東方禁初幻譚   作:鈴華

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話の順序間違えた(´・ω・`)
本来なら、西行妖の前に色々あったんですけど・・・。
ま、いっか(ポジティブw

それでは、本編どうぞ。


Ep,7 貪欲な死

幽々子が消えてから、紫は日が明けるまで泣き続けていた。今はそっとしておくべきだと判断したカルマは部屋に藍を残し、別室に移動していた。その部屋には身支度を整えている妖忌がいた。

 

「動いて大事ないのですかな、カルマ殿。」

「お前に言われたかねぇよ。」

 

幽々子の部屋には手紙が置かれていた。紫、藍、カルマ、そして妖忌当てのものだった。カルマには紫のことをよろしくと書かれていた。

 

「幽々子様の手紙には儂の好きなようにしろと書かれてありました。」

「仕えていた主がいなくなったからな。」

「なので、ここを孫に任せ、修行に出ようと思っております。」

「素直に隠居すると言え。」

「はっはっはっ。素直になれぬお主に言われるとはのぉ。」

 

ひときしり笑うと、妖忌はまとめた荷物を背負い、机に置かれていた2本の刀をカルマに差し出してきた。

 

「この刀を紫殿に渡してくだされ。」

「あ?お前の得物が無くなるだろうが。」

「なぁに、普通の刀でも問題なかろう。それに、この刀は幽々子様からの手紙に書かれていたのでな。」

 

妖忌の手紙には、もし白玉楼を出ていくのならば、楼観剣と白楼剣を孫に渡すように書かれていたらしい。そして、そのことは紫の手紙にも書かれていた。

 

「分かった。なら、渡しておく。」

「感謝しますぞ。最後に良い戦いができた。儂は更に上を目指そうと思っておる。」

 

どうやら隠居しても鍛錬を止めるつもりはないようだ。

 

「まぁ、死なねぇ程度にしろよ。」

「はっはっはっ。まだまだ死なぬよ。…では、達者での。」

 

そして、妖忌は何処かへと行ってしまった。残されたカルマは壁に凭れ掛かり、一気に息を吐いた。

 

「…まさか妖忌に感づかれるとはな。」

 

1日で回復できる魔力量にも限界がある。現にカルマは今立っていることもやっとなのだ。しかし、自分の身体に鞭打ち身体を起こすと、紫の部屋へと向かう。

 

「藍、入っていいか。」

「はい、構いません。」

 

部屋に入ると、寝ている紫の傍に藍がいた。紫は泣きすぎた為、目元が赤く腫れていた。

 

「この刀だが―。」

「はい、知っております。お預かりします。」

 

藍に刀を渡すと、紫の様子を伺う。彼女は穏やかな寝息を立てていた。

 

「感情を露わにする紫様も珍しいですよね。」

「普段からこいつは飄々で神出鬼没だからな。」

「幽々子様は紫様にできた最初の友達だったそうです。」

「そうか…。」

 

最初の友達故に、無くした時の気持ちは大きいだろう。

 

「俺は別室で回復の為に寝てくる。」

「分かりました。」

 

紫の部屋を後にし、自分の部屋へと行くと、彼は死んだかのように眠りについた。

 

 

 

そして、数日後。カルマは起きないため、スキマを使い八意永琳のいる屋敷へと移動させていた。永琳は彼の状態を想定していたらしく、落ち着いた様子で作業を進めた。彼女にカルマを任さ、紫は博麗神社へと移動する。

 

『やっと来やがりましたか。』

 

しかし、神社に麗夢の姿はなく、代わりに焔がいた。

 

「焔?麗夢はどこ―」

『緊急事態でいやがります。』

 

紫の言葉を遮り、焔が立ち上がる。

 

「一体どうしたのよ。」

『あの人食い妖怪が姿を消しやがりました。』

「――ッ!?」

 

人食い妖怪。つまりルーミアのことだ。ルーミアが姿を消した。それが意味するのは何か。

 

「焔。ルーミアが消えたのはいつ?」

『4日前でいやがります。』

 

4日前。それは紫たちが西行妖と戦う前日だ。そして、次の日に西行妖は一時的にとはいえ、満開を迎えた。

 

「藍、すぐに人が大量死した場所を探し出しなさい!」

「畏まりました。」

 

スキマを開け、藍が中に消える。もしも西行妖によって引き起こされた大量死とルーミアの失踪が関係するとすれば、これからも死人は出ることは明らかだ。

 

「こんな時にカルマが起きていれば…。」

 

今のカルマは昏睡状態。無理起こすこともできるが、まだ魔力が回復していない。それに永琳がそれを許さないだろう。

 

「…麗夢?…焔、麗夢は何処?」

 

神社にいるはずの麗夢の姿がなく、焔の姿がある。この狐の霊が冷静である以上、麗夢は死んでいないのは確実だが。

 

『人食い妖怪の行方を探していやがります。夜には戻ってきやがるはずです。』

「取りあえず、無事なのね?」

『はい。』

 

麗夢は生きている。夜までまだ時間はある。その間にルーミアの行方を探した方がいいだろう。

 

「わかったわ。私も探すから、後のことは頼むわね。」

『わかりやがりました。』

 

スキマを開け、紫も神社を後にした。

 

 

 

「ひ、ひぃぃ!!」

 

ごめんなさい。

 

「だ、だずげでぐれぇ!」

 

もう嫌だ。

 

「返して!私の子―」

 

ごめんなさいごめんさい。

 

「あいつの仇だっ!」

 

もう止められないの。

 

「ば、化け物っ!?」

 

我慢できないの。

 

「お、おれたちが何をしたっていうんだっ!」

 

抑えられないの。

 

「大丈夫か!今助けに―」

 

だから逃げて。

 

「くそぉ…」

 

もう誰も…。

 

「ぎゃあああああああ!?」

 

喰らいたくないの。

 




とうとうこの時が来ました。
ルーミアメイン回再開です。
麗夢の登場以降、かりちゅま化してましたがw
西行妖の満開はルーミアによる捕食の伏線でした。

いやぁ、でも・・・。
あの三次創作みたいな展開になっちゃって申し訳ないです(´・ω・`)

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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