みんな逃げて、超逃げて!
ところでSOUND HOLICの紺珠伝アレンジが良曲すぎて好き(*^▽^*)
それでは、本編どうぞ。
古明地さとりとの交渉で妹である古明地こいしを治すことが条件となった。だが、こいしの心の傷は思ったよりも深く、まだ治ったわけではない。彼女の療養を続けた方がいいだろう。条件が条件であるため、見捨てるわけにもいかない。数日は地底に残る。
『―と言ってやがりました。』
場所は地上。カルマからの伝言を持って焔が地底から戻ってきていた。今の焔は地上と地底の連絡役として地上と地底を行き来している。
「…………がする。」
『…はい?』
焔の報告を聞いた麗夢はお札を作る手を止め、何か呟いた。しかし、声が小さく聞こえにくい。
「女の匂いがする。」
『……。』
静かに素早く立ち上がると、彼女は早足に部屋から出て行こうとした。それを焔は慌てて止めに入る。
『ど、何処に行きやがるつもりですか!?』
「何処って?カルマのいる場所に決まってるでしょう?」
何処に地雷があったのか、焔にはわからない。それもそのはず、彼女は有りのままに報告しただけなのだから。
「退いてください、焔。カルマの場所に行けません。」
『だ、駄目でいやがります!麗夢が地底に行ったら、色々不味いでいやがります!』
「フフフ、カルマァ…。今行きますからねぇ。」
焔の直感が告げている。今の麗夢を野放しにしては、大変なことが起こる。現に、麗夢の回りの空間が歪んで、まるで歪んだコートを着ているようにも見える。
「「――ッ!!?」」
「カ、カルマさん。何か感じました?」
「…あぁ。よくわからんが、何か悪寒が…。」
「私も身の危険を感じました…。」
「「……。」」
彼女を何とかして行かせまいと、自身の炎を燃え上がらせ、麗夢の行く手を阻む。
「何の真似ですか、焔。邪魔しないでください。」
『駄目でいやがります!本当に駄目でいやがりますから!』
「カルマは私の物です。誰にも渡しません。」
『話が噛み合っていやがりません!?』
「斯くなるうえは、空間を歪めて―」
「そこまで。」
「ぁぅ…。」
スキマが開き、背後から現れた藍は首元に手刀を落とした。すると、麗夢は気を失い、パタリと倒れ込んでしまった。
「まったく、お前が行ったら紫様の計画が丸潰れだろうに…。」
『た、助かりやがりました。』
安堵の溜息を付く焔は、麗夢の中に入った。すると、彼女の意思に関わらずに麗夢の身体が起き上る。限定的ではあるが、このように焔が身体の主導権を握ることもできる。そのまま布団を敷き、横になると、焔は麗夢の身体から抜け出した。
『はぁ…。どーしてこーなったのでいやがりましょーか…。』
焔は麗夢に憑りついた当初のことを思い出した。あの頃は痩せ細っていたとは言え、大人しい性格だった。それは身体が回復した後も変わらず、八雲紫の計画にも一生懸命に参加していた。人当りもよく、近くに住み始めた人たちからも好かれていた。
「恋心とはそういうものだ。人を変えるに十分な力を持つ。」
『麗夢らしい歪んだ恋でいやがりますね。』
「…まったくだな。」
歪める力を持つ彼女にとってはお似合いな恋なのかもしれない。そう思い、藍は苦笑を浮かべた。
『それでは、地底に戻りやがります。何か伝えることはありやがりますか?』
「…それなら、一度地底に行った後、こっちに戻ってきてくれ。麗夢とやってもらいたいことがあるそうだ。」
『…?地底は魔神に任せやがるつもりですか?』
「そうらしい。まぁ、魔神様に任せておけば大丈夫だろう。」
『…わかりやがりました。』
藍に一礼すると、焔は地底に戻るために掻き消えてしまった。
「いいんですか、紫様。」
「何がかしら?」
藍が語り掛けると、スキマが開き、紫が顔を覗かせた。そんな紫を藍は咎めるような視線を向ける。
「反乱分子のことです。」
「あぁ、アレのことね。」
人間と妖怪の共存に賛成しない存在。それが地底に身を潜めている。この情報はだいぶ前から手に入れていたものだ。
「大丈夫よ。だから、わざとカルマを行かせたんだもの。」
「それでも、情報を与えてもよかったのでは?」
「そっちは朱姫に伝えてるから、炙り出してもらうわ。上手い事姿を隠しているみたいだけどね。カルマには交渉の方に集中してもらいたいし。」
紫の望みに朱姫は賛成している。―と言っても、その方が面白そうだという理由からだが。ともかく、偶然にも地底にいる朱姫に反乱分子を割り出してもらっている最中だ。カルマとの騒ぎもその為に起こしたものでもある。
「心配しなくても大丈夫よ。運が悪くても、地底から追いやることくらい出来るわ。その隙を突くとしましょう。」
「分かりました。」
「あ、それと藍は暫く麗夢の監視お願い。もしかしたら、また暴走して地底に行こうとするかもだから。」
「…分かりました。」
「気が付いたら、知らせて。やってもらいたいことがあるから。」
渋々頷く藍を残し、紫はスキマを閉じてしまった。
「…う~ん。…カルマァ…えへへ。」
「…これは愛と言っても、狂愛と言った方が正しいのかもしれないな。」
どんな夢を見ているのか分からないが、幸せそうな寝顔の麗夢に、藍は溜息をついた。
とうとう病んでしまった・・・。
いや、まだ大丈夫。
きっと・・・おそらく・・・多分(;´・ω・)
このまま行くと、こいしが原作のこいしで無くなりそうなんだけどw
何も考えないで書いてるから、どうしようw
ま、まぁどうにかなる・・・かな?(;^ω^)
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。