東方禁初幻譚   作:鈴華

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みなさん、ちゃんとパジャマ着て寝てますか?
ちゃんと布団も被らないとお腹を冷やしちゃいますよ。
え?私?
勿論、下着で布団掛けてませんよw

それでは、本編どうぞ。


Ep,4 幻想の基盤

青白い炎が再び現れ、狐を形作ると眠る少女に寄り添うように伏せた。

 

「最初から説明しましょう。」

 

そして、紫はこの村の歴史を語りだした。

 

「今から数年前、この村にもちゃんと人間たちが暮らしていたわ。そんな中、この娘が生まれた。この子もすくすく成長したのだけど、異変は突如として訪れた。発狂しだしたのはまずこの子の両親が最初だった。そこから伝播するように村人が発狂し始めた。恐れた村人は発狂の原因であるこの子を殺そうと計画したわ。でも失敗。無自覚に能力がそれを防いだのよ。」

「それの能力ってなんなのよ。」

 

人間を食べる対象としてしか見ないルーミアは少女を物のように指名した。それに対し、狐の眉が一瞬ピクリと動いたが、動かない。紫に話を任せているのだ。

 

「狂わす程度の能力かしら?」

「それだけだったら、こんなことにはならなかったんじゃないかしら。」

「違うの?」

「えぇ。この娘の能力は“歪める程度の能力”。物体、精神、空間と言った森羅万象全てを歪めることができる。」

「つまり、ここに住んでいた人間はその能力に充てられて、性格が歪んでしまったってこと?」

「そうよ。そして、村人からの攻撃は空間を歪めることで回避してきたの。」

 

確かに“狂わす程度の能力”なら相手からの攻撃を防ぐことはできないだろう。そこで1つの疑問が頭をよぎった。

 

「…じゃあ、仮に私がそれを食べようとすれば?」

「変わらないわ。空間を歪めて、彼女に闇が触れられない状態になるわね。」

「…ふぅん。」

 

兎にも角にも、食べられないということが分かった。

 

「話を続けるわ。この娘を恐れた村人はこの村から去ることにした。そして、この村は廃村となり、誰も近づかなくなった。この子も自分が原因だってことに気づいてたから、ここから出ようとは考えなかったの。」

「それで、その狐はなんなの?歪めて生まれたってわけじゃないでしょ?」

 

話は青白く辺りを照らす焔へと移った。

 

『私はただの狐の亡霊でございます。ある日、この廃村にいる娘を見つけました。それが今の宿主でございます。私は宿主に憑り付き、彼女を狐憑きという妖怪に変えてしまいました。しかし、端的に言えば、宿主は人間であり、憑いている私は妖怪の部分。』

 

彼女が衰弱しきっているのに生き永らえてきたのは、妖怪としての能力と言えるだろう。

 

「この娘は言わば、後天的な半人半妖と言えるような存在となったの。まるで私の夢を体現したような娘よ。人間と妖怪の共存。素敵だと思わない?」

 

人間を食い物としか見ていなかったルーミアにとってはどうでもいいことだった。しかし、少しながら興味が湧いていた。食べることが出来ない人間というのはどういったものなのだろうか、と。

 

「―で、私は何をすればいいわけ?」

「あら?乗り気になったのね。簡単よ。この娘と暮らして、能力の制御ができるようにして頂戴。貴方が歪められないように、境界も弄っておくわ。対価は魔神の居場所でどうかしら?」

 

思ってもみない収穫だろう。この少女を助けるだけで、仇敵の居場所を知ることができるのだから。それに加え、山の通行も許可されるのだ。

 

「わかったわ。やってやるわよ。それで、私の食べ物はどうなるわけ?人間との共存を望むアンタにとって最もな問題はそこじゃないかしら?」

 

そう。ルーミアは妖怪と言っても人間を食べる人食い妖怪。人間が普段食べるようなもので満足できるほど、出来ているわけではない。

 

「我慢なさい。暫くは人間と同じものを食べなさい。」

「本気で言ってるの?私は人食い妖怪よ?」

「本気よ。」

「罪人でも、死人でもかまわないけど?」

「それでもよ。」

 

暫く睨みあう二人。呆れたように焔は溜息を吐いた。

 

『はぁ。ここまでくると畏まる必要性が感じやがりませんね。そちらの妖怪は食糧を多く用意してください。ただ大食いな住人が増えたと考えやがることにしましょう。』

 

人食いと大食いを同系統と考えるのはいかがなものかと思うが、それが妥協案とも言えるだろう。狐火も先ほどからかなり砕けた口調になっている。

 

「…そうね。そうしましょう。」

「はぁ。わかったわ。それで手を撃つわよ。」

『もう日も暗い。二人ともここに泊まって行きやがってください。』

「そうさせてもらいましょう。具体的な計画は明日話すわね。」

 

紫がそう言うと、空間の裂け目から枕を取り出し、少女の頭を持ち上げ、下に敷く。そして、そのまま裂け目の中へと入ってしまった。焔も姿を消してしまった。ルーミアは空腹のため外出ると、適当に歩みを進める。この村の噂があるため、近くに人間の気配は感じることはできない。

 

「いっそのこと、あの天狗でも食べようかしら…。」

「やめてくれぬか?」

 

姿を現したのは朱姫だった。

 

「あら、様子見かしら?」

「そんなものだ。ほれ、適当に持ってきたぞ。少し付き合え。」

 

彼女の手にはお酒とつまみがあった。どうやら差し入れのようなもののようだ。

 

「数億年ぶりの再会じゃ。話でもしないか?」

「そうね。暇だし、付き合うわ。」

 

その後、二人は飲み明かし、過去話を夜明けまでして

 




最後の朱姫とルーミアのやり取りは無理やり入れました。
反省はしていませんが、後悔はしています(´・ω・`)

んー、この後どうしましょうか。
一気に時間飛ばしてもいいんですけどねぇ・・・。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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