私個人として、過去はこんな感じじゃないと思うんですけどね。
書く手が止まらなかったんです。
では本編どうぞ。
「言っておくけど、失礼のないようにね?」
「何回目だよ、それ。わかってるから。」
後日、2人は研究室で待ち合わせ、蓬莱山輝夜のいる場所へと向かっていた。相手は現当主の愛娘。失礼のあるようなことはあってはいけない。
「ならいいわ。姫様の部屋はこっちよ。」
2人がいるは中央病院。永琳の研究室がある場所のすぐそばにある場所だ。立ち止まると扉のそばにある名札に“蓬莱山輝夜 様”の名前があった。
「姫様、永琳です。入ってもいいでしょうか?」
「いいよ。」
中は完全に個室ようになっていた。ベッドには親そっくりに黒髪が長く伸びている一人の少女がいた。
「今日は診察じゃないと思うんだけど、どうしたの?」
「姫様に会わせたい人を連れてきたの。」
「お父さんから聞いたけど、誰だか教えてくれなかったの。だから、楽しみにしてたわ。」
秘密にする必要性がないような気もするが、1つのサプライズというものだろう。
「入ってきていいわよ。」
カルマは扉を開け、中に入る。ベッドに腰掛けている少女がどうやら目的の人物のようだ。
「はじめまして、カルマです。」
「あなたがカルマ・・・。はじめまして、蓬莱山輝夜よ。」
彼女が蓬莱山輝夜。後に蓬莱山の薬を飲むことになる少女。
「噂は聞いてるわ。ツクヨミ様とアマテラス様のお墨付きって。」
「そんなことはありません。私はただやりたいようにやっているだけです。」
「そうなの?あ、あと、敬語はいいわ。永琳は仕事場だからって敬語外してくれないけど、あなたは違うでしょ?」
「・・・わかった。そうさせてもらう。」
「それじゃあ、私は仕事に戻るわね。姫様、カルマをよろしくお願いします。」
「うん。」
永琳は一礼すると病室から出て行った。すると輝夜はベッドに横になった。
「ごめんね、こんな形で会うことになって。私がもっと元気だったら。」
「やめておけ。そんな想像をしても虚しいだけだ。」
「・・・随分はっきり言うのね。」
「ないものを強請ってもしょうがないだろ。」
「ふふ、そうね。・・・うっ!?」
突然、口を覆う苦しそうに咳き込んだ。手のひらには微量だが、血がついている。なるほど、これなら、彼女の親も禁忌に手を出すに決まっている。
「ごめんなさい。こんな状態で。」
「・・・ちょっと待ってろ。」
「なに?」
「第50禁忌魔法“未来視”。」
彼は右目を閉じ、赤い瞳で輝夜をジッと見つめる。流石にじっと見つめられたことがない輝夜は恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「・・・なるほど。」
「な、なにが?」
「少なくとも、輝夜は長生きする。これは断言できる。」
「・・・ほんと?」
「あぁ、嘘はない。俺が今使った魔法は未来を見ることができる。その未来は必ず訪れるものだ。」
蓬莱山輝夜は長生きする。それは間違えようのない事実だ。ただ、彼は詳細について話していない。彼女が長生きするまでに何があり、その時何をしているのかを。
「よかった・・・。」
しかし、彼女はまだ幼い。その事実を知らせるのは酷だろう。自分が“あの薬”を飲むという大罪を犯すことになるなど。そしてそれに関わった彼女の父親の運命も。
「今のが、カルマが使える禁忌の魔法?」
「そうだ。よくわかったな。」
「うん。アマテラス様から聞いたの。」
影成の言っていた通り、ある程度は彼のことを聞いていたようだ。しかし、アマテラスはいつ彼女にあったのだろうか。
「他に何ができるの?」
「禁忌魔法なら全て使える。」
「そうなんだ、すごいね!」
まだ幼いからだろう。彼女は無垢であると同時に無知だ。禁忌の魔法には代償が必要だ。カルマだからからこそ、代償無しに扱うことができる。
「輝夜はずっとここにいるのか?」
「そう、物心ついた時からここにいるの。だから、皆みたいに外で遊んでみたいの。」
「そうか。俺で良ければ外の話をするが。」
「ほんと?聞きたい!」
「そうだな。何が聞きたい?」
「んーと、そうねぇ。」
このあと、彼は輝夜に外での出来事を話した。最近の遊びやお店、アマテラスのことや永琳の失敗談。たくさんの話を聞かせていた。勿論、穢れとの戦闘の話は省いている。気がついた時には、昼食の時間帯になっていた。
「失礼します、姫様。」
永琳が昼食を持って病室に入ってきたことで、2人は現在の時間を悟った。
「もうこんな時間か。そろそろ行くか。」
「カルマの仕事?」
「そうだ。ツクヨミ様に呼ばれてるんでな。」
「・・・明日も来てくれる?」
「時間があれば来るさ。」
「ありがとう。じゃあまた明日ね?」
「あぁ。」
「気をつけるてね、カルマ。」
「わかってる。」
カルマは輝夜の病室をあとにしてツクヨミの元へと向かった。ツクヨミはいつものように椅子に腰掛けているが、何かの資料を読んでいた。
「失礼します。」
ノックをしてカルマが部屋に入ってきた。ツクヨミは資料を横に置く。
「カルマ。穢れを倒しに行く前に確認させてくれ。」
「なんでしょうか?」
「穢れが活発化してきている。そして近々、ここに攻めてくる。これに間違いはないな?」
「はい。ありません。」
「そうか・・・。カルマ、明日、会議室に来てくれ。そこでこれからの事を話す。会議が終わったら残ってくれ。」
「わかりました。」
「以上だ。いつもどおり、穢れを殲滅してくれ。」
「はい。失礼します。」
カルマは一礼して、ツクヨミの部屋をあとにした。ツクヨミの読んでいた資料。そこにはこう書いてあった。
『月移住計画について』
まさかの病弱設定w
ま、気にしないでください。
では、今回使った禁忌魔法の紹介です。
第50禁忌魔法“未来視” ― 未来を見ることが可能。それは避けられない事実だが、それは使用者が関わっていない条件下のもの。未来を変えたければ、使用者がその時に関わらなければならない。使用者が誰かに話し、話を聞いた誰かであっても、未来を変えることはできない。
間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。