東方禁初幻譚   作:鈴華

57 / 92
先週地元に戻って温泉行ってきました。
肩こりも少し柔らいだし、お肌もスベスベだじぇ(´∀`*)
でも、のぼせた(´・ω・`)

それでは、本編どうぞ


Ep,5 西行妖 前編

「……。」

「Zzz…。」

「…紫様、起きてください。」

「んぅ…。Zzz…。」

「…藍。」

「あ、はい。なんでしょう、カルマ様。」

「水持って来い。」

 

 

 

「おはよう、幽々子。」

 

早朝。客間に紫が姿を現した。彼女に続く形でカルマと藍が続く。そして、客間には既に幽々子と妖忌の姿があった。

 

「おはよう、紫。それより、貴女が起きるにしては珍しく早いわね。」

「カルマに起こされたのよ。」

 

彼女はカルマを睨み付けるも、彼はそれを軽く受け流した。

 

「本当なら藍に起こしてもらうつもりだったのだけど…。」

「申し訳ありません、紫様。」

「さっさと起きねぇのが悪ぃんだよ。」

 

中々起きない紫に困り果てていた藍。朝の鍛錬を終え、客間にいたカルマは中々姿を現さない彼女たちの様子を見に来たのだ。取りあえず、紫の寝顔に早朝の気温で冷えた水をぶっ掛けて起こすことになったのだ。

 

「まったく…。二度目よ、こんな起し方をされたの。」

「知るか。」

 

先日にからかわれたことの恨みも含まれていたのは彼のみぞ知る。尚、最初の一度目は麗夢によって起こされたものだ。妖忌と藍の作った朝食を済ませると、少し休憩してから西行妖の元へと向かった。

 

「……なるほど。紫を負かすだけはある、か。」

 

目の前にある桜の巨木。その樹に近づけば近づく程、妖気が重圧として襲い掛かりそうな程だ。そして、ほとんどの枝で桜が咲き、もう少しすれば満開するかもしれない。

 

「時間が惜しいわね。急ぎましょう。」

 

善は急げ。紫はスキマから何枚もの札を取り出し、それを藍と一緒に配置していく。術式が完成すると白装束に着替えた幽々子は陣の中心に立った。

 

「カルマ、お願い。」

「あぁ。」

 

カルマは札の一枚に魔力を流し込む。すると、魔力は札と札を繋いでいき、大きな陣を作り上げた。

 

「紫様!!」

 

だが、そう簡単に事は進まなかった。突如として、地震が起こったかと思えば、地面から大樹の根が鉾となり襲い掛かってきたのだ。

 

「―ッ!!」

 

藍の声掛けにより直ぐに気付いた紫は境界を操り、結界を作り上げた。しかし、それは早急に作り上げたもので、それほど強度はない。鉾が結界に突き刺さり、今にも突破されそうだった。

 

「紫、お前は術を進めろ!藍と妖忌は西行妖の根を切断だ!」

 

紫の築いた結界が早々持たないと把握したカルマはすぐに指示を飛ばした。紫は術の進行を、藍は妖術で根を燃やしていく。妖忌は2本の刀を振るい、切り落としていく。

 

―第1禁忌魔法“拒絶”+ 第22禁忌魔法“磔十字”―

 

「“教会領域”!!」

 

4つの十字架を支点に結界が築き上げられた。それと同時に境界の結界が砕かれる。だが、カルマの作った結界が鉾を通さない。結界を張るとすぐにカルマも飛び出し、大鎌を振るって、根を切り落とす。横薙ぎに襲ってきた根を足場に飛び上り、空中で回転しながら、輪切りにしていく。直地しようとする時に、丁度その地面から根が飛び出してきた。これを無理やりに身体を捻って躱すが、避けきれず、袖を持っていかれ、肩に軽くだが、切り傷が生まれる。だが、傷の心配をする暇もなく、鉾が襲い掛かってきた。

 

「クッ…。」

 

堕天を発動させると、間をすり抜けるように通り過ぎる。カルマのいた場所に突き刺さった根は、いつの間にか細切れにされていた。だが、西行妖も負けてはいない。カルマを囲うように全方位から襲い掛かる。

 

「ド低脳がぁ、二対鎌!」

 

片手に依代となる大鎌、もう片方にソウルイーターの大鎌を生み出し、片っ端から根を切り落としていく。身体よりも二回り大きい大鎌を2本も振り回せるのは、彼だからできることなのだろう。

 

「次、来ますぞっ!」

 

しかし、油断はできない。西行妖から放たれてきたのは桜吹雪の弾幕。根のような大きな標的ならともかく、花びらのように小さな物は対処が難しい。斬ろうとしても、その時に起こる風に乗り、花弁が斬れないのだ。

 

「妖忌は根に集中しろ!藍は花だ!」

 

妖忌はすぐに後方に下がり、結界を襲う根の対処に当たる。藍は出来るだけ、花びらを燃やしていく。

 

「切りがないッ!」

「…チッ。」

 

無尽蔵に襲い掛かる桜吹雪。妖忌も1人で根の対処はきついようだ。背後の守るべき対象がある以上、受け流すことはできない。だからと言って、真正面から受け止めるには衝撃が強すぎる。

 

「紫、まだか!!」

「まだ掛かるわ!もう少し堪えて!」

 

紫の方も焦っていた。カルマの作った結界とは言え、いつまで保つかわからない。今でもみしみしと軋む音が聞こえ、不安を掻き立てる。それに加え、彼の魔力のコントロールが思った以上に難しく、苦戦していた。

 

「テンペストッ!」

 

樹に当たらないように幾つもの魔法陣を配置し、桜吹雪を消滅させていく。しかし、その隙間を掻い潜り、弾幕が襲い掛かる。攻防に徹している3人にも疲れが見え、幾つもの切り傷がつけられていた。嘲笑うかのような攻撃にカルマの怒りも増してきていた。

 

「ドッ低脳、風情がぁッ!!」

 

陣から放たれるテンペストが違う陣へと放たれる。それが連鎖し、さらに大きな魔法陣を生み出した。

 

「レクイエム!!」

 

新たに生み出された巨大な魔法陣からテンペストが放たれた。西行妖と3人との間を分かつように放たれた光線は地面を抉り、桜吹雪を塵へと変えてしまった。

 

 

 




まさか前編になるとは思わなかった。
後編は明日投稿します。
あ、最初のやり取り。
紫を起こす奴は一度入れたかった物なんですよねw

西行妖の攻撃パターンは色々考えたんですけど。
根による突き刺し攻撃と鞭攻撃。
それと、桜の弾幕にしようと思いました。
本当は死者を操って攻撃させようと思ったんですけど。
思うところがあってやめました。
理由は次回です。

今回登場した禁忌魔法~。
―ってよりは応用だねw
“第1禁忌魔法“拒絶”+ 第22禁忌魔法“磔十字”複合“教会領域”―拒絶結界の四点を磔十字で強化し、結界の性能を強化する。
第16禁忌魔法“テンペスト”応用“レクイエム”―テンペストの光線を連鎖させ、さらに大きなテンペストの魔法陣を築き上げ、巨大な光線を放つ。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。