東方禁初幻譚   作:鈴華

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PSO2にばっかりやってて執筆活動がおろそかになる今日この頃。
仕方ないじゃない仕方ないじゃない!
だって楽しいんだもん!

それでは、本編どうぞ。


Ep,11 綺麗な薔薇には棘がある

暫くエリーを弄って遊んでいた麗夢だったが、それも終わりを告げた。館の扉が開き、中から1人の女性が現れた。彼女は日傘を差しこちらに近づいてくると、門を開けた。麗夢に向けられた視線は鋭く刃のようだ。その視線は麗夢からエリーに移る。エリーは彼女の存在に気付いておらず、まだ唸っていた。

 

「エリー。」

 

彼女の呼びかけてもエリーは気付いておらず、しゃがみこんで唸っていた。すると彼女の頬がピクリと動く。それに気づいたのか雰囲気を察したのか、麗夢は2人から少し距離を取った。

 

「…エリー。」

「ぅぅぅ。あーでもこれでも…。しかしでも…。」

「……。」

 

彼女は無言で傘を閉じるとそのままエリーの頭に振り下ろした。

 

「あべしっ!?」

 

奇声と共にエリーは頭を抑えた。相当痛かったのか彼女は涙目になっていた。

 

「…エリー、アンタ何してるわけ?」

「ゆ、幽香様っ!?」

 

ようやく彼女の存在に気付いたエリーはバネ仕掛けのように立ち上がった。

 

「こ、これは…違うんです!」

「何が?」

「え、えっと…。」

 

慌てふためく彼女は麗夢へと助けを求めて視線を向けるが、彼女は我関わらずと明後日の方向を向けていた。

 

「(ちょ、ちょっと巫女!助けて!)」

「すやぁ…。」

「(立ったまま寝たふりしないでえええ!!)」

「えりぃ…?」

「あはいごめんなさいですなんでもないですほんとごめんなさい。」

 

エリーは冷や汗を滝のように流しながら、幽香と呼ばれた女性に平謝りしていた。その女性はというと、閉じた傘でエリーを刺しながら責めていた。

 

「焔、おそらく彼女は夢幻館の新しい主のようですね。」

『そのようでいやがりますね。警戒しやがりましょう。』

「―で?そっちの女と妖怪は何の用?」

 

話の矛先が麗夢に向いたようだ。視線を戻せば傘の矛先もこちらに向いていた。

 

「そう警戒しないでください。ちょっとお話したいことが―」

「嫌よ。」

「……。」

「……。」

 

この瞬間、2人の間に激しい火花が散った。このような受け答えならカルマと何度もしたものだが、それは彼が素直でないだけ(麗夢視点)。しかし彼女は純粋に嫌悪を露わにしていた。

 

「話だけでも。」

「嫌よ。」

「どうしてもですか?」

「しつこいわね。私は眠いの。さっさと帰ってくれる?」

「こっちにも理由があるのですが。」

「知ったこっちゃないわね。私には関係ない。」

「……ちっ。」

 

小さく舌打ちした瞬間、彼女に向けられていた傘から高火力の光線が放出された。辺りの景色を飲み込むほどの光が消えると、そこには無傷の麗夢がいた。

 

「驚いたじゃないですか。」

「……。」

 

ただ空間を歪めて開いた空間に光線を逃しただけなのだが、光量が彼女の穴を隠してしまっていたため、相手からどうなったかわからないだろう。もっとも手応えがないことには気づいているだろうが。

 

「…名前はなんて言うのかしら、アナタ。」

「私ですか?博麗麗夢といいます。」

「そう。一応覚えておくわ。」

 

それだけ言い残し、彼女は小さく欠伸をすると館の中へ戻って行ってしまった。女性が去ったことで安心したのか、エリーは傘で刺された頭を押さえていた。

 

「う、うぅ…まだ頭がジンジンする…。」

「エリーさんエリーさん。」

「あっ!さっきはよくも無視してくれたわね!」

「先程の女性がこの館の主ですか?」

「無視かっ!?…はぁ、そうよ。今の女性が風見幽香様。ここの新しい主。」

「風見、幽香さん…ですか。」

 

どうやら予想以上に難しい相手になってしまったようだ。だが、話が通じるだけマシというものだろう。これがもしあの2人の悪魔なら話など通じるはずもない。

 

「今日は出直すことにしましょう。また来ますと伝えておいてください。」

「もう来んな!」

 

露骨に嫌そうな顔をするエリー。しかし、目的を完遂する以上ここに何度も通うことになるのは必然と言える。夢幻世界から出るために空間に穴をあけて、麗夢は夢幻世界を後にした。

 

 

 

外は既に日が暮れ、月が見え始めていた。足早に神社に戻ると紫がのんびりとお茶を飲みくつろいでいた。

 

「あら、おかえりなさい。随分と時間がかかったようね。」

「はい、おかげさまで。」

 

紫と対面する位置に座ると藍がお茶を置き、紫の後ろに戻っていった。置かれたお茶を一口つけてから現状を報告することにした。

 

「そちらはどうでした?」

「こっちは滞りになく進んでいるわ。天界も仙界も大きな問題はないわね。」

「それは上々です。」

「そっちはどう?」

 

麗夢はお茶を飲み一息つくと、夢幻世界での物事を話した。

 

「風見幽香、ね…。」

「はい。明日もあちらに行くつもりですが、あまり期待はできません。」

「そうね。」

 

紫は顎に手を当て、少し考えてから口を開いた。

 

「夢幻世界にはまた違う時にしましょう。少し対策を立てた方がいいわね。」

「そうします。」

「そうして頂戴。魔界の方は私がやっておくわ。」

「はい。ありがとうございます。」

「今日は疲れたでしょ?ゆっくり休みなさい。」

「そうします。」

 

紫は彼女の言葉に頷き、スキマの中へと戻っていった。麗夢も小さく欠伸をすると、居間を後にし夕食の準備へと取り掛かった。

 




この時の幽香は旧作デザインの幽香です。
要は長髪の方ですね。
旧作はどうかは知らないけど、S気はあるつもりですw

交渉決裂ということで、この後も夢幻世界に行く予定です。
あの悪魔も出てないしねw
次回は再び地底に戻るつもりです。
紫の交渉は書きませんw
天界の総長がどんな人かわからないので(´・ω・`)
仙界には太子いるようですが、めんどkげふんげふん(´Д`;)
魔界はもう少し引っ張りたいので、こっちも無しでw

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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