東方禁初幻譚   作:鈴華

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朝起きると寝ていた姿勢と場所はほとんど変わっていないのに、掛け布団だけ引っ繰り返ってるんだけどw
どういう寝相してるの私w

それでは、本編どうぞ。


Ep,12 竹取物語 裏

時間は月からの迎えがくる1日前に遡る。

 

「麗夢、話がある。」

「なんですか?愛の告白ですか?」

「ちげぇよ。」

 

居間でお互い向かい合わせに座る。

 

「輝夜に手を貸そうと考えている。」

「そうですか。」

「それでお前の力を借りたい。」

「―と言いますと?」

「俺は今、力が弱まってきているってのは分かっているよな?開門を使えば、輝夜のいる屋敷に行くことができるが、まだ温存しておきたい。」

 

カルマはここ最近、禁忌魔法を使っていない。今はゆっくりとだが、魔力の回復を行っているのだ。だが、それは雀の涙程度でしかない。このタイミングで膨大な魔力を用いる禁忌魔法を使用すれば、いずれは魔力枯渇で彼自身に危険が及ぶのだ。

 

「今までどおり、私の転移を利用しようってことですね。」

 

博麗麗夢の1つの能力である『歪める程度の能力』で空間を移動する方法を使えば、カルマのデメリットはなくなる。

 

「あぁ、頼めるか?」

「・・・分かりました。でもその代わり、終わったらお願いを聞いてくださいね。」

 

彼女の笑みに何か邪なものがあることは確かなのだが、ここで引き下がるわけにはいかない。別に彼女に頼らず、八雲紫のスキマを使えば良いのだが、彼女は玉藻の噂を聞いて以降、姿を現していない。

 

「分かった。なんでも言うこと聞いてやる。」

「ん?今何でもって―」

「決行は当日だ。転移先は輝夜の屋敷。時を見計らって、輝夜を回収しろ。」

「むぅ。分かりました。」

 

そして当日、2人は屋敷の物陰に転移し、時を見計らっていた。尚、ルーミアは仮封印の状態で留守番をさせられている。

 

「流石にあの姿勢はどうかと思うが・・・。」

「気にしたら負けです。それともカルマがなりますか?」

「やめろバカ。」

 

そして、その時は訪れた。月の輝きが増し、辺りにいた兵の動きが止まる。流石に月の技術を持ってすれば、これくらい容易いものだろう。カルマは麗夢に拒絶を使い、この月光を弾く。

 

「・・・永琳。」

 

物陰から見ていたカルマには懐かしい姿を写っていた。彼女は使者の1人と何か言い合っていると、輝夜のそばに移動した。どうやら彼女は輝夜の味方に付くらしい。

 

「好都合だ。麗夢。」

「2人の転移でしょう?行き先は?」

「神社の近くに竹林があっただろ。あそこなら見つけにくい。転移させたら、お前も行け。」

「わかりました。行きますよ、焔。」

 

焔の青白い炎が輝夜と永琳を取り囲む火柱を生む。2人の姿が炎で隠れると、その下に歪みの穴を開ける。重力に引かれ、2人はそのまま穴の中へと落ちていった。

 

「送りました。次はカルマの番です。」

 

新しく穴を開けるとカルマはその穴に入り込む。行き先は火柱の中だ。それを確認すると、麗夢はまた違う穴を開け、その中へと入って行った。そして火柱が消えると、そこにはカルマがいるというわけだ。

 

「何者だ?」

 

月の使者が問う。それに答えず、辺りを見渡す。そこには身動きが取れない地上の兵たちがいた。

 

「邪魔だな・・・。」

 

都合よく兵の全員がカルマに注目している。

 

―第98禁忌魔法“言霊”―

 

「“地上の者は自分の居場所に帰れ。”」

 

カルマの言葉を聞いた兵たちは虚ろな眼になり、のろのろと屋敷から引き上げていった。この現象に月の使者は驚きを隠せなかった。月光を浴びた以上、数時間は身動きを取ることができないはずだからだ。

 

「・・・邪魔は消えたな。で、ド低脳共は俺を殺るわけか?」

「姫様と八意様を何処へやった?」

「安心しろ。安全な場所だ。」

 

未だに警戒を解こうとしない。カルマのことは月の者なら既知のはず。しかし、その様子が見られない。恐らく、姿形や能力を知っているだけで、実際に会ったことがないため、わからないのだろう。1人を除いて。

 

「止めい。」

 

進み出てきたのは初老の男性だった。但し、老体とは思えぬ鍛え上げられた身体をしている。

 

「し、しかし、総大将殿!」

「いいから。武器を下ろせ。」

 

使者たちは渋々構えを解いた。男はカルマと対面に来るとこちらを観察してくる。しかし、その視線に警戒心はなく、喜びの方が大きい。

 

「久しぶりだのう、カルマ。元気だったか?」

「あん?」

 

気軽に話しかけてくる辺り、面識はあるのだろうが、身に覚えがない。

 

「ん?あぁ、この姿じゃわからぬか。風真じゃよ、如月風真じゃ。」

「・・・あぁ、そうか。俺の外見が変わってないからな。」

 

カルマは神になっている以上、ほとんど外見に変化がない。だが、あの頃から数億年と経っている実感がわかなかったのだ。

 

「ほんに、お主は変わらんのぉ。羨ましい限りじゃ。久々の再会だ。もっと喜んだらどうだ?」

「うるさい。俺には無縁なことだ。」

「はっはっはっ!相変わらずだのぉ、お主は!」

 

風真は豪快に笑いながら、カルマの肩をバシバシ叩く。得体の知れない者に馴れ馴れしく接する総大将に使者の面々は動揺を隠せない。それどころか、自分たちが英雄として崇めている『魔神カルマ』が目の前にいるということが判明し、更にざわつきが増していた。

 

「さて、話を戻すが、輝夜様と八意様のことだが―」

「安心しろ。ちゃんと安全な場所に移している。それに今頃、協力者があいつらに説明しているはずだ。」

「うむ・・・。まぁ、お二人方もお主といた方が本望だろう。」

「なっ!お祖父様!」

 

しかし、風真の言葉に否を申し込む者が現れた。20代後半の女性だったが、カルマはそれ以外に注目する点があった。

 

「おい、風真。あの女・・・。」

「あぁ、儂の孫じゃよ。如月風音というんじゃ。可愛いじゃろ?」

「そっちじゃねぇよ。」

「まぁ、言わんとすることは分かるのぉ。」

 

彼女の手にある得物。それはカルマが昔愛用していた大鎌だったのだ。

 

「お祖父様!今回の任は輝夜様の奪還です!それをカルマ様とはいえ、地上に置いておくなど。」

「そう言われてものぉ。豊姫様や依姫様も納得してくれるとは思うが。」

「ぐぅ・・・。」

「おっと、そうじゃ。カルマよ。」

「なんだ?」

 

風音が納得しきれていない中、話題は再びカルマへ。

 

「明日、この島の一番高い山でお主を待っておるぞ。理由は来れば分かる。」

「・・・まぁ、分かった。」

「よし。皆の者、引き上げるぞ!」

 

風真の号令で使者たちは月へと帰っていった。それと同時に月光も弱まっていく。

 

「・・・帰るか。」

 

屋敷の裏に行くと、麗夢の開けた穴が開きっぱなしになっていた。その穴に入ると、穴は閉じ、何もなかったかのように静まり返っていた。

 




やっぱりこの2人のカップリングは個人的にいいと思うw
まぁ、自分で生み出したオリキャラだからね(*´ω`*)
どんなお願いをするつもりなのかな、あの娘。

―というわけで、数億年ぶりの再会は如月風真が先でした。
まぁ、それなりに年月は経っているので、老体にしようとは考えていました。
でも、数億年経ってるのに、まだ死んでないってどういうことだろ(~ω~;)))
ちなみに彼は薬を飲んでないからね。

さて、次はいよいよ女性陣との再会です。
挿絵を入れる予定だけど、ちょっと難しそうw

1日遅れで説明入れるの忘れてたことに気づきました。
第98禁忌魔法“言霊” ― 全方位において、全感覚(五感)の一つでも自分の言葉を認識した時、その言葉の通りとなる。第88禁忌魔法“オートマター”と違い、多人数向けの禁忌魔法。だが、人数に応じて贄の数が増す。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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