面白そうですねっ!(*´∀`*)
青鬼と零も見たいなぁ。
それでは、本編どうぞ。
衝撃波により、辺りを土煙が覆い尽くす。先に動いたのはルーミアだった。焔の朧気ながらも見える灯りを頼りに闇が襲い掛かる。
「……。」
だが、相手は幽体。いくら貫いても手応えがない。
『無駄でいやがります。』
土煙を炎で吹き飛ばすと、焔は闇の触手を焼き切っていく。
「やっぱり物理的な攻撃は効かないのね。」
客観的に考えれば、不利なのはルーミアだろう。しかし、実際に不利なのは焔の方だった。麗夢から力をもらったとは言え、焔の持つ妖力には限界がある。対し、ルーミアの背後には大きな闇が蠢いている。ほぼ無尽蔵とも言える妖力だ。
『食べる量だけでなく、妖力も底なしでいやがるよーですね。』
焔とて、無駄に妖力を使うつもりはない。直接ルーミアを攻撃しようと、火だるまとなり、ルーミアに向けて駈け出した。地面から突き出した闇が彼女の動きを止めようとするが、それすら掻い潜っていく。
「そうはさせないわ。」
2人の間に闇の壁が現れた。突然の事に止まることができなかった焔は壁にぶつかり、爆発した。壁はびくともせず、そのまま覆いかぶさるように形を変えていく。
『―くっ。』
直ぐに飛び退き、後方へと逃げるようとするが、背中に衝撃をうけてしまった。地面から生えた闇が壁を作り、こちらも覆いかぶさるように形を変えてきていたのだ。
「何も人間だけ喰らうこともないわ。妖力を喰らうこともできるもの。」
物理攻撃が効かないなら、彼女の源である妖力を喰らってしまえばいい。焔を包みこんだ闇だが、手応えがない。すると、地面が割れ、溶岩のように炎が噴き出した。反射的に顔を逸らすことで直撃を避けたが、髪が少し燃えてしまっていた。
『中々上手く行きやがりませんか。』
「狐が土竜の真似事するんじゃないわよ!」
振り上げた掌を闇で覆い炎を斬り裂く。焔の姿が揺らいだが、彼女も負けじと両手を突き出し、炎を放出する。至近距離での攻撃にルーミアは苦悶の表情を浮かべる。このまま行けば勝てると思えたが、そう簡単に行くはずない。
『―っ!?』
彼女の大きな左腕が闇に覆われると更に大きな巨腕へと変わった。巨腕は焔を掴むと、そのまま投げ飛ばした。あまりの勢いに体勢を整えることができずに地面に叩きつけられてしまった。しかし、実体を持っているわけではないため、一度炎が潰れると、そのまま人型へと形が戻っていく。
「……うぐうぅ。」
しかし、苦しんでいるのは焔ではなく、ルーミアの方だった。別に焔が何かをしたわけでない。精々、妖力を少し喰われた程度だった。彼女は左腕を押さえていた。少しすると、闇は引っ込み、元に戻っていた。
「ふぅ…ふぅ…。」
『なるほど。大体わかりやがりました。』
「…見苦しい所を見せたわね。」
『その姿でよくいいやがりますよ。』
姿は変わっているとはいえ、意識がはっきりしているのは彼女なりの抵抗だった。だが、今のように、穢れが飛び出すこともある。
「本当はアンタとも戦いたくはないんだけど。そうはいかないのよ。」
『今さっき戦ったばかりでいやがりますよ。』
「『私たち』が私の意識を狩り取ろうとしてるの。戦って一瞬でも気が薄れた瞬間を狙ってね。」
『なら、今までのは…。』
「えぇ。私の意識に介入した『私たち』がやったこと。」
ルーミアの意識がはっきりしていたのは、焔が姿を変える時までだ。それ以降は防衛本能のように、朧気ながらもやっていたことだった。
「焔。私を殺そうとしては駄目だからね。」
『どーいうことでいやがりますか?』
「私を殺せば、『私たち』が私の身体を乗っ取るわ。だからと言って、このままでも飲み込まれるのは確実。」
つまり、殺す以外の方法でルーミアを御さなければならない。
『封印することも可能ではいやがりますが、麗夢はしたくないでいやがるようです。』
「そう…。でも、したくないということは、できるということでもあるわ。今すぐ戻って手を考えなさい。」
『わかりやがりました。そー伝えることにしやがります。』
すると、焔の姿を炎が包み込み、元の狐に戻るとその場から掻き消えてしまった。残されたルーミアは緊張を解き、その場に座り込む。
「あーあ。こんな時、カルマがいてくれたらどれだけ楽だったか…。そう思わない、玉藻?」
「今は八雲藍だ。」
木々の影から藍が姿を現した。
「ずっと見張ってたんでしょ?意地汚いわね。」
「紫様からは手出し無用と申し付けられているからな。」
藍は焔の行方をずっと見ていた。紫も焔の行動に気付いており、すぐに藍を向かわせたのだ。
「そっちはどうなってる?」
「カルマ様は動けないのは確かだ。それと封印だが、今の妖力を削り、許容範囲まで無くせばできるだろう。」
「…結局戦うことになりそうね。」
意識を保っていようとなかろうと、戦うことにはなるだろう。今この時この瞬間、穢れはルーミアを飲み込もうとしているのだから。
「…ルーミア。前に聞いたな。愛とはどういったものなのか、と。」
「そうね。そういえば、聞いたわね。」
「今ならわかるんじゃないか?」
「…えぇ。痛い程わかるわ。全く、突拍子もなく生まれる物ね。」
ルーミアが神社から遠ざかる理由。麗夢や彼女の縁者を喰らわないため。何故喰らおうとしないのか。いつからだろうか。大切な存在と思えるようになったのは。
「藍、早くここから退きなさい。もう保ちそうにないわ。」
「…わかった。最善を尽くそう。」
スキマが開き、藍はその中へと消える。それを確認すると、安心したかのように、彼女は寝転んだ。
「…あとは頼んだわよ。」
闇が徐々に広がり、ルーミアを飲み込もうと蠢き出した。彼女は底なし沼に沈んでいくように、少しずつ闇に沈んでいく。そして、彼女の姿が完全に消えると、闇は形を変え始めた。村1つは覆う程あった闇が彼女の沈んでいった闇に飛び込んでいく。全てそこに収まると、凝縮し始め、人ひとり入る程の大きさの黒い繭が出来上がった。
焔の口調、超めんどくせぇ(゜∀。)
まぁ、設定したのは自分だから仕方ないけどw
西行妖編もそうだけど、私泣ける悲劇系はかなり好きです。
なので、そういう展開多いですからね。
因みにこのあとも2・3個あります(`・ω・´)
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。