東方禁初幻譚   作:鈴華

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みなさんはそろそろ夏休みに入る頃でしょうかね?
私はまだテスト終わってないですけど、期間が開きすぎた気がするので投稿。
え?勉強しろ?
息抜きって大事だと思いません・・・?
あ、はいすみません(´・ω・`)

あ、あと諸事情により章の名前を変えました。
理由は次回わかると思います。

それでは、本編どうぞ。


Ep,8 魅了の行き先

都の中、街道の物陰にカルマの姿はあった。麗夢に頼み、ここまで空間を繋げてもらったのだ。その代わりにある条件を出されたが。

 

「夕暮れにお迎えに来ますので、ここに来てください。」

「あぁ、分かった。…だから手を放せ。」

「お出かけの接吻―」

「放せっ!」

 

麗夢の絡めてくる腕を振りほどき、カルマはその場を後にし、街道に出た。

 

「やれやれ、釣れないですね。」

『当たり前でいやがります。とっとと帰りましょう。』

「おや、妬いているのですか?」

『はぁ…、それでいーですよ、もう。』

 

空間の歪みが消え、そこには誰かがいたという痕跡が無くなった。

 

 

 

輝夜のいる屋敷の近くにある甘味処。前にとある少女と共に話した場所だ。そして、そこには少女―妹紅の姿があった。しかし、彼女の表情には陰りがあった。

 

「どうした、こんなところで。」

「あ、カルマ…。」

 

顔を上げ、カルマを認識しても彼女の表情は暗いままだった。それがきっかけとなったのか、彼女の瞳に涙が見られた。

 

「話、聞いてくれるか?」

 

妹紅の話によると、今日も飽きることなく彼女の父親は輝夜に求婚をしにいったそうだ。すると、輝夜曰く、今からいう物を持ってきたものに付き従うとのことだった。その時いた5人の貴族に出した物はどれも聞いたことのない宝のようなものであり、妹紅の父親である不比等には『蓬莱の球の枝』というものを持ってくるようにと言ったのだ。

 

「それはまた大層なもの注文したな。」

「そんなもの存在しないはずだ。だから父は職人に多額のお金で契約のもと作らせることにしたんだ。だが、いくら私の家が貴族でもあんな大金ない。」

「欲に目が眩んだか…。」

「…なぁ、カルマ。私はどうすればいい?どうすれば、父の目を覚まさせることができる?」

 

それは難しい質問だった。彼女の父親はなんとしても輝夜を手に入れようと躍起になっている。挙句の果てには手段を選んでいない。そんな状態で目を覚まさせるのは苦難とも言えるだろう。

 

「…一度話した方がいいかもしれない。」

「なんでもするから、何とかしてくれ!あんな父は見ていられないんだ!」

 

彼女の案内で案内されたのは輝夜のいる屋敷より少し小さい屋敷だった。使用人に通され、件の人物のいる部屋へと通される。

 

「父上、入ってもいいか?」

「妹紅か、何の用だ?」

 

室内いたのは貴族らしい衣装で着飾った男性がいた。しかし、彼の顔は少し窶れ、何かに取りつかれているように見えた。

 

「うむ?そちらの男は?」

「私の友達だ。前に話しただろ?」

「そういえば、そんな事を言ってたな。確か、カルマと言ったか。」

「あぁ、今日は―」

「率直に言わせてもらう。」

 

カルマは妹紅の話を遮り、割り込んだ。

 

「輝夜の事はあきらめろ。」

「…貴様、何様のつもりだ。」

 

不比等の瞳に殺意が沸いた。貴族に対して失礼な物言いに加え、意中の女性を諦めろというのだ。怒りを覚えて当然だろう。

 

「貴様も輝夜様を狙っているのか?」

「なんで俺がアイツを狙わねぇといけねぇんだよ。興味ないな。それにお前は現状どうなっているのかわからんのか?」

「何…?」

「蓬莱の球の枝だかなんだか知らんが、そんなものを作る金、貴様は持っていないだろうが。」

「…妹紅から聞いたのか?」

「そうだ。ある程度なら聞いている。」

 

不比等の視線が妹紅を射抜く。彼女はそんな父の様子に肩を跳ねるが、彼から視線を外すことはなかった。

 

「輝夜様は私が迎える。誰にも邪魔はさせん。たとえ妹紅でもだ。」

「父上…。」

 

ここまで来ると最早重症とも言えるだろう。彼は完全に『蓬莱山輝夜の容姿』に憑りつかれている。

 

「…もういい、分かった。好きにしろ。」

「カ、カルマ…。」

 

屋敷を妹紅と一緒に出ると、妹紅も彼の後に付いて外に出てきた。

 

「ま、待ってくれ!」

 

足を止め、彼女の声に振り返る。

 

「その…すまない。あんな父で…。」

「聞くより見て会った方が早いと思ったが、あれはもう手遅れだな。」

「…やっぱりそうか。」

 

見てわかる落ち込み様に、居たたまれなくなるカルマは、溜息半ばに話を続ける。

 

「暫くは都内にいるつもりだが、何かあったら話を聞いてやる。」

「暫く?カルマは都に住んでいるわけじゃないのか?」

「まぁな。旅をしていたら、偶然ここに付いただけだからな。」

「旅、か…。」

 

何か思う事があるのだろう。俯き考えている。ある程度何を考えているのかは察することはできるが、それをとやかく言うつもりは彼にない。

 

「どうするかはお前次第だ。」

「…1つ聞いてもいいか?」

「何だ?」

「カルマの旅をする理由はなんだ?」

 

旅をする理由。考えてみれば、当たり前になっていたことだ。理由と言えるようなものはない。強いていえば、住む場所が無くなったためだろうか。

 

「…大した理由はないな。」

「な、ないのか?」

「まぁ、今は1つの場所に落ち着いてはいるが。」

「そうなのか…。」

 

あまり認めたくはないが、現在はあの神社に落ち着いている。彼の妖怪の監視を名目にしてはいるものの、なんだかんだであそこから出ていこうとは今のところは思っていないのだ。

 

「そろそろ行かせてもらうぞ。」

「あぁ。呼び止めてすまない。また話をしような。」

 

二人は別れを告げると、カルマは来た道を引き返して行った。

 

「旅、か…。」

 

彼女のつぶやきは彼の耳に届かず、空気へと溶けて行った。

 




妹紅のお父様の登場でした。
これを俗にいう恋は盲目というものでしょうか?
まぁ、恋は盲目なのはうちの娘ですが・・・。

一読者であるマツタケ様が前作主人公のMMDを作って躍らせてくれました。
小説も書けて、イラストも描けて、ゆっくり実況もできて、MMDもできるなんて、すごい人ですよね!
ね!!
「圧力掛けんな。」
前半がふみふみさん様宅の娘(誤字じゃない)で、中間がうちの娘です。
後半がマツタケ様の娘と上記の3人でBadApple踊っています。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm26763899

上のURLから行けるはずですので、ぜひ視聴してみてくださいな。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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