東方禁初幻譚   作:鈴華

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シリアスが多くてギャグが少ない・・・。
あ、そうだ!
そのうちNG集とかやってみようかなw

それでは、本編どうぞ。


Ep,16 夢幻

「…あれ?もしもしエリーさーん?」

 

カルマが現れた直後に微動だにしなくなったエリーの前で手をひらひらさせてみる麗夢だったが、それでも反応がない。

 

「気失ってんぞ、そいつ。」

「…みたいですね。」

「どうすんだ?先進むかここで待つか。」

「そうですねぇ…。」

 

ここに焔がいれば判断の幅も広がるのだが、無いものを強請ってもしょうがない。

 

「カルマはここで待っててください。私が中に入ろうと思います。」

「……。」

 

彼は固まっているエリーを一瞥すると溜息をつくと門壁に背中を預けた。万が一に備え、大鎌も傍らに掛けておく。

 

「さっさと行ってこい。」

 

カルマは腕組みをして館を顎で示した。それに頷き、麗夢は重々しい扉を開けて夢幻館の中へと入っていった。

 

 

 

館の中は薄暗い程度で汚れらしい汚れは見受けられなかった。しかし、従者らしい者の気配は一切感じられず人気がない。

 

「曰くつき物件みたいですね…。」

 

下駄の音だけが響く中、麗夢は歩みを進めて行く。外から見て分かるほどの大きさがあり、迷いそうだが彼女は空間を飛ぶことができるため問題ないだろう。外に面した廊下に差し掛かかり、ふと外に見てみるとそこには庭一面を覆う花が広がっていた。

 

「…あ、見つけました。」

 

探し人はその花畑の中に居た。流石に窓から出るわけにいかなず、空間に穴をあけて外にでた。

 

「風見幽香さんでしたっけ?」

 

彼女の呼びかけに幽香は半ば振り返り、日傘の下から除く鋭い目つきでこちらを睨んできた。

 

「…また来たのね。……白菜ライムだったかしら?」

「博麗麗夢、です。は・く・れ・い・れ・い・む!」

「そうだったわね。」

 

幽香はそれだけ言うとこちらに背を向けた。なんとも言えないやりにくさに彼女は溜息をついた。

 

「お話があります。」

「話っていうのは以前来た時と同じことかしら?」

「そうです。」

 

差していた傘を閉じると彼女はその先を麗夢に向ける。以前にも同じことをされていたために対処は簡単だ。すぐに空間を歪める準備を済ませる。

 

「前に言ったでしょうが。聞く気はないわ。」

「そういうわけにはいかないのですよ。」

「つまらないことに協力する気はないわ。」

「つまらなくありません。未来のためです。」

 

一触即発の雰囲気が流れ、辺りの花たちもざわざわと騒ぎ出した。麗夢の周りも歪み、背後の屋敷が歪んだように見えてくる。

 

「…そういえば、エリーはどうしたのかしら?ここに来る以上、門を通るはずだけど。」

 

幽香は警戒を解くことなく、問いかけてきた。

 

「エリーさんならカルマが相手してあげていると思いますよ。」

「……知らないわね。」

 

幽香にとって花以外に興味をほとんど示さないため、カルマのことを知ってはいない。

 

「カルマもあまり既知になりたくはないような節があるので、問題はありませんね。」

 

カルマが初対面の際にすることと言えば、簡潔に自分の名前を教える程度だ。聞かれない限りか話の流れで言う以外に自分の事は口にしない。

 

「そう。ならさっさと帰ってくれる?私はこの子たちに水をやらないといけないんだけど。」

 

彼女の周りには大量の花が咲いている。1本たりとも枯れるような様子が見受けられない。

 

「…よく育てられていますね。」

「当たり前でしょ。だからさっさと帰りなさい。」

 

取り付く島もない彼女に麗夢はだんだんと面倒くさくなってきていた。力で捻じ伏せてしまおうとも考えたが、相手が相手であるために交渉と言えるものではなくなってしまう。

 

「「―――――ッ!?」」

 

それは突然訪れた。いきなりの重圧に2人はバランスを崩しそうになったが、なんとか踏みとどまることができた。

 

「…来やがったわね。」

「この感じ、まさか!」

 

強力な気配はこことは違う場所、門の方から感じられた。しかも1つでなく2つ。麗夢は穴を開けると、すぐに門へと移動した。そこには鎌を構えているエリーと腕組みをしているカルマがいたが、注目すべきはこの2人ではない。

 

「私たちの世界にまたゴミが来てるみたいよ、夢月。」

「そうみたいね、姉さん。ゴミはさっさと掃除しちゃいましょ。」

 

 

 

―時間は少し遡る―

 

麗夢が館の中に入った所を確認すると、カルマは壁に背中を預けたままぼーっと空を眺めていた。

 

「…異界、か。」

 

魔界を作ったとはいえ、一度も行ったことがない。紫の計画に一区切りついたら行ってみるのもいいだろう。

 

「――はっ!?」

 

やっと意識を戻したエリーは慌てて辺りを見渡した。麗夢の姿がないことに気づき、首を傾げる。

 

「あ、あれ?白昼夢?」

「だったらよかったな。」

「ファイッ!?」

 

驚いて声のした方を見ると、カルマが呆れた目線を向けていた。対して憧れの人物がいるという状況にまた気を失うようなことはなかったが、パニックに陥っていた。

 

「あぅわわわあああああうあううううあうううああわわわああ!??」

「落ち着け。」

「おちおちおおおおおお!?」

「……。」

 

溜息をつくと、立てかけていた鎌に手を伸ばす。すると、勢いよく振るってエリーの首元で止まった。

 

「――ッ!?」

「……落ち着いたか?」

「…心臓に悪いです。」

 

パニックから冷や汗というあんまりな方法で冷静にさせられた。他にも方法はあるだろうが、カルマがそんな気遣いができるわけがない。

 

「あの巫女の言ったことは本当だったのね…。」

「あ?何か言ったか?」

「いえっ!なんでもありません!」

 

慌てるようなことはなくなったが、ガチガチに緊張してしまっていた。紫にエリーのことを少しは聞いていたが、対して興味は沸かずまた壁にもたれかかった。エリーはというと、憧れの人に会う事ができ、何か話をしようと思考を巡らせていた。

 

「あ、あの―」

 

その時だった。強大な力を感じ、彼女は慌てて鎌を構えて気配のする方へと身体を向ける。視線の先にいるのは2人。天使のような翼を生やした少女とメイドの服を着込んだ少女。

 

「こいつら…」

 

カルマが2人の観察をし始めた。そのタイミングで麗夢も夢幻館から戻ってくる。

 

「私たちの世界にまたゴミが来てるみたいよ、夢月。」

「そうみたいね、姉さん。ゴミはさっさと掃除しちゃいましょ。」

 




やっと登場させることが出来ました。
最凶最悪の悪魔ですよ。
次回は戦闘を入れるつもりです。
旧作キャラの弾幕調べないとなぁ・・・(´・ω・`)
GW使って調べ上げなくては・・・。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。



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