あけましておめでとうございます。
今年もこの物語と私の子たちをよろしくお願いします。
それでは、本編どうぞ
Ep,1 計画
ルーミアの封印から2ヶ月程の時が流れていた。その間にカルマは永遠亭から退院した。薬のおかげか、魔力の回復の速度が上がっているため、問題はないだろうと永琳が判断したのだ。偶に子供となったルーミアを見かけるが、何か大きな問題を起こしたという情報は聞こえてこない。紫自身も計画である“人間と妖怪の共存”に本腰を入れ始めたため、最近は姿を見かけなくなった。
「―で、お前は何をしている?」
場所は博麗神社。その寝室で起きたカルマだったが、身動きが取れないでいた。
「…すやぁ。」
何故なら、麗夢が彼を抱きしめて寝ていたからだ。2人の寝室は別々になっている。一緒に寝るなどということは間違ってもありえない。昔なら堕天するなり拒絶するなりで引きはがせたが、今はそうやすやすと使うこともできない。
「寝たふりしてんじゃねぇよ。」
「…何故わかったのです?」
「…馬鹿かお前。」
渋々カルマから離れる麗夢。どうも最近彼女からのスキンシップが激しくなってきている。余談だが、麓の里で2人の様子を見た村人たちに夫婦なのかと問われた時、麗夢は嬉々として肯定したが、カルマが頑なに否定していた。
「起こしに来ました。朝食の準備ができていますよ。」
「わかった。」
身支度を済ませ居間に出ると、既に食器が並べられていた、3人分。
「はーい、カルマ。おはよう。」
そこには珍しく紫の姿があった。
「何故いる?」
「なんで露骨に嫌な顔するのかしら?」
「…はぁ、まぁいい。」
溜息を付き、カルマは紫と対面する形で座った。遅れて朝食を持ってきた麗夢も座った。ただし、カルマの隣である。
「やっぱり噂通りみたいね。」
「あん?」
「何がですか?」
「小耳に挟んだのよ。2人が夫婦だって話をね。」
「違う!」
勢いよく否定するカルマだったが、対して麗夢は両手を頬にあてくねくねしていた。
「やっぱりそう見えますか?うふふ、えへへ。」
「…これは予想外だわ。」
流石の紫もここまでだとは思わなかったのだろう。恋は盲目とはまさに彼女のことを言うのかもしれない。
「よかったわね、カルマ。」
「何がだ。」
「この娘、結構モテるのよ?そんな彼女をここまでさせるなんてね。男冥利に尽きるんじゃない?」
「知らん。」
尚、2人の仲を見て撃沈した男は10を軽く超えているのはまた別の話。
「それで、お前がここにいるからには何か話があるんだろ?」
「えぇ、そうよ。まぁ、それは食べた後で構わないわ。麗夢も戻ってないからね。」
「えへへ、カルマと夫婦…。えへへ、えへへへへ。」
麗夢も元に戻り、朝食を済ませたところで、紫は居住まいを正した。
「話というのは簡単なことよ。私の望みである“人間と妖怪の共存”を実現させようと思うの。」
「いよいよですか。」
「えぇ、それで話を付けてきてほしい場所があってね。」
「話?」
「話というのは?」
紫は2人に自分の計画を話した。ある一定の区域を結界で覆い、隔離された空間を作ることだった。
「話を付けてほしい場所がその区域の中にあるってことか。」
「えぇ、そうよ。」
「どこなのですか?」
すると、紫は人差し指を下に向けた。カルマはその意図がわからずに訝しむ。しかし、麗夢は分かったようで、嫌な顔をしだした。
「地底よ。旧地獄。」
「私は嫌ですよ。」
「私だって嫌よ。」
残されたのはカルマだけだった。
「あ?地底に何があるんだよ。」
「…これは説明したほうがいいのかしら?」
「説明しなければ、面白そうなのでしょうけど。」
「おい、今なんつった?」
「そうなのよねぇ。面白そうではあるのだけど。」
「お前ら…。」
怒りで肩を震わせるカルマ。彼は地下の旧地獄に何があるのか知らない。
「冗談よ、冗談。そんなに怒らないで。ちゃんと説明してあげるから。」
「…えっ、冗談だったのですか?」
「麗夢、貴様…。」
「あ、あははは~。」
分が悪いと判断した麗夢はそそくさと退室していってしまった。
「こほん。それじゃあ説明するわね。」
「あぁ、頼む。」
スキマからこの周辺一帯の地図を取り出し、机に広げた。
「ここが旧地獄の入り口よ。ここから入ることができるわ。」
「…近いな。」
「えぇ、そうね。そして、旧地獄には人間に嫌われた妖怪が集まっているの。」
人間に嫌われた妖怪。紫の望みを受け入れなさそうな存在とも言えるだろう。
「説得が難しいだろうな。」
「だから、後回しにしてしまっているのよ。あ、因みに人間に嫌われている妖怪の中に鬼もいるから。」
「何?…まさか。」
「えぇ、鬼子母神の朱姫もいるはずよ。」
朱姫の名前が出ると、一瞬だが顔を引き攣らせるカルマ。無理もない。彼と彼女は数億年前に戦いを中断させられているのだ。今は麗夢の話を聞いて、引き下がっているが、今の彼女をカルマはよく知らない。苦手意識があって当然だろう。
「ま、鬼は闘いを好むけど、約束は守る種族だから大丈夫でしょう。」
「そうあってほしいがな。」
「それで、ここからが重要。旧地獄を治めている妖怪がいるのよ。」
「ほぉ。」
嫌われ者を統治している存在。鬼すらもまとめ上げるとなると、それだけの強さを持つ者なのだろうか。
「名は古明地さとり。さとり妖怪よ。」
なんか自分で作ったオリキャラがおかしいw
麗夢がキャラ崩壊し始めてきちゃった。
まぁ、シナリオ通りだけどね!
さぁ、いよいよ幻想郷が作り上げられようとしています。
そして舞台は地底、旧地獄へと向かいます。
地底のあの妖怪も登場予定です。
一部かわいそうな扱いを受けますがw
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。