東方禁初幻譚   作:鈴華

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思うんだけど、不定期更新ってなんなんだろうねw
一週間ごとに更新してる気がする・・・。

それでは、本編どうぞ。


Ep,8 凌駕する本能

麗夢がルーミアを探し、どれくらい時間がたっただろうか。空間を転移できるとはいえ、この広大な世界からたった1人を見つけることは至難の業だ。

 

「カルマは私の獲物よ(食べる的な意味で)。」

「いいえ。私の獲物です(意味深)。」

「いずれ私が食べるつもりよ(物理的に)。」

「先に私が食べちゃいますよ(意味深)。」

 

2人でくだらない会話をしていたが、麗夢にとってルーミアは最早家族当然の存在だった。そんな彼女の姿が消えた。最初は散歩でもしているのだろうと思った。しかし、どれだけ時間が経っても帰ってこない。

 

「ルーミアさん…。一体どこに行ってしまったんですか…。」

 

彼女に限って攫われることはないはず。だからと言って殺される程弱いわけでもない。

 

「探したわよ、麗夢。」

「…紫さん。」

 

空間が裂け、紫が姿を現した。

 

「ルーミアを見つけたわ。まずは神社にいらっしゃい。」

「本当ですか!?」

「…えぇ。」

 

歯切れの悪い彼女を不信に思ったが、素直に神社に戻る。

 

「あれ?カルマは…。」

「カルマなら今永琳の所―永遠亭にいるわ。今は動けそうにないの。」

「何故です?」

「魔力枯渇で休眠状態に入ったらしいの。暫くすれば起きるから、命に別状はないわね。」

「それはよかったです。」

 

居間には焔と藍が既に待機していた。麗夢が帰ってきたことを確認すると、焔が姿を消し、彼女の中へと戻っていく。

 

「それで、ルーミアさんは?」

「ルーミアはここからとても遠い場所にいるわ。しかも、点々と移動を繰り返してここから遠ざかろうとしているの。」

「えっ?」

 

近づくどころか遠ざかる?いったいどういう事なのだろうか。

 

「麗夢。貴女、ルーミアがどういう妖怪か覚えている?」

「確か人食い妖怪、ですよね?」

「そうよ。そして、ルーミアのいた場所に人骨が山を作っていたわ。」

 

ルーミアのいた場所に積み上げられた人骨。それは彼女が人間を喰らっていることを意味する。

 

「ぐ、偶然じゃないのですか?だってルーミアの捕食活動はカルマの力で封じられているはずじゃ。」

「今のカルマは休眠状態よ。もしかしたら、効果が切れたのかもしれないわ。」

「それはないわ。」

 

すると、他の女性の声が割り込んできた。襖が開き、姿を現したのは永琳だった。

 

「永琳さん?どうしたのですか?」

「カルマからの伝言よ。」

 

休眠状態のはずのカルマからの伝言。起きるにしては早すぎる。

 

「麗夢だったわよね?あの狐火の宿主。」

「はい、そうです。」

「その狐が私たちの所に来て、現状を教えてくれたわ。」

 

焔は紫がルーミアを探すため、神社を出て行った後、永遠亭に訪れていた。そして、カルマにどういうことか聞こうとしたらしい。本来なら安静にしておきたかったが、禁忌魔法について永琳が知っていることはほんの一部。一時的にカルマを起こすことにしたのだ。

 

「今はまた休眠させているわ。尤も無理に動こうとしたから、全身麻酔を使ったけどね。」

「そうだったのですか。焔、ありがとうございます。」

『私は私のやれることをしたまででいいやがります。』

「それで、伝言というのは?」

 

空いている場所に座ると、紫が永琳に話を促した。

 

「拒絶―今ルーミアに掛けている封だけど、あれは一度発動すれば、カルマが許可しない限り解けることはないわ。」

「なら、どうして捕食を繰り返しているのかしら?」

「カルマが言うには、本能が拒絶を上回ったらしいわ。」

「本能…?」

「えぇ、そうよ。」

 

ルーミアは元々が穢れの集合体。意志は『ルーミア』だが、彼女の操る闇は『穢れの集合体』なのだ。本来、彼女1人で抑え込めるものではない。そして長い間、捕食活動という本能を抑え込まれ続けた為、ついに我慢ができなくなったのだ。

 

「確かに、最近かなりの量を食べるようになったとは思っていましたが…。」

 

輝夜を救い出す前にルーミアはつまみ食いをし、麗夢に罰を受けていた。もしかしたら、すでに徴候は見られていたのかもしれない。

 

「…これ以上、犠牲者を出すわけにはいかないわ。ルーミアを倒しましょう。」

「た、倒すですって!?」

「場合によっては殺すわ。」

「なっ!?」

 

紫の言葉に麗夢は驚愕を露わにした。麗夢にとってルーミアは家族当然。そんな存在を倒す。場合によっては殺すと言っているのだ。

 

「そんなことできるわけないじゃないですか!」

「なら、どうしろというのかしら?指を咥えて人間が食べられている所をじっと見ていろというの?」

「そ、それは…。」

 

殺すよりも封印することもできる。しかし、麗夢にとってルーミアに危害を加えることが悩ましかった。普段弄り倒してはいるが、これとそれとでは話が別だ。

 

「…カルマがいれば、どうにかできたでしょうに。」

「今のカルマじゃ、禁忌魔法を1つ使うのにも苦労するわね。生贄って手もあるけど、彼がそれを許さないわ。」

『………。』

 

そんな中、麗夢の中にいる焔だけが、妙に静かだった。

 




最初の会話はいつか入れたかったやり取りですw
ほら、話が噛み合っていそうでいない奴w

西行妖の時の紫もそうだけど、麗夢も甘いですよねぇ。
そして、永琳の再登場w
てか、カルマに全身麻酔刺すって・・・(((゜Д゜;)))

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。



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