東方禁初幻譚   作:鈴華

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まだ四月なのに夏服の用意を始める私。
いや、だって暑いんだもんw
雨降ればそれなりに寒くなるけどさ・・・。

それでは、本編どうぞ


Ep,14 歩みを止めず

紫のスキマを通して、久々の地上に戻ってきたカルマ。ずっと地底にいたこともあり、太陽の眩しさに手を翳して目を細めた。

 

「麗夢は中にいるわ。私はまだやることがあるから、帰るわね。」

 

紫はカルマを残し、逃げるようにスキマの中へと消えて行ってしまった。彼女が逃げたのも頷ける。何故なら、そこから分かるほどに神社から何か身の危険を感じる気配を感じるためだ。

 

「十中八九、麗夢の奴だろうが…。」

 

溜息をつくと、神社の中へと足を踏み入れる。長いこと戻ってきていなかった故の懐かしさが込み上げてくるが、それは後回しだ。麗夢のいる私室の前で戸に手をかけた所でカルマの動きは止まった。

 

「…酒臭っ。」

 

戸の隙間から濃い酒の匂いが漂ってきたのだ。酒を飲んで焔の件を忘れようとでもしたのだろうか。

 

「おい、麗―」

 

戸を開けた瞬間、彼の身体が硬直した。

 

「ほえぇ?」

 

【挿絵表示】

 

酒瓶に埋もれ、完全に出来上がっている麗夢の姿があった。数秒で硬直を解けたカルマの行動は早かった。すぐさま目をそらし、上着を彼女に投げつけた。

 

「少しくらい隠せよ、馬鹿が!」

 

しかし、酔いの回っている麗夢にそんな判断ができるわけもない。

 

「えへへぇ、カルマがいる~。」

「さっさと着ろ!」

「らってあちゅいんですもーん。」

 

焔がいなくなっても、脱ぎ癖は治っていないようだ。麗夢の酔いが覚めるまで、別室に行こうとしたが、それよりも早く彼女がカルマの脚にしがみついてきたのだ。

 

「うおっ!?」

「かぁるまぁ~。うふふ。」

「くそっ、離せ!」

「いーやでーす、えへえへ。」

「ちぃっ!」

 

―第11禁忌魔法―

 

「“ロスト”!」

「……あれ?」

 

麗夢は体内にあったアルコールを消され、一気に酔いが覚めた。見上げればカルマの目を逸らしている姿。そして自分のあられもない恰好。

 

「きゃああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」

 

 

 

乱れた服を着直した麗夢は膝を抱えて部屋の隅に座っていた。そこ場所だけ夜になっているかのように暗い。

 

「うぅ…、もうお嫁にいけない…。」

「…いい加減機嫌直せ。」

「帰ってくるなら来るって教えてくださいよ、もぉ…。」

 

酔っている間のことは記憶しているタイプの麗夢は自分のやってしまったことで恥ずかしさを感じていた。彼女は攻めて行くタイプだが、攻められたりハプニングには弱い一面がある。

 

「…責任、とってください。」

「そういう話をしに来たんじゃねぇよ。」

「むぅ、知ってますよ。焔のことでしょう?」

「そうだ。」

 

ここへ来たのは焔を失った麗夢の様子を見るためだ。彼女が泥酔していたことから、精神的に追い詰められていたのだろう。

 

「話は聞いているでしょうけど、もう焔とは繋がりが切れています。何も感じないのです。」

「そうか…。」

「夢幻世界の件もありますし…。」

「…紫は駄目なのか?」

 

夢幻世界には風見幽香という強力な妖怪が居着いている。彼女はあの高火力の光線を持っている。恐らく他にも何かあるだろう。

 

「紫さんは今境界の結界の術式をくみ上げている最中です。規模が大きいですからね。式をくみ上げては更に手を加えているのですよ。」

「紫にもやることはあるか…。」

「はい、かと言って私は焔がいないので、戦うこともできないようなものですし。」

 

麗夢の戦闘手段は焔の炎が主体で攻撃を行っているものが多い。

 

「止むおえんか。俺が行く。」

「でも地底はどうするのですか?」

「出来るだけ早く済ませれば、問題ない。」

「魔力は大丈夫ですか?さっきだって私に…。」

 

酔っていた時のことを思い出したのか、彼女の顔が赤面になってしまった。

 

「永琳の所に行けば、薬があるだろ。」

「…そうですか。なら、ここで待っててください。私が取ってきます。」

 

少しでも魔力の消費を抑えた方がいい。そう判断した麗夢は空間を歪めて、永遠亭へと向かっていった。

 

「貴方が来てくれて助かったわ。」

 

麗夢がいなくなると、スキマを開いて紫が顔を出してきた。

 

「何がだ。」

「あの娘、酔うと脱ぐは絡むはで大変だったのよ?」

「そうかよ。」

 

先の様子から彼は今後彼女の酒を飲ませないと誓った。酔ったとしても近づかないようにしよう。

 

「―で、俺は永琳の薬を飲んだ後に夢幻世界に向かう。」

「えぇ、聞いていたわ。」

「夢幻世界の情報が欲しい。」

「はいはい。」

 

夢幻世界はこことは違う世界であり、入り口は博麗神社の裏口の湖にある。元々は2人の悪魔が作り上げた世界であり、夢幻館に住んでいた。しかし、今は風見幽香という妖怪が住み着いている。

 

「こんなものかしら。あぁ、あとエリーって娘が門番をしているわね。その娘、鎌を使った戦いをするんだけど、誰かさんを尊敬してるとかで、真似た戦いをするのよ。」

「…俺とか言わんだろうな?」

「残念。貴方のことよ、カルマ。」

 

クスクスと笑う紫に対し、うんざりとした表情をするカルマ。

 

「面倒だな。俺と麗夢の2人で行った方が良いか…。」

「麗夢は交渉、貴方は戦力。意外とスムーズにいきそうね。」

「まぁな。」

「お互いが支え合ういい関け―」

 

最後まで言わせずに、カルマの大鎌が紫の頭上から落ちてきた。すぐに頭を引っ込める紫。その隙にカルマはスキマの傍まで移動する。

 

「あ、危ないじゃないのよ!」

「さっさと帰れ!このド低能!」

 

彼女の頭をスキマの中に押し込むと、彼はスキマを抑え無理やり閉じさせた。

 




際どい所は隠したったぞドヤァ(`・ω・´)
麗夢がいつも通りに見えるのは仕事で現実逃避をしているようなものです。
お酒もそのためにがぶ飲みしてもらいましたw
あ、お酒の飲み過ぎは注意しましょうね。
急性アルコール中毒とかあるから。
私?飲まんよw

焔がいないのに脱いでいるのは、身体に染み付いちゃったようなものです。

禁(ry
第11禁忌魔法“ロスト” ー 今回は麗夢の体内にあるアルコールを消しただけだが、本来は対象をあらゆる記録から存在を抹消するもの。

次はカルマと麗夢で夢幻世界です。
エリーがどうぶっ壊れるのか、私もわかりません( ´艸`)
でもぶっ壊れるのは確実だよw

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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