「…カルマ?」

「なんだ?」

 

遅れて開門からカルマが姿を現した。彼の登場に麗夢は安堵の表情を浮かべる。

 

「遅いです…。」

「悪かったな。お前はひどいありさまだな。」

「…すみません。」

「別に責めてねぇよ。悪いが俺には回復手段がねぇからな。」

「分かっていますよ。」

 

禁忌魔法に回復魔法は存在しない。“黄泉還り”で回復させることができるが、それには一度死ななければならない。加え、カルマの禁忌魔法の使用数にも限度がある。そう易々と使うつもりはない。

 

「夢月さんは…どうしました?」

「昏倒させてある。しばらくは起きねぇだろうよ。」

 

カルマが戻ってきたことに安堵の息を吐き、麗夢は“歪屈折”を解いた。虚像が消え、幻月は麗夢の姿を捕える。しかし、そばには夢月に任せたゴミがそこにいるではないか。

 

「…夢月?」

 

辺りを見回しても妹の姿がない。

 

「夢月を…どうしたあああああああああああああああああっ!!!」

 

彼女は怒りに任せ、標的を麗夢からカルマに変えると猛スピードで突進する。鎌を引き抜き、近づいてくる幻月に振り下ろす。

 

「ゴミがあああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

―ピシッ―

 

幻月の掌打が刃にぶつかり拮抗するかと思えたが、刃から微かに音が聞こえてきた。距離を取るべきなのだが、背後には瀕死の麗夢がいる。退くわけにはいかない。

 

「チィッ!」

 

力任せに振りぬき幻月を遠ざけるが、彼女は臆することなく懐に入り込んできた。

 

「死ね!シネシネシネシネシネシエエエエエエエエエエエエエエッ!!」

「“キマイラ”!!」

 

大鎌を消し、瞬時に怪物の鎧を被る。幻月の拳がカルマの腹に直撃。予想以上の衝撃に彼の身体がほんの少しだけ浮いた。浮いた身体に回し蹴りが襲い掛かる。

 

「舐めるなっ!」

 

右腕で受け止めて衝撃を回転力とし、顎から蹴り上げる。

 

「カフッ!?」

 

打ち上げられ、今度は幻月の身体が宙を舞う。そこへ右腕で殴り飛ばした。空気抵抗をものともせず、彼女の身体が飛んでいき、轟音と共に砂煙が舞った。

 

「…やりましたか?」

「…いや、駄目だな。」

 

麗夢の目は捉えられなかったようだが、カルマはしっかりと目に見えていた。砂煙の中から飛び出してきた幻月を後ろから支える形で夢月の姿があった。カルマの昏倒から復活した夢月は幻月の元へと急ぎ、彼女の背後に回り込んで支えることで衝撃を和らげたのだ。

 

「頑丈だな、悪魔ってのは…。」

 

 




幻月の狂気に妹を無くした怒りで更に暴走。
いやぁ、すごいねっw
なんたってカルマの大鎌から不穏な音が聞こえてきたものねぇ( *´艸`)
そして夢月復活。
この後どうしようか考えてませんっ!(`・ω・´)

麗夢の技解説~。
歪屈折 - 光の軌跡を歪めて虚像を作る技。屈折のように軌跡を反射させるという単純な光の進路でないので、居場所を突き止める事は困難とさせる。

最後になんとなく入れてみた、フラグ的なものw
「やったか?」ってやつよ。
麗夢に言わせました(*´▽`*)

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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