本来なら、西行妖の前に色々あったんですけど・・・。
ま、いっか(ポジティブw
それでは、本編どうぞ。
幽々子が消えてから、紫は日が明けるまで泣き続けていた。今はそっとしておくべきだと判断したカルマは部屋に藍を残し、別室に移動していた。その部屋には身支度を整えている妖忌がいた。
「動いて大事ないのですかな、カルマ殿。」
「お前に言われたかねぇよ。」
幽々子の部屋には手紙が置かれていた。紫、藍、カルマ、そして妖忌当てのものだった。カルマには紫のことをよろしくと書かれていた。
「幽々子様の手紙には儂の好きなようにしろと書かれてありました。」
「仕えていた主がいなくなったからな。」
「なので、ここを孫に任せ、修行に出ようと思っております。」
「素直に隠居すると言え。」
「はっはっはっ。素直になれぬお主に言われるとはのぉ。」
ひときしり笑うと、妖忌はまとめた荷物を背負い、机に置かれていた2本の刀をカルマに差し出してきた。
「この刀を紫殿に渡してくだされ。」
「あ?お前の得物が無くなるだろうが。」
「なぁに、普通の刀でも問題なかろう。それに、この刀は幽々子様からの手紙に書かれていたのでな。」
妖忌の手紙には、もし白玉楼を出ていくのならば、楼観剣と白楼剣を孫に渡すように書かれていたらしい。そして、そのことは紫の手紙にも書かれていた。
「分かった。なら、渡しておく。」
「感謝しますぞ。最後に良い戦いができた。儂は更に上を目指そうと思っておる。」
どうやら隠居しても鍛錬を止めるつもりはないようだ。
「まぁ、死なねぇ程度にしろよ。」
「はっはっはっ。まだまだ死なぬよ。…では、達者での。」
そして、妖忌は何処かへと行ってしまった。残されたカルマは壁に凭れ掛かり、一気に息を吐いた。
「…まさか妖忌に感づかれるとはな。」
1日で回復できる魔力量にも限界がある。現にカルマは今立っていることもやっとなのだ。しかし、自分の身体に鞭打ち身体を起こすと、紫の部屋へと向かう。
「藍、入っていいか。」
「はい、構いません。」
部屋に入ると、寝ている紫の傍に藍がいた。紫は泣きすぎた為、目元が赤く腫れていた。
「この刀だが―。」
「はい、知っております。お預かりします。」
藍に刀を渡すと、紫の様子を伺う。彼女は穏やかな寝息を立てていた。
「感情を露わにする紫様も珍しいですよね。」
「普段からこいつは飄々で神出鬼没だからな。」
「幽々子様は紫様にできた最初の友達だったそうです。」
「そうか…。」
最初の友達故に、無くした時の気持ちは大きいだろう。
「俺は別室で回復の為に寝てくる。」
「分かりました。」
紫の部屋を後にし、自分の部屋へと行くと、彼は死んだかのように眠りについた。
そして、数日後。カルマは起きないため、スキマを使い八意永琳のいる屋敷へと移動させていた。永琳は彼の状態を想定していたらしく、落ち着いた様子で作業を進めた。彼女にカルマを任さ、紫は博麗神社へと移動する。
『やっと来やがりましたか。』
しかし、神社に麗夢の姿はなく、代わりに焔がいた。
「焔?麗夢はどこ―」
『緊急事態でいやがります。』
紫の言葉を遮り、焔が立ち上がる。
「一体どうしたのよ。」
『あの人食い妖怪が姿を消しやがりました。』
「――ッ!?」
人食い妖怪。つまりルーミアのことだ。ルーミアが姿を消した。それが意味するのは何か。
「焔。ルーミアが消えたのはいつ?」
『4日前でいやがります。』
4日前。それは紫たちが西行妖と戦う前日だ。そして、次の日に西行妖は一時的にとはいえ、満開を迎えた。
「藍、すぐに人が大量死した場所を探し出しなさい!」
「畏まりました。」
スキマを開け、藍が中に消える。もしも西行妖によって引き起こされた大量死とルーミアの失踪が関係するとすれば、これからも死人は出ることは明らかだ。
「こんな時にカルマが起きていれば…。」
今のカルマは昏睡状態。無理起こすこともできるが、まだ魔力が回復していない。それに永琳がそれを許さないだろう。
「…麗夢?…焔、麗夢は何処?」
神社にいるはずの麗夢の姿がなく、焔の姿がある。この狐の霊が冷静である以上、麗夢は死んでいないのは確実だが。
『人食い妖怪の行方を探していやがります。夜には戻ってきやがるはずです。』
「取りあえず、無事なのね?」
『はい。』
麗夢は生きている。夜までまだ時間はある。その間にルーミアの行方を探した方がいいだろう。
「わかったわ。私も探すから、後のことは頼むわね。」
『わかりやがりました。』
スキマを開け、紫も神社を後にした。
「ひ、ひぃぃ!!」
ごめんなさい。
「だ、だずげでぐれぇ!」
もう嫌だ。
「返して!私の子―」
ごめんなさいごめんさい。
「あいつの仇だっ!」
もう止められないの。
「ば、化け物っ!?」
我慢できないの。
「お、おれたちが何をしたっていうんだっ!」
抑えられないの。
「大丈夫か!今助けに―」
だから逃げて。
「くそぉ…」
もう誰も…。
「ぎゃあああああああ!?」
喰らいたくないの。
とうとうこの時が来ました。
ルーミアメイン回再開です。
麗夢の登場以降、かりちゅま化してましたがw
西行妖の満開はルーミアによる捕食の伏線でした。
いやぁ、でも・・・。
あの三次創作みたいな展開になっちゃって申し訳ないです(´・ω・`)
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。