題名そのままですw
誰が登場するか分かっちゃう不思議!
・・・この言葉デジャヴだな(´・ω・`)
それでは、本編どうぞ。
街道に響き渡る騒音。誰かが土煙を上げながら勢いよく走っていた。
「付いてくるな、鬼子母神!」
「クハッ!そう言うな、鎌使い!」
それは魔神であるカルマと鬼子母神である朱姫だった。朱姫はさとりの場所に案内する時に、勇儀がカルマを呼んだ声を聞いていた。そして、勇儀に聞き、カルマの場所を突き詰めたのだ。
「そう逃げるな、鎌使い!ただ酒を共に飲むだけだ!」
「テメェと酒なんて飲めば、馬鹿騒ぎするに決まってるだろうが、ド低脳!」
「クハハ、違いない!鬼は騒がしいからな!」
「ド低脳がああああああああっ!」
カルマは地面を蹴ると、家屋の屋根を跳び移りながら駆けていく。朱姫も追いかけるために、屋根の上に飛び乗り、走り出した。
「いい加減諦めろ!」
「クハッ、お主が諦めろ!」
2人はこの逃走劇を始めて、既に半刻ほど経っている。その間、埒の明かない言い合いをしながら走り続けていた。
「…チッ。」
「おぅ!?」
カルマが急に止まった。だが、反応の遅れた朱姫は急に止まることができない。勢いそのままでカルマの背中にぶつかりそうになった。だが、彼は背を低くし、朱姫を背負う形となった。そして、背に朱姫が乗った瞬間に脚を跳ねあげる。朱姫はそのまま自分の勢いで飛ばされてしまった。
「…よし。」
カルマは今来た道を引き返し、走り出した。早く朱姫を振り切って、焔と合流しなければならない。
「この手は使いたくなかったがのぉ。致し方あるまい。」
だが、そうやすやすと諦める朱姫ではなかった。飛ばされながらも、辺りに響き渡る大声で叫んだ。
「妾の子たちよ!そこの魔神を捕まえよ!捕まえた者は酒じゃ、宴じゃ!」
彼女の声を聞いた鬼たちは雄叫びを上げると、カルマを我先にと追いかけ始めたのだ。
「…こんの、クッソド低脳があああっ!」
状況は多勢に無勢。明らかにカルマが不利となってしまった。だが、相手は鬼。鬼子母神のような神ではない。ならば、振り切れないほどではない。
「やってやるよ、ド低脳風情がっ!」
姿勢を低くし、更に速度を上げていく。屋根の瓦が衝撃で飛ぼうが知ったことではない。屋根を蹴り、岩壁を垂直に駆け上っていく。そして、洞窟の天井に足を突き刺した。まるで蝙蝠のようだ。
「はぁ…はぁ…。」
流石の鬼でも地面から十数メートル上まではやって来ることはできないだろう。
「クハハッ!」
ただし、例外はいたようだ。朱姫が空気を蹴るという荒業で、カルマのいる場所へと向かってきていたのだ。カルマも拒絶を使えばできる事だが、それを純粋な力でやってのけるあたり、流石と言えるだろう。
「しつけぇんだよ!」
「お主が逃げなければ、良いことじゃ!」
「チッ!」
カルマは刺し込んでいた足を引き抜き、急降下を始めた。朱姫も彼を追い、そのまま下へと向かう。カルマの落下地点と思われる場所には鬼が群がってきていた。正に地獄絵図と言えるだろう。
「こんなくだらんことに使うつもりはなかったが…。」
カルマは落ちていく途中に下に手を翳した。すると、開門が発動し空間が割れた。そのまま中に入ると、すぐに閉じる。
「逃げおったか。」
地に静かに着地すると、朱姫はやれやれと肩を竦めた。
「うむ。まぁ、楽しかったからのぉ。良しとするか。妾の子たちよ!魔神には逃げられたが、ついでじゃ!酒を飲むぞ!」
結局、カルマを捕まえることができなかったが、このまま鬼を返すわけにもいかない。なら、このまま騒げばいいだけ。
「クハハッ!酒じゃ酒じゃ!」
「…驚きました。大丈夫ですか?」
カルマは開門をさとりと対談した部屋に繋げることで、朱姫を撒いた。部屋にはまださとりがおり、紅茶が机に置かれていた。どうやらこちらの提案を考えているところだったようだ。
「…悪いな。鬼子母神から逃げていたんだ。」
「鬼子母神、朱姫様のことですか。」
「あぁ。」
鬼たちがここにいる以上、カルマと鬼子母神の関係は少しばかり知っている。
「あら、まだ心が読めない?」
「まぁな、地底にいる間は発動し続けるつもりだ。また掛け直すのも面倒だからな。」
それに魔力がまだ回復しきっていない。勇儀を躱すための拒絶、さとりの能力の拒絶、朱姫から逃れるための開門。ここに来るまでに3つ禁忌魔法を使ってしまった。そして、地底に来る時の魔力は禁忌魔法3回分。永琳の薬を服用している為、一日寝れば1回分は回復できるだろう。
「悪いが、この館に空き部屋はあるか?そこで休ませてくれ。」
「少ないけど、ありますね。お燐~?」
「はーい。」
器用に扉を開けると、二又の黒猫が姿を現した。すると、ポンッという音と共に人の形へと姿を変えた。
「あれ?お兄さん、さっき出て行かなかった?」
「まぁな。」
「朱姫様から逃げてここに来たのよ。それと、この人に空き部屋与えてくれる?」
「分かりました~。ささ、お兄さん。こっちだよ~。」
「あ、あとで部屋に行ってもいい?またお話したいから。」
「別に構わん。俺にできるのはそれくらいだからな。」
「そっ、じゃあ後で行くわね。」
さとりの部屋を出ると、空き部屋に案内された。
「ここ使っていいからね。」
「あぁ、分かった。」
案内を済ませると、彼女は部屋から出て行こうとしたが、カルマが引き止めた。
「待った。悪いが、俺と一緒にいた狐火を探してくれないか?」
「狐火?あの青い火の?」
「あぁ、鬼子母神から逃げる時に置いてきてしまったからな。地底のどこかにいると思うが。」
「うん、わかったぁ。じゃあ、探してくるね~。」
彼女は黒猫に戻ると、焔を探しに駆けて行ってしまった。カルマは部屋にあった小さな机に暫く寝ることとさとりが来たら起こすことを書置きすると、ベッドに倒れ込み、眠りについた。
朱姫再来!
カルマの壁走りもそうだけど、彼女の空気蹴りもどうかと思うw
そして、安定の‟ド低能”でした(*´ω`*)
さぁ、一時的な魔力切れであります。
すぐ復活すると思うから、大丈夫・・・。
だといいなぁ(;・∀・)
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。