晴れの日はたまに半袖着てますw
今回はあの人が再登場。
それでは、本編どうぞ。
画力落ちたなぁ・・・(´・ω・`)
ルーミアはぶらぶらとただ西に向かっていた。目的は魔神カルマの捕食である。ただ道中は流石にお腹も減るが、それは適当に目につく生き物を飲み込んでいった。人間や妖怪、家畜関係なく。よって常に周りにいる生き物の気配を探っている状態だったため、“それ”にすぐ気付くことができた。
「山道に入ったあたりね。」
今歩いている山道に入った時から、視線を感じていた。それは観察しているというより、警戒している好戦的なものだった。それでも相手から襲ってこないあたり賢明な判断だとも言える。襲ってきたら闇に飲み込まれるだけなのだから。
「止まれっ!」
一向に進まない緊迫状態に痺れを切らしたのだろう。一人の妖怪が姿を現した。白い髪に犬のような耳を生やしている。彼女はこちらを警戒し、剣を向けていた。しかし、その剣先はわずかながら震えているように見える。対し、ルーミアを余裕とも言える笑みを浮かべていた。
「あら?何の用かしら?」
「ここから先は我ら天狗の領域だっ!すぐに引き返せっ!」
どうやら知らずに天狗の縄張りに踏み込んでしまったらしい。彼女の声に反応するように木々の影から彼女と同じような容貌の妖怪が姿を現した。
「随分と縄張り意識が強いのね。」
「人間なら追い返すか返り討ちにするだけだが、お前のような妖怪なら問答無用だっ!」
「人間、ねぇ…。」
彼女が思い浮かべるのはまだ穢れが個々の存在だった頃の事。あの時は人間が一つの都市を縄張りにし、そこを守っていた。
「まるであの時の人間たちとそっくり。」
「我々はあのような下等な生き物とは違うっ!」
彼女の声に触発されたのか、ルーミアの背後にいた天狗が襲い掛かってきた。しかし、それに視線を向けることなく、彼女から溢れ出た妖気が自動で防いだ。
「こ、このっ!」
何回も繰り出される剣戟は全て闇に防がれてしまう。やがて体力が無くなってきたあたりを見計らい、闇が得物へと襲い掛かった。慌てて飛び退こうとするが、相手の方が速かった。すぐに捕えられてしまう。
「く、くそっ!離せ!」
逃れようともがくがびくともしない。
「丁度お腹がすいてきたのよ。」
ルーミアは舌舐めずりすると、焦らすようにゆっくりと天狗が闇の中へ誘われていく。
「離せ、化物!」
仲間を危険から救おうと他の天狗が攻撃を仕掛けだした。しかし、全て闇に迎撃されてしまう。
「化物なんてひどいわ。私も妖怪なのに。ただ食欲旺盛なだけだけど。」
少しずつ少しずつ闇に飲み込まれようとする天狗は恐怖で顔を歪めながらも、諦めることなく足掻き続ける。だが、彼女の妖気はびくともせず、彼女自身も凶悪な笑みを浮かべていた。しかし、その微笑みもすぐに消えてしまった。闇が消え、天狗が地面に落ちる。
「ほぅ、これを防ぐか。しかし、すっかり絶滅したと思っておったが、このような形で生き永らえていようとはのう。」
ルーミアの傍から声が聞こえてきた。声の主が放った拳を闇で防ぐために、天狗を解放した。迎撃のために、闇が槍のように突き出す。声の主は余裕を持って跳躍し、距離をとった。
「誰だったかしら、貴女。」
「穢れに名乗ったことないのう。」
穢れ。もはやその名を知っているものはごく一部と言えるだろう。それだけの年月が経っているのだ。そして、その名を知っているのならば、あの頃から生きている者ということになる。
「して何用か、穢れ?」
「ルーミアよ。穢れなんて人間が勝手に付けた私たちの名前でしょ?」
「クハハ!全くもってその通りじゃ。妾にもして、朱姫(あかひめ)と言う名もある。人間共は鬼子母神と妾を呼ぶがな。」
声の主―鬼子母神の朱姫は一際笑い、落ち着くとルーミアに再度問いかける。他の天狗たちは警戒を解かず、緊張していることが分かる。
「して何用か、ルーミアとやら。」
「ただ通りがかっただけよ。西に向かってるのよ。」
「西に?」
返答に疑問を抱き、朱姫は腕組をしながら首を傾げた。
「何故、西に向かうのか?」
「アイツに会うためよ。私たちをたくさん殺した奴。」
「ふむ?あの時代は多くの人間に狩られたであろう。一個人に入れ込むのは…あぁ、あの鎌使いか?」
やっと理解したのだろう。朱姫の答えにルーミアは笑みを浮かべる。
「えぇ、その鎌使いよ。今は神の領域に足を踏み入れたみたいだけね。」
「クハハ!やはりあやつか!妾とあそこまでやったのだ。神になってもらわなければこちらが困る。して、あやつの名は何というのだ?」
「魔神カルマっていうらしいわよ。」
「なるほどのぉ。近頃聞くようになった名だと思っておったが、あやつがのぉ。」
朱姫もカルマのことは噂程度には聞いていたのだろう。うんうん頷いている。その表情は満足気であった。
「―で、その魔神さまが西に向かっているって情報があったから、今向かってるところよ。」
「なるほどのぉ、理解した。なら悪いがこの山を迂回して行ってはくれぬか?」
この山は丁度ルーミアの進路方向である西の途中にあった。この山を迂回するとなると、それなりに時間がかかる。
「理由を聞いてもいいかしら?」
「ほれ、ここにいる天狗がおるじゃろ?」
朱姫の問いに何人かの天狗が驚いた表情を浮かべる。
「この山はこやつらの領域での。加え、縄張り意識が強い。妾ら、鬼も苦労したんじゃ。いざこざがあると面倒なんでのぉ。これ以上は遠回りしてほしいのだ。」
「あら?それなら私が全員食べちゃえばいいだけじゃない?」
「それを妾が放っておくと思うか?」
両者の顔には無表情の仮面が張り付いている。辺りに緊迫した空気が漂い、いつ戦闘になっても可笑しくない。
「少しよろしくて?」
しかし、その空気も一人の声によって霧散させられてしまった。
鬼子母神の再登場でした。
名前は朱姫です。
髪色に合わせました。
え?なんで音読みでなく、訓読みなのかって?
だって、しゅきって連呼すると・・・ねぇ?(;・∀・)
神である鬼子母神の拳を妖怪が止めちゃいましたね。
穢れの集合体である彼女の防御力は53万だ。
嘘ですはいw
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。