今回がこの章のエピローグです。
珍しくギャグ突っ込んだぜ、どやぁ
それでは、本編どうぞ。
永遠亭の1室。そこに3人の姿があった。永琳は仁王立ちで腕組をしている。対し、残りの2人であるカルマと輝夜は、彼女の前で正座させられていた。
「ねぇ、カルマ。言ったわよね?私が許可するまで部屋から出ちゃいけないって。」
「……。」
「姫様も姫様です。なんでカルマを行かせるんですかっ!」
「…だって。」
「だって、ではありません!」
永琳は怒りに任せて机を叩いた。机の上に置かれていた小瓶が振動で揺れる。その小瓶には“魔力増量剤”と“魔力活性剤”と書かれていた。
「この2つの薬はまだ未完成なんですよ?それを姫様は見つけ出して、カルマに飲ませるし。カルマもそれをなんの躊躇もなく飲んじゃうし。」
「別に失敗でも―」
「あ゛ぁ゛?」
「……。」
彼女の気迫に流石の魔神も押し黙ってしまった。昔から逆らえない姉貴分の威厳だろうか。
「…はぁ。麗夢たちを心配するのは分かるけど。貴方の身に何かあれば、元もこうもないのよ?」
「…分かってる。」
「姫様も無断で薬に手を付けないでくださいよ、まったく。」
「…ごめんなさい。」
永琳は近くにあった椅子に腰かけ、溜息を付くと、手元にある小瓶を手に取った。
「…上手く行って良かったけどねぇ。」
「ほんとにね。」
当事者でありながら、他人事のように言う輝夜を永琳が睨み付ける。
「姫様もカルマもまだ正座していなさい。」
「うぅ。そろそろ脚がヤバいんだけど…。」
「駄目です。」
「…チッ。」
「…麗夢呼ぶわよ?」
「それはやめろっ!」
カルマの小さな舌打ちを聞き逃さない永琳。この状況で麗夢など来れば、弄りに弄ってくるに違いない。それだけは避けなければならない。
「永琳さーん?いませんかー?」
ただし、現実は残酷だったようだ。部屋に穴を開け、入ってきた麗夢。彼女は今の状況に一瞬呆けたが、すぐににたぁっと笑みを浮かべた。それに反応し、勢いよく立ち上がるカルマ。
「こんにちは。お見舞いに来ましたよ、カルマ。」
「わかったから、こっち来んな!」
「何言っているのですか。私との仲でしょう?」
「どんな仲だ、馬鹿!」
尚もにじり寄る麗夢。対し、カルマは後ずさっていく。
「おい!お前ら、こいつを抑えろ!」
「さて、薬の調合してこないとね。(棒」
「永琳、私も手伝うわ。(棒」
白々しい程の棒読みで出ていく永琳と輝夜。
「2人きりになりましたね、カルマ。」
「…クッ。」
「さぁ、大人しくしてくださいねぇ?」
とうとう壁際まで追い込まれたカルマは逃げることはできない。ただし、麗夢はカルマを弄ろうとせず、そのまま抱き着いてきた。
「…麗夢?」
「少しだけ、このままで…。」
沈黙が部屋を支配する。服に濡れた感触があることから、麗夢は泣いているのだろう。肩も小刻みに震えていた。どうすればいいのか分からず、取りあえず軽く頭を撫でることにした。
「…私、ルーミアさんを。ルーミアさんに、手を、掛けてしまいました。」
「あぁ、知ってる。」
先日、薬で微量ながら回復したと言っても、使える魔法は1つだけ。開門を使い、麗夢たちの所に向かっていたカルマ。そのため、途中からではあるが、最後まで見ていた。状況によっては手を出そうと思っていたが、そういうことはならず最後まで静観していた。
「ごめんなさい、ルーミアさん。ごめんなさい…。」
麗夢は戦闘中、感情を押し殺していた。今それがカルマを見た安心感から溢れてきてしまったのだろう。
「謝ることねぇだろ。ルーミアは怒ってなかったんだから。」
「う、うぅ・・・。」
長いこと泣いていたが、漸く泣き止むと麗夢はカルマから離れた。泣いていたため、彼女の目は赤くなっていた。
「・・・ふぅ、ありがとうございます。」
「別にいい。それより聞きたいことがある。」
「はい、なんでしょう?」
「鬼子母神のことだが―」
カルマが気にしているのは鬼子母神の朱姫のことだ。彼女は麗夢の口車に乗せられていたが、条件がカルマの情報だった。もしかしたら、再戦することになるかもしれない。
「あぁ、朱姫様のことですね。大丈夫ですよ。今のカルマの現状を話したら引き下がってくれました。」
「そ、そうか・・・。」
戦闘を好む鬼にしては珍しい。どうやら、会っていない間に丸くなっていたらしい。
「あ、でも、今度会った時はお酒を一緒に飲みたいって言っていましたね。」
「・・・・・・。」
朱姫の伝言を伝えられ、カルマは顔を引きつらせた。
「・・・カルマは飲めないのですか?」
「いや、飲める。だが、アイツと飲むとどうなるかわからん。酔った勢いで戦闘を吹っ掛けられそうな気がする。」
「それはぁ・・・ありそうですね。」
麗夢もフォロー出来ずに苦笑いを浮かべることしかできなかった。
「お前が付き合ってやればいいだろうが。」
「いえ、付き合わされましたよ、あの後。思い出しただけで、恥ずか死しそうです。」
「・・・あん?」
頬を染め、明後日の方向を向く麗夢。何かを隠していることは明白だった。無理に聞こうと思わなかったカルマだったが、そうは問屋が卸さなかった。
『麗夢は酔うと脱ぐんでいやがります。』
「あ、こらっ!」
焔が突然出てきて、一言だけ言うと麗夢の内に戻ってしまった。部屋をなんとも言えない空気が支配する。
「・・・う。」
「う?」
「うにゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」
「うおっ!?暴れんな馬鹿!あぶなっ!?おい、落ち着おわっ!?馬鹿、投げんな!」
「ガルマに知られだああああああああああああ!!」
「だから落ち着け!」
「ガルマを殺じで、私も死んでやるうううううううううう!!」
「洒落になってねぇぞ、馬鹿!炎出してこっち来んな!!」
「うにゃああああああああいやあああああああああああああああああああああ!!!!」
「あぁもう!誰かコイツを止めろ!!」
とうとうバレてしまった麗夢の酒癖。
いやぁ、いつか出したいと思っていたんです。
前作読んでくれた人はわかるよね?w
麗夢の設定にも書いてあるけどw
ルーミアとの戦闘中は感情を押し殺してました。
だって、今まで戦うか逡巡してたんだもんね。
いきなりこんな好戦的になれば、何かあるはずだもの。
次章に入るわけですけどね。
ちょっとお知らせです。
次の投稿は来年年明けになると思います。
里帰りするんじゃもん(´・ω・`)
でも、できるだけ書き溜めしておくつもりです。
では、来年会いましょうー(*´∀`*)
メリー苦シミマス・・・( ^∀^)
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。