東方禁初幻譚   作:鈴華

27 / 92
今回でこの章が終わります。
ふぅ、やっとだじぇ(;・∀・)
あとお知らせがあります。

それでは、本編どうぞ。


Ep,11 禁忌と宵闇

「……キマイラ。」

 

念のため、全身をキマイラ化させたカルマ。しかし、両腕がないとなると、何かと不自由で仕方ない。

 

「足蹴にすることないじゃない?」

「腕を喰われなければ、蹴ることもなかったんだがな。」

 

ルーミアの周りの闇が増加した。何もかも飲み込んでいくその闇は、触れている木々さえも咀嚼していく。

 

「こんなものじゃなくて、貴方を食べたいわ。」

「喰えるものならな。」

 

瞬間、カルマの姿が消えた。辺りの木々は闇の中へと消えている。移動できる場所限られる。つまり、カルマの移動先として考えられる場所は一か所のみ。

 

「上ね。」

 

ルーミアが闇を空へ向かせようとする。案の定、彼はルーミアの上空にいた。しかし、それもすぐに姿を消した。それもそのはずだ。彼は空中で拒絶を発動し空を蹴ったのだ。脚力にはキマイラも追加されている。空にいたカルマは今、ルーミアの眼前に着陸していた。闇を空へと向けているため、反応ができない。

 

「―っ!」

「チッ!」

 

しかし、彼女の変わりに反応したのは闇自身だった。彼女は言っていた。この闇は穢れの集まり。つまり、この闇にも意志のようなものがあるのだろう。闇がカルマの顔を貫こうと針となり攻撃した。反射的に後方へと飛んだが、顔を覆う仮面に傷がついてしまった。あと少し反応が遅れていれば、顔の右半分が消えていたかもしれない。

 

「あら、惜しかったわね。もう少しで殺せたかもしれないのに。」

「…ド低能が。」

「そうね。でもそんな低能も集まれば有能に近づくってものよ?」

 

確かに、今彼女は一人だが、彼女は数多くの穢れを従えているようなものだ。実質、一対多と差して変わらない。

 

「…あまり使いたくないんだがな。」

「まだ隠し玉があるのね?いいわよ。それすらも闇の中に飲み込んであげる。」

「そうか。なら遠慮はいらんか。第88禁忌魔法“オートマター”。」

 

すると、脱力したかのように首を垂れた。何かの罠かと判断したルーミアは様子を見ようとする。しかし、変化はすぐに起きた。彼の口から生気を感じない声が漏れだした。

 

「目的、敵の殺傷。スタート。」

 

顔を上げた時、彼に大きな違いはなかった。だが、その瞳には感情と言えるものが見て取ることができない。そして、カルマは地を蹴り、ルーミアの懐に入り込む。

 

「何度やっても同じよっ!」

「……。」

 

返事の代わりに鋭い蹴りが放たれた。彼女はそれを闇の盾で防いだ。

 

「拒絶。」

 

拒絶を発動することで、盾ごと蹴り飛ばされてしまった。飛ばされても闇で威力は吸収しようとしたが、カルマが追撃を加えるべく、目の前まで迫ってきていた。闇がその追撃を防ごうとした。その闇にとうとう右腕が肩まで消えてしまった。しかし止まらない。

 

「なっ!」

 

勢いそのままに横蹴りがルーミアの脇腹に入る。

 

「かはっ!このっ!」

 

闇の槍がいくつも現れ、それがカルマに向かって飛んでいく。しかし、カルマはそれを防ごうとしない。キマイラの鎧にいくつもの傷がつくが、彼は止まることなく突っ込んでくるのみ。

 

「そーなのかっ!貴方、今目的しか見えてないのね!」

 

今のカルマにはルーミアを倒すことしか見えていないのだ。それが第88禁忌魔法“オートマター”。この魔法を数億年前に穢れとの戦いで使ったため、傷だらけになったことがある。

 

「なら、遠慮なく飲み込まれなさい!」

 

目的しか見えていない以上、それ以外に関与することはない。つまり、手段を選ばないということだ。それは目の前に迫った大きな闇すらも視界に入らないほどに、だ。そして、カルマは闇の中へと飲まれてしまった。

 

「うふふ。自分から来るなんて、良い鴨だわ。」

 

闇の中から骨を砕く音、肉を噛み千切る音が聞こえてくる。

 

「ふぅ、ごちそうさm―」

 

しかし、すぐにお腹を押さえて苦しみだす。

 

「うっうぅ。ぐえっ!」

 

闇から吐き出されて出てきたのはカルマだった。そして彼の姿にはしっかりと両腕もついている。

 

「まぁ、思い通りだが、いいものじゃねぇな。」

 

カルマの考えは至って簡単。死ぬことで黄泉返りを発動させ、再生させることだ。オートマターを発動したのは、自分が喰われる苦痛を味わないためだ。

 

「ぐぅ。はぁはぁ。」

「よぉ、穢れ。気分はどうだ?」

「…えぇ、最悪よ。」

「そうか。」

 

しかし、カルマは止めを刺そうとしない。

 

「殺さないのかしら?」

「穢れから妖怪になって今でも生きてんだ。もっと生きたいと思うものだろ。」

「私が生き続ければ、多くの命を喰らうのに?」

「それは俺が制御してやる。」

「どういうつもりかしら?」

 

彼の真意が見えない。確かに彼女はまだ生きたいと思っているのは事実だ。

 

「ただの気まぐれだ。」

「…そういうことにしておくわ。それで?どう制御するのかしら?」

「拒絶で人に対する捕食活動を拒絶してやる。」

「そう。ならお願いするわ。」

 

その後、カルマはルーミアに拒絶をかけた。それ以降、彼女は人を食べることはなくなった。こうして、彼女はカルマとともに旅をすることになった。しかし、二人は知らない。拒絶をかけたことであんな悲劇が起きるなどと。

 

 




終わり方雑っ!
本当ごめんね、こんな終わり方で(´・ω・`)

一度死ねば全部再生します。
逆に言えば、死ななければ再生しません。
これが蓬莱人との違いです。
そして、カルマの弱点だったり・・・するのかな?


今回登場した禁忌魔法紹介~。
第88禁忌魔法“オートマター” ― 一切の思考、感情を削除し、特定の目的を遂行する。成功するか失敗することで解除される。
今回はルーミアに食べられたため、失敗ということになる。
この場合、失敗は死ぬことを意味するため、黄泉返りを発動することでリセットされる。

はい、お知らせです。
今日から3月末まで投稿が止まります。
楽しみにしている方(いるのかな?)ごめんなさい。
免許とりに行くんで、勉強に集中しようと思ってますので。
申し訳ないです。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。