新入生、新社員のみなさん頑張ってください。
それでは、本編どうぞ。
カルマは地霊殿の廊下を歩いていた。
「………。」
「あ、魔神さま。」
1匹の猫が炎と共に人間の姿に変わって、カルマに話しかけてきた。
「燐か。」
ここで住ませてもらっている以上、何度か顔を合わせているため、名前も覚えている。
「焔を見ていないか?」
「んー?見てないけど…。」
「そうか…。」
「焔がどうしたの?」
「いや、見ていないならいい。」
気にするなと彼はお燐に手を振りその場を後にしようとしたが、お燐に呼び止められた。
「あっ、さとり様が呼んでたよ。」
「…分かった。」
「場所は分かるよね?」
「初めて来た時に交渉した部屋で合ってるか?」
「合ってるよ。」
「分かった、今行く。」
お燐と別れ、さとりのいる部屋へと向かう。だが、部屋の中ではなく外にさとりはいた。
「中に入らねぇのか?」
「貴方にお客様よ、カルマさん。」
「客だと?」
「心を読まれるとやるづらいからここにいるの。話がまとまったら教えて。」
そう言い残すとさとりは去って行ってしまった。不審に思いながらも扉を開ける。中に居た彼女はノックもなしに入ってきたカルマに驚き、紅茶で咽せてしまった。
「…何してんだ、貴様は。」
「けほっけほっ…。ノックくらいしなさいよ、カルマ。」
「知らん。」
確かにノックをしなかったのは悪いが、彼女―八雲紫にそんなことしてやる義理はない。そのまま紫の対面に腰かける。
「はぁ…ふぅ。さてカルマ、そっちの進み具合はどうかしら?」
「あ?…まぁまだ掛かるか。アイツ、当初よりかは明るくはなったがこの館からまだ出ていないからな。」
「そう、まだまだ時間は掛かりそうね。」
「まぁな。そっちはどうなんだ。」
「そうね…。良い報告と悪い報告、どっちがいいかしら?」
指を2本立てて彼女は聞いてきた。対し、カルマは溜息をつくのみ。
「どっちでもいいから、早くしろ。」
「釣れないわねぇ。まぁいいわ、良い方から話しましょうか。」
紅茶で喉を潤すと彼女はこれまでの報告を始めた。
「私の計画の範囲に入る世界の交渉で天界、冥界、魔界、仙界の4界が了承したわ。あとは夢幻世界だけ。」
「他の界があるなど聞いていないが?」
「言ってないもの。」
「テメェ…。」
「対して大きな事態でもないでしょ?」
「魔界に至っては関係があるんだが。」
魔界の管理はしていないとはいえ、作ったのはカルマだ。少なからず関係はしてくる。
「あちらはカルマがいるからって許可もらったわよ。」
「もう少し考えろよ、あのバカ…。」
「信頼されてるんでしょう?いいことじゃない。」
「…ちっ。で、悪い方はなんだよ。」
重要なのは悪い報告の方だ。場合によっては今後の計画を変えなければならない可能性がある。
「…私が何故ここにいるか分かるかしら?」
「あ?」
今まで地上と地底の連絡係は焔がやっていること。一度地上に戻り、麗夢と夢幻世界にいったようだが、その後も連絡は焔が担当していた。それが今回は紫がやってきた。
「焔に何かあったのか?」
「…繋がりが切れたのよ。」
「何?」
繋がりが切れた。話の流れから焔との繋がりだということは分かる。
「どういうことだ?麗夢はどうした?」
「ふぅ…。麗夢は焔が憑りついた狐憑きってことは知ってるわね?」
「あぁ。」
麗夢は餓死しかけていた時に焔が憑りついたことで生き永らえた。それは彼女本人やルーミアから話を聞いている。憑りついている故に狐火の力も使えることも知っている。
「以前ルーミアと焔が戦っていた時も麗夢は焔の存在を感じていたわ。」
麗夢と焔は繋がっている。場所は分からなくても、その存在を感じることができるのだ。それは勘に近いものだとも言えるだろう。
「麗夢が焔の存在を感じられなくなったのよ。」
「…成仏した、にしては急だな。」
「それは私たちも同意見。でも何故かはわからないわ。」
あの焔が何の連絡も無しに繋がりを断つとは思えない。何かあったに違いないのだ。
「麗夢はどうしてる?」
「あら何?気になるのかしら?」
にやりと笑う彼女にカルマは小さく舌打ちをし睨みつける。
「半身が消えたも同然だろうが、不安定になったりしてねぇのか?」
「そうね。普段から一緒にいたものだから、かなり不安定になってるわね。」
「…ちっ。紫、スキマ開けて待ってろ。」
カルマは紫にスキマを開かせると、そのまま退出する。部屋の外にはさとりが待っていた。
「話は終ったの?」
「いや、まだだ。悪いが俺は一度地上に戻る。」
「…どれくらいで戻ってくるのかしら?こいしをあまり待たせないでほしいけど。」
「こいしがどうしたの?」
話を聞きつけたのか、こいしが2人の前に現れた。
「あぁ、一度地上に戻ろうと―」
「えっ…。」
すると、何を思ったのかこいしはカルマに力強く抱き着いてきた。
「お、おいっ。」
「行っちゃヤダ!」
「いや…んなこと言われてもな…。」
「うぅ…。」
涙目で見上げられ戸惑ってしまったが、カルマは元々地底で住んでいるわけでもなく、ここに永住するわけでもない。いずれはここから離れなければならないのだ。
「無理言っちゃだめよ、こいし。カルマさんにも色々あるのよ。」
「うぅ、お姉ちゃん…。」
「悪いなさとり。こいしも安心しろ、出来るだけ早く戻ってくるつもりだ。」
「…分かった。」
こいしは姉にも悟られ渋々カルマから離れた。2人はカルマに手を振り別れを言うと、彼は部屋の中に戻る。既に紫がスキマを開いてこちらを待っていた。
「随分と慕われるのね。」
「知るか。さっさと済ませるぞ。」
「はいはい。」
2人はスキマを通り部屋から出て行ってしまった。
焔がいなくなっちゃいました。
何故かは数話先になるかな。
うーむ、5話くらい先かな?
次回はあの人のあられもない姿が・・・( *´艸`)
なーんかカルマが丸くなってんなぁ・・・。
こいしに甘いような気がする。
いや、まぁ・・・うん・・・。
てか、こいしがデレてきたヤヴァイw
カルマが地底に住むことになったら、絶対ブラコン(?)みたいになるんだろうなぁw
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。