東方禁初幻譚   作:鈴華

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原作とネタを合わせようとすると、結構思いつくものですね。

また前作の番外編書こうか考えてます。
東方歪界譚番外編【東方霙無双】
—って感じです。
意外と長くなりそうなんですよねぇ(´・ω・`)
投稿するとは言ってないですよ。

それでは、本編どうぞ。


Ep,5 転生輪廻

「ところで話は変わりますが、カルマ様は禁術なるものを使われると聞きましたが。」

「あぁ、禁忌魔法を使うことができる。」

 

話はカルマの能力の話になった。突然の話題の変更に不審に思いながらも、隠すようなことではないので肯定した。

 

「その中に転生輪廻なるものはありますか?」

「…まさか、使おうとか思っているわけじゃねぇよな?」

 

確かにカルマの使う禁忌魔法に転生輪廻の類は存在する。それは第7禁忌魔法“黄泉還り”のように、その場にそのまま生き返るというものではなく、時間を越えて新たな人生を歩むものだ。前世の記憶を受け継ぐという事象を稀に見ることができる。しかし、それは偶然引き起こされるもので、必然的に起こす事はできない。

 

「一生の中で記録できるものは限りがあります。それだけでは少ないと思いませんか?」

「……。」

 

彼女の答えは肯定に取れるものだった。

 

「記録のためなんだな?決して悪用せず、広めないと誓えるか?」

「はい。稗田家にのみ伝えることにします。使用人にも一切教えません。」

「…わかった。いずれ教える。」

「今じゃだめなのかしら?」

 

紫の疑問も尤もなものだった。教えるだけなら、今でも教えることができる。それに彼女は絶対的な記憶能力を有している。忘れることは決してない。

 

「まだ未完成なんだ。だから、今の段階で教えることはできない。」

 

禁忌魔法は99個ある。そして、カルマは禁忌魔法から多彩な応用を生み出す事もできる。転生輪廻はその類だ。そして、禁忌魔法の研究は月面移住計画を最後に止まっているのだ。

 

「わかりました。できれば、私の生きている間にお願いします。」

「分かった。できるだけ早く完成させてやる。」

 

禁忌魔法はこの世の理から逸脱した存在。故に理解、研究するとなると、それ相応の時間が掛かってしまう。少なくとも数年はかかるだろう。

 

「他の禁忌魔法について教えてもらう事は出来るでしょうか?」

「……。」

 

半眼で彼女を睨むカルマ。阿礼は慌てて誤解を解こうとする。

 

「あ、悪用なんてしませんよっ!勿論、使おうなんて思っていません。記録のためですっ!」

「その記録を使う輩が出てくるだろうが。却下だ。」

 

彼女の目論見は叶わなかった。がっくりと頭を垂れる姿に紫はクスクスと笑っていた。ルーミアはというと、使用人の追加したお菓子を一人で食べていた。

 

 

 

「じゃあ阿礼。また今度ね。」

 

阿礼に別れを告げ、屋敷を後にする。あの後、記録のために色々聞かれた。勿論、言えない事もあるため、そこは省いた。

 

「八雲紫。」

「何かしら?」

 

屋敷から離れ幾分が経った時、カルマは紫に話しかけた。

 

「用事思い出した。ルーミアのこと頼む。」

「用事?そんなのあったっけ?」

「お前には無くても、俺にはあるんだよ。」

「アンタがいない間に、人間を食べちゃうかもよ?」

「さっきの屋敷で言ったこと忘れんなや、ド低能。」

「…わかったわ。さっき行った神社で待ってるから、用事が済んだら帰っていらっしゃい。」

「わかった。」

 

開門を使い空間を硝子細工のように砕くと、その中へと足を踏み入れる。空間が閉じそうになった時、彼女は言った。

 

「噂は本当。」

「――。」

 

閉じる寸前に振り返ると彼女は扇子で口元を隠し、意味深な視線を向けていた。

 

 

 

とある竹林の中に大きな屋敷があった。夕暮れにも関わらず、その屋敷の門には着飾った男たちが列を作っていた。流石に暗くなると危険であるため、列を成していたいた男たちは屋敷の人間に返され、渋々と帰って行った。

 

「はぁ…。もう嫌になるわね。」

 

そして、一室に一人の女性が溜息をついていた。幸い、部屋には彼女一人しかいない。普段から清楚に振りまいている彼女から打って変わり、今は気怠そうに突っ伏していた。

 

「……ん?」

 

ふと、突っ伏していた机に手紙が置かれていた。封はされておらず、折り畳まれた紙があるのみだった。

 

「なにこれ?」

 

誰が置いていったのだろうか。考えられるのは毎回求婚にくる貴族の男性の誰か。しかし、それは文面に記されている内容によって否定された。

 

『拝啓、蓬莱山輝夜様

堅苦しいのは面倒だから省く。この文を読んでいるということは、男どもの縁談が一通り終わったあたりか。心中は察する。

話を変えよう。俺はお前のことをある程度知っている。月、不老不死、八意永琳、穢れ。これらはお前の周りの誰にも言っていないことだろう。

脅しとかではないから、安心しろ。要はある程度愚痴や相談に乗ってやる。返事があるなら紙に書き、ここの机に置いておけ。

敬具、影』

 

「ふぅ~ん。」

 

確かにこの文面には彼女が周りの人物に言っていないことが多々乗っていた。それに貴族が使いそうな言葉使いがなく、乱暴なものだった。それに“影”という名前も気になる。十中八九偽名だろう。

 

「ま、退屈しのぎにはなるかもね。」

 

彼女は紙と筆をとり、返事を書いた。

 

「輝夜様、お夕食の準備が整いました。」

「分かりました。今行きます。」

 

手紙を書き終えた時、丁度使用人が夕食の報告を告げに来た。彼女は返事をすると、手紙を机の上に置き、部屋を出て行った。

 

 




稗田の家に伝わっている転生の秘術なるものがあるらしいので、カルマに生み出してもらうことにしました。
あ、因みに阿求もカルマと麗夢のことを覚えていません。
記録にもありませんからね。
それはいずれ(*´ω`*)

ラストに登場したのはあのお方です。
え?メインヒロイン?
次回登場じゃっ!

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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