ぶっちゃけ、ガチの戦闘を書いていると、いつの間にか時間が無くなります。
不思議ですねぇ。
では、本編どうぞ
数年前、カルマは防衛部隊の一人だった。それも副隊長という地位についていた。この時には、既にツクヨミと永琳は今の地位を獲得していた。
「よぉ、カルマ。おはようさん。」
「おはよう。」
カルマに話しかけてきたのは防衛部隊の隊長―如月風真(きさらぎかざま)という男性だ。彼は持ち前の気安さで人気があり、それと同時に仲間を思いやる心も兼ね備えている。
「相変わらず、カルマは冷たいねぇ。」
「悪かったな。」
「悪いなんて言ってないぞ。そうだ、今日の仕事が終わったら、飲み行こうや。」
「はぁ?」
「みんなでパァーッとやろうぜ。八意さんも呼んで、な?」
「勝手にしろ。」
「クールだねぇ。そんなんだから、ぼっちなんでしゅよー?」
「あぁ、もう!わかったから、さっさと行け!」
「へーへー。そんじゃま、おさきー。」
こんな感じに接してくる毎日。彼はあれで人気なのだ。
「遅刻すんなよー。」
「わかってる。」
今日はいつもと同じ、穢れからの防衛だ。だが、近々強力な反応を感知したらしい。その為、様子見という形で出撃することになっている。また、状況次第では速やかに殲滅するよう命令がでている。
「おぉおぉ、結構いるな。」
「いつものことだろ。」
「ごもっともで。そんじゃ、皆。準備はいいか!行くぞ!」
『オオオオオオ!!!』
カルマの得物は大鎌だ。彼は先端に重りがついた武器の扱いを得意としている。簡潔に言うならば、遠心力を利用した戦闘法だ。一直線に穢れの群れへと突っ込んでいく。斜め下に鎌を振り抜き、一刀両断。そのまま地面に刺さると、勢いそのまま飛び越える。カルマに掛かるベクトルにより、鎌が地面から抜けた。空中で担ぎなおし、再び振り下ろす。穢れを両断し、血しぶきが飛ぶ。構うことなく、横なぎに回転。自分の周りにいた穢れを切り捨てる。鎌を持ち替え、駆け抜ける。刃に引っかかる穢れを次々に両断していく。振り抜きざまに背後から来ていた穢れを切る。また、勢いのままに地面に鎌が突き刺さり、浮く身体。そこでカルマは目にした。一瞬とはいえ、遠くに見える何か。こちらを傍観していることがわかる。おそらく、あれが報告にあった強力な反応だろう。
「狩り取るッ!」
カルマはそれに向けて走り出した。どうやら相手もこちらに気づいたようだ。腕組を解いた。穢れにしては珍しく人型のようだ。そして近づくにつれてわかってきた。身体の型は女性、頭に角が2本ある。
「よく気づいた、人の子。」
驚いたことに言葉も話せるらしい。目の前までくると、カルマは鎌を振り下ろす。しかし、横に一歩ずれるだけで、容易く躱されてしまった。そのまま乱舞へとつなげるが、簡単に躱されてしまう。
「貴様、誰だ。穢れか?」
「妾をあんな下等と一緒にするな。妾は鬼子母神じゃ。」
「鬼子母神だと?」
鬼子母神。神の名を持つものが何故こんな場所にいるのか。
「お主、中々の身のこなしじゃの。」
「ふん。」
だが、カルマの猛攻は当たらない。鬼子母神は軽い動きで躱していく。これでは埒が明かない。仕方ないが、カルマは戦闘方法を変更した。大鎌を振るのでは、僅かながらタイムラグが生じる。なら、そのタイムラグを無くすために、鎌を生き物のように振るう。腕や胴体を主軸として、鎌の柄がカルマに巻きつくように動き、回転し切り裂く。先程よりもかなり速度が増した。
「おっおっ?」
鬼子母神の服に切れ目が入った。それだけでなく、小さいが体のあちこちに切り傷は生まれている。
「これはまずいかもしれんの。」
鬼子母神はここで動きを変えた。鎌を止めたのだ。それも刃の部分を片手で。軌道が読めなければできないことをやってのけた。
―バキッ―
「なっ!」
おまけに刃も軽々と折られてしまった。
「それっ。」
鬼子母神は鎌だったものの柄を持つと、カルマごと放り投げた。すぐに空中で立て直そうとするが、鬼子母神の方がそれよりもはるかに速い。体勢を立て直す前に追いつかれた。そこへ凄まじい威力の蹴りが放たれる。
「グハッ!?」
蹴りは腹にめり込んだ。骨の折れる音が聞こえる。おそらく内蔵に刺さっているだろう。蹴り飛ばされたカルマ。穢れの群れまで飛ばされ、地面を跳ね、都市を囲む障壁にぶつかることで、やっと止まった。
「おい、カルマ!!?」
彼の元に如月が駆けつける。
「ガフッ!」
「これはひどいな。骨が数本やられてる。」
「聞け、人の子等よ!」
鬼子母神の声が辺りに響き渡る。
「妾は鬼子母神。鬼の親じゃ。穢れごときに手こずる人の子等よ。妾は、後にそこの都市を潰しに来る。特に、そこの鎌使いの若者。妾は主が気に入った。もっと強くなれ。時が満ちた時、妾との闘争を楽しもうではないか。」
そう言い残し、彼女は何処かへ行ってしまった。
「鬼子母神・・・、あいつは一体・・・。」
「―ッ!」
「あ、おい。カルマ!しっかりしろ!」
だが、そこで彼の意識は途切れてしまった。
気がついたとき、カルマは病室にいた。生きていることは確かのようだ。
「カルマ・・・?」
声の方に視線を向けると、アマテラスが椅子に座っていた。
「大丈夫?」
「・・・問題ない。」
「よかった。今、永琳を呼んでくるね?」
「分かった。」
アマテラスが病室から出て行った。カルマは身体を起こそうとするが、痛みでまともに動くことができない。
「ちっ・・・。」
大人しく横になり、鬼子母神について考え始めた。彼女はまた来ると言っていた。それも、この都市をつぶしに来ると。それまでに強くならなければならない。今よりもはるかに・・・もっと・・・。
「カルマッ!」
永琳が息を切らせながら入ってきた。それだけ心配してくれていたのだろう。だが、病院で走るのは控えて欲しいものだ。
「大丈夫よね?」
「問題ないが、まだ完治とまでは行ってないか。」
「そう・・・、良かったわ・・・。本当に・・・。」
「駄目だよ、永琳。病院で走っちゃ。」
アマテラスが遅れて病室に入ってきた。
「心配だったのはわかるけどねぇ。」
「永琳。」
「何かしら?」
「アマテラスと2人にしてくれ。」
「・・・?わかったわ。でも何かあったら呼びなさいよ。」
「あぁ。」
永琳が出て行くとアマテラスが椅子に腰掛けた。
「私に話って何?」
「鬼子母神って名前に聞き覚えは?」
神のことは、同じ神に聞くのが一番だろう。カルマの考えはどうやら当たっていたようだ。
「知ってるわ。貴方の怪我からすると、彼女が出てきたのね。」
「あぁ。あいつはこの都市を潰すって言っていた。」
「なんですって!?」
「それで折り入って頼みがある。」
「・・・何かしら?」
まだカルマが今よりも幼い時のこと、アマテラスとツクヨミは生まれつき神力を手にしていた。そのためか、早い段階でカルマには違う力があることがわかった。後にそれは魔力と言われる。
「俺には昔から神力と違う力があると言ってたな。」
「うん。」
「その力を使いこなしたい。」
「禁忌を犯すことになるわ。いいのね?」
「かまわない。」
「わかったわ。ツクヨミに連絡してみる。」
それからの時間の流れは早かった。ツクヨミがどんな形であれ、こうなることを知っていたらしい。薬は完成していた。カルマが薬を服用しようとするのを、永琳が止めようとする。彼女が作ったものだ。それがどれだけ危険なものか分かっていたのだろう。だが、彼を止めることはできなかった。そして、今のカルマが誕生した。鬼子母神と戦うため、この都市と皆を守るために。
「そんなことがあったのね。」
輝夜は静かに聞いていた。カルマは腰をあげる。そろそろ帰る時間だ。
「その鬼子母神に負けないでよ、カルマ。」
「当たり前だ。負けるつもりもない。」
カルマは病室をあとにした。
「あやつはどれ程強くなったか、楽しみじゃ。今行くぞ、待っておれ。クハハ、ハハハハ!!」
今回登場したには鬼子母神でした。
個人的にデザインしましたが、簡単に言えば、萃香と勇儀を混ぜてみて、そこにオリジナルをぶち込んだだけのものです。
要望があれば全身図も描こうかと思います。
それからカルマの鎌の戦闘法はどこぞの漫画を参考にしちゃいました。
わかるかな?
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。