東方禁初幻譚   作:鈴華

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あぁ、ボケツッコミがない・・・。
なんだかな・・・。

本編どうぞ。


Ep,3 月移住計画

カルマは会議室に呼ばれていた。そこにはツクヨミを始め、アマテラス、蓬莱山影成等の上層部のメンバーが集められていた。集まるように連絡を入れていたツクヨミが、早速内容を伝え始める。

 

「まず、皆にとって、穢れの存在は知っていて当たり前だろう。調査によると、昨今奴らの動きが活発化しているらしい。このままではこの都市もいつ落とされるかわからない。そこで私はある計画を企てた。」

「ある計画、ですか?」

「それはなんです?」

「月へ住処を移す、月移住計画だ。」

 

月移住計画。それは今いるこの月下巨大都市を捨て、ロケットという名の方舟に乗り込み、月面上に移住するという計画だ。既に技術班は動き出しており、あとは方舟を量産するのみらしい。しかし、それには長い時間が必要とのことだった。

 

「予定では、あと十数日で人数分できる。何か異論はあるか?」

 

周りを見渡すが、誰も反対する者はいなかった。

 

「では、残りの時間に何があるかわからないが、それまで耐えてくれ。以上だ。」

 

ツクヨミの声に集まっていたメンバーがその場をあとにする。残されたのはツクヨミとカルマの2人だ。

 

「すまない、カルマ。」

「気にしないでください。それで、俺になんのようですか?」

「言いにくいのだが・・・。」

 

辛そうな顔をするツクヨミ。カルマはジッと次の言葉を待つ。2人きりということはそれだけ重要な話か、もしくは誰かに聞かれるとまずい話かのどちらかだ。

 

「方舟に皆が乗り込む間、穢れから防衛して欲しい。」

「・・・なるほど。つまりは置き去りというわけですね。」

 

方舟に皆が乗り込むまで防衛しなければならない。つまりは最後の方舟が飛び立つまでの間、守り続けるということになる。穢れの数は未知数。その相手をするとなると、必然的に置き去りという形になるのだ。

 

「方舟に人が集まれば穢れが必ずよってくる。言い換えれば、奴らにとって絶好の餌場となるだろう。時間ギリギリまで防衛部隊には出てもらう。最後の船に乗り込んだら、飛び立つことになっている。それと同時で爆弾を投下するつもりだ。お前なら死ぬことはないだろう。こんなことを頼むことになってすまないと思っている。だが、お前の力が頼りなんだ。」

「わかっています。そのためのこの力です。この身を何回滅ぼしてでも、必ず死守して見せます。」

「・・・“友人”として、本当にすまない。」

 

そこでカルマは少し驚いた。ツクヨミが彼を友人と言ったのは何年ぶりだろうか。ツクヨミが今の地位について以降、彼を友人と言ったことはない。アマテラスをカルマが呼び捨てにしているのは、その名残だ。幼少期、カルマとツクヨミ、アマテラス、永琳は友達だったのだ。

 

「明日は雪でも降るかもな。」

「そうかもしれんな・・・。それでは・・・。」

「あぁ、任せろ。」

 

 

 

 

「月移住計画?」

「あぁ、そうだ。」

 

ツクヨミと別れ、次に訪れたのは輝夜の病室だった。訪れたのは日が傾き始めている頃だったが。

 

「穢れというのは知ってるか?」

「うん。外にいる化物のことでしょ?」

「その穢れたちが活発化しているんだ。だから、月に住移り住むって計画だ。」

「月に・・・。」

 

窓から外を見ると、ぼんやりだが、白い月が見えていた。

 

「あそこに行くのね・・・。」

「そういうことだ。」

「カルマと一緒の船がいいなぁ。」

「・・・少なくとも永琳とは一緒だろう。」

「ふふ、そうだね。」

 

一瞬、本当のことを話すべきか悩んだが、話さないほうがいいだろう。ここでそんなことを知れば、彼女の精神に異常をきたし、今の病状を悪化させるかもしれない。“未来視”で、彼女が生きていると分かってはいるが、心配であることには変わりないのだ。勿論、永琳にも話すつもりはない。彼女のことだ。必ず止めに入るだろう。だが、これは彼でしか成し遂げられない。

 

「どうしたの?」

「ん?いや、なんでもない。」

 

どうやら少し考え込んでしまったようだ。

 

「今日はどんな話を聞かせてくれるの?」

「そうだな・・・。」

「あ、そうだ!」

「何か聞きたいことでもあるのか?」

「えっとね、カルマがどうして禁忌を使えるようになったか聞きたいの。」

 

これは困ったことになった。彼が魔人になった理由は、ツクヨミとアマテラスくらいしか知らない。誰かに知られればまずいことになるということもないのだが、彼自身は気恥ずかしく思っている。

 

「わかった、話す。だが、永琳にはなにも言わないでくれ。」

「・・・?わかったわ。」

 

カルマは腰掛けていた椅子に深く座り直し、何か思い出すように頭上を見上げた。

 

「そうだな・・・。あれは俺がまだ輝夜くらいの頃だったか。」

 




次回明かされるはカルマの過去。
彼がどうして魔人になったかわかるかと思います。

間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

こちら前作「東方歪界譚」の主人公です。
居眠りしてたので、パシャリっと…あ…。
「何…してるのですか?」
あはは…逃げろっ!
「逃がしません!」
ぎゃああああああああ!!?

http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im4293981

開けなかったら、きっとそれはこの娘の悪あがきなんです。

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