東方禁初幻譚   作:鈴華

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とうに四月ですが、新生活が始まりますね。
新入生、新社員のみなさん頑張ってください。

それでは、本編どうぞ。


Ep,13 途絶

カルマは地霊殿の廊下を歩いていた。

 

「………。」

「あ、魔神さま。」

 

1匹の猫が炎と共に人間の姿に変わって、カルマに話しかけてきた。

 

「燐か。」

 

ここで住ませてもらっている以上、何度か顔を合わせているため、名前も覚えている。

 

「焔を見ていないか?」

「んー?見てないけど…。」

「そうか…。」

「焔がどうしたの?」

「いや、見ていないならいい。」

 

気にするなと彼はお燐に手を振りその場を後にしようとしたが、お燐に呼び止められた。

 

「あっ、さとり様が呼んでたよ。」

「…分かった。」

「場所は分かるよね?」

「初めて来た時に交渉した部屋で合ってるか?」

「合ってるよ。」

「分かった、今行く。」

 

お燐と別れ、さとりのいる部屋へと向かう。だが、部屋の中ではなく外にさとりはいた。

 

「中に入らねぇのか?」

「貴方にお客様よ、カルマさん。」

「客だと?」

「心を読まれるとやるづらいからここにいるの。話がまとまったら教えて。」

 

そう言い残すとさとりは去って行ってしまった。不審に思いながらも扉を開ける。中に居た彼女はノックもなしに入ってきたカルマに驚き、紅茶で咽せてしまった。

 

「…何してんだ、貴様は。」

「けほっけほっ…。ノックくらいしなさいよ、カルマ。」

「知らん。」

 

確かにノックをしなかったのは悪いが、彼女―八雲紫にそんなことしてやる義理はない。そのまま紫の対面に腰かける。

 

「はぁ…ふぅ。さてカルマ、そっちの進み具合はどうかしら?」

「あ?…まぁまだ掛かるか。アイツ、当初よりかは明るくはなったがこの館からまだ出ていないからな。」

「そう、まだまだ時間は掛かりそうね。」

「まぁな。そっちはどうなんだ。」

「そうね…。良い報告と悪い報告、どっちがいいかしら?」

 

指を2本立てて彼女は聞いてきた。対し、カルマは溜息をつくのみ。

 

「どっちでもいいから、早くしろ。」

「釣れないわねぇ。まぁいいわ、良い方から話しましょうか。」

 

紅茶で喉を潤すと彼女はこれまでの報告を始めた。

 

「私の計画の範囲に入る世界の交渉で天界、冥界、魔界、仙界の4界が了承したわ。あとは夢幻世界だけ。」

「他の界があるなど聞いていないが?」

「言ってないもの。」

「テメェ…。」

「対して大きな事態でもないでしょ?」

「魔界に至っては関係があるんだが。」

 

魔界の管理はしていないとはいえ、作ったのはカルマだ。少なからず関係はしてくる。

 

「あちらはカルマがいるからって許可もらったわよ。」

「もう少し考えろよ、あのバカ…。」

「信頼されてるんでしょう?いいことじゃない。」

「…ちっ。で、悪い方はなんだよ。」

 

重要なのは悪い報告の方だ。場合によっては今後の計画を変えなければならない可能性がある。

 

「…私が何故ここにいるか分かるかしら?」

「あ?」

 

今まで地上と地底の連絡係は焔がやっていること。一度地上に戻り、麗夢と夢幻世界にいったようだが、その後も連絡は焔が担当していた。それが今回は紫がやってきた。

 

「焔に何かあったのか?」

「…繋がりが切れたのよ。」

「何?」

 

繋がりが切れた。話の流れから焔との繋がりだということは分かる。

 

「どういうことだ?麗夢はどうした?」

「ふぅ…。麗夢は焔が憑りついた狐憑きってことは知ってるわね?」

「あぁ。」

 

麗夢は餓死しかけていた時に焔が憑りついたことで生き永らえた。それは彼女本人やルーミアから話を聞いている。憑りついている故に狐火の力も使えることも知っている。

 

「以前ルーミアと焔が戦っていた時も麗夢は焔の存在を感じていたわ。」

 

麗夢と焔は繋がっている。場所は分からなくても、その存在を感じることができるのだ。それは勘に近いものだとも言えるだろう。

 

「麗夢が焔の存在を感じられなくなったのよ。」

「…成仏した、にしては急だな。」

「それは私たちも同意見。でも何故かはわからないわ。」

 

あの焔が何の連絡も無しに繋がりを断つとは思えない。何かあったに違いないのだ。

 

「麗夢はどうしてる?」

「あら何?気になるのかしら?」

 

にやりと笑う彼女にカルマは小さく舌打ちをし睨みつける。

 

「半身が消えたも同然だろうが、不安定になったりしてねぇのか?」

「そうね。普段から一緒にいたものだから、かなり不安定になってるわね。」

「…ちっ。紫、スキマ開けて待ってろ。」

 

カルマは紫にスキマを開かせると、そのまま退出する。部屋の外にはさとりが待っていた。

 

「話は終ったの?」

「いや、まだだ。悪いが俺は一度地上に戻る。」

「…どれくらいで戻ってくるのかしら?こいしをあまり待たせないでほしいけど。」

「こいしがどうしたの?」

 

話を聞きつけたのか、こいしが2人の前に現れた。

 

「あぁ、一度地上に戻ろうと―」

「えっ…。」

 

すると、何を思ったのかこいしはカルマに力強く抱き着いてきた。

 

「お、おいっ。」

「行っちゃヤダ!」

「いや…んなこと言われてもな…。」

「うぅ…。」

 

涙目で見上げられ戸惑ってしまったが、カルマは元々地底で住んでいるわけでもなく、ここに永住するわけでもない。いずれはここから離れなければならないのだ。

 

「無理言っちゃだめよ、こいし。カルマさんにも色々あるのよ。」

「うぅ、お姉ちゃん…。」

「悪いなさとり。こいしも安心しろ、出来るだけ早く戻ってくるつもりだ。」

「…分かった。」

 

こいしは姉にも悟られ渋々カルマから離れた。2人はカルマに手を振り別れを言うと、彼は部屋の中に戻る。既に紫がスキマを開いてこちらを待っていた。

 

「随分と慕われるのね。」

「知るか。さっさと済ませるぞ。」

「はいはい。」

 

2人はスキマを通り部屋から出て行ってしまった。




焔がいなくなっちゃいました。
何故かは数話先になるかな。
うーむ、5話くらい先かな?
次回はあの人のあられもない姿が・・・( *´艸`)

なーんかカルマが丸くなってんなぁ・・・。
こいしに甘いような気がする。
いや、まぁ・・・うん・・・。
てか、こいしがデレてきたヤヴァイw
カルマが地底に住むことになったら、絶対ブラコン(?)みたいになるんだろうなぁw

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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