東方禁初幻譚   作:鈴華

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待たせたな皆の衆!
花粉に負けて帰ってきたぞ!:;(∩´﹏`∩);:
鼻水がやっばいですw

それでは、本編どうぞ


Ep,10 鎌使いの門番

目を開けると、そこは麗夢のいた湖ではなかった。一帯を白亜の石で敷き詰められた光景が広がっている。

 

「…思ったより何もないですね。」

 

見上げれば、夜空が広がっていた。しかし、ここへ来たのはまだ日が出ている時間帯。どうやら外と中で時間が違うらしい。

 

『建物はありやがりますが、壊されていやがりますね。』

 

辺りには瓦礫の山があちこちにあり、元々ここに何か建物があったと思われる。しかし、今の所は人らしい気配を感じられない。

 

「一先ず進みましょうか。」

 

ここで呆けていても仕方ない。歩みを進めるたびに下駄の音が虚しく辺りに響き渡る。

 

「あれは…。」

 

視線の先で景色が変わっている箇所があった。今まで白一色だったが、途中から青いタイルに変わっているのだ。そして、その更に先には館が建っているのが見える。

 

『あのスキマ妖怪が言っていた夢幻館でいやがりますかね。』

「ここまで殺風景な中に1つだけあれば嫌でも目立ちますからね。そうだとは思いますけど。」

 

更に近づこうと一歩踏み出すと、青いタイルが飛んできた。横に飛んでタイルを躱し、前を見据えると門の隣に1人の少女がいた。門からここまで距離は開けている。まさかあそこから飛ばしてきたのだろうか。

 

「―ッ!」

『咢。』

 

更にタイルが襲い掛かってくる。焔の炎を全身に纏うと、そのまま駆け出した。タイルが炎に当たるも爆ぜてしまい、攻撃にならない。すると、少女は肩にかけていた湾曲した大鎌を投げつけてきた。

 

「よっと…。」

 

それを軽く飛んで躱し、更に距離を詰めていく。

 

『伏せやがってください!』

「キャッ!?」

 

焔がいきなり麗夢の身体の主導権を握ると、姿勢を低くした。すると頭上を先程通り過ぎた大鎌で戻ってきた。そして、少女の手元も戻る。

 

「まるでカルマみたいなことしますね…。」

『関心している場合じゃいやがりませんよ。』

「分かっています。“刀忠火葬”。」

 

全身に纏っていた炎を両手に集めると、距離を詰めるために駆け出した。相手も麗夢に対抗しようと、鎌でタイルを剥がして飛ばしてくる。それを炎剣で捌ききっていく。到頭距離が零となり、鎌と炎剣が衝突する。

 

「アンタ、何者よ!」

「ちょっとした巫女さんですよ!」

「んなわけないでしょ!」

 

力任せに炎剣を弾き、鎌を振るう。麗夢は身を翻してそれを躱した。

 

「1つ聞きます。ここが夢幻館で合っていますか?」

「そうよ。私はここの番をしてるエリー。」

「エリーさん、ですね。ここを通してくれませんか?」

「それはできない相談ね。」

 

エリーは姿勢を低くし、鎌を肩に担いでいつでも振り下ろせる体勢に入った。その構えに麗夢は身に覚えがある。

 

「面白い構え方をしますね。」

「“あのお方”を真似ているけど、私もこの方がやりやすいから。」

「“あのお方”?」

 

彼女の口から出た言葉。それには尊敬の念が込められていることが分かる。そして麗夢の身近に同じ構えをとる人物が存在している。十中八九あの魔神のことだろう。

 

「もしかして、カルマのことですか?」

 

エリーの顔が驚愕に染まった。図星ということだろう。

 

「カ、カルマ様を知っているの!?」

「知っているも何も、一緒に住んでいますよ。」

「マジッすか!?」

「え、えぇ…。」

 

瞳を輝かせるエリーに若干ながら引き気味の麗夢。傍から見れば彼女もそうなのだが、黙っていようと思った焔だった。

 

「いいなぁ。あのカルマ様と一緒に居られるなんて…。羨ましいなぁ…。」

「あ、あのぉ…。」

「…はっ!」

 

コホンと咳払いをすると、エリーは再び構えを取った。

 

「カルマ様の知り合いなのは分かったけど、ここを通すかは別よ。」

「…最近のカルマについて知りたくないですか?」

「知りた…いやいや、乗せられないわよ。」

「カルマに会いたくないですか?」

「会いたぁぁぁああくないわけじゃないけどもっ!?」

 

麗夢の誘いに乗らないよう首を横に振るエリー。彼女の様子を見て、麗夢は笑みを浮かべた。

 

 

 

「上手いこと利用されている気がする…。」

「…お兄さん、どうしたの?」

「いや、何でもない。」

「……?」

 

 

 

「ここを通してくれれば、会わせてあげなくもないですよ?」

「うっ…。そ、そういうわけには―」

「鎌の扱いについて、教えてくれるかもしれませんよ?」

「ぐぬぬ…。」

「手とり足とり指導してくれるかもしれませんよ?」

「ううぅぅぅぅぅぅぅ……。」

 

麗夢の甘い言葉に葛藤するエリー。挙句の果てには頭を抱え込んで唸るばかりだ。

 

『目的を忘れていやがりませんか、麗夢?』

「そんなわけありませんよ。」

 

 




はい、くるみに続いてエリーの登場です。
エリーは鎌持ってたので、カルマと少しつなげようと思ったんです。
だからと言って、サボり魔の死神とはなんのつながりもないですよ?w

最初のうちはちゃんとした戦闘をするつもりだったんだけどねぇw
エリーの「仕方ないじゃない!」ってセリフと麗夢の存在でこうなりましたw
いやぁ、麗夢がいるとなんでこうなるんだろ・・・。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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