今回イラストを使いまわしてます。
ぶっちゃけ描く暇がなかったもので(´・ω・`)
もともとニコ静画に投稿してたものです。
探せばあるかと。
それでは、本編どうぞ。
とある山道でカルマは一人歩を進めていた。スカーレット家を出て、それなりに時間は経過している。辺りは夜のため、暗闇が広がっている。しかし、その闇は暗視が効かないほど、濃いものだった。
「いい加減出てこい。」
歩みを止め、怒気の籠った声音でカルマは闇に問いかける。すると、闇の中からクスクスと笑い声が聞こえてきた。
「今か今かと、いつ言い出してくるのか、楽しみにしていたわ。」
闇の中から現れたのは、赤いネクタイをつけた黒い服を着ている金髪を風に靡かせている女性だった。しかし、彼女から漏れ出ている妖気が、彼女が人間でないことを裏付けている。
「ヴラドと戦っている時からお前の存在は分かっていたんだが。」
「でしょうね。魔神様があれくらいわからなきゃ。」
カルマがヴラドと戦っている時、彼女の妖気は霧状になり、周囲に漂っていたのだ。否応なく彼女の存在には気づかされる。
「―で?貴様、何者だ?」
見ただけでわかる。彼女はヴラドよりも強い。そして下手をすれば、カルマに及ぶほどの力が彼女には備わっている。
「一応、はじめまして、ね。私の名前はルーミア。闇を統べる人食い妖怪ってとこね。」
「その妖怪が俺に何の用だ?」
「貴方を喰らいにきた。」
瞬間、彼を取り込もうと闇が襲い掛かっていた。すぐに飛びのき、樹の上に着地する。
「随分なご挨拶だな。」
「久々に会う事ができて、『私たち』も気が立ってるのよ。」
「…私、たち?」
カルマの疑問に彼女は細く笑みを浮かべるだけ。すると、彼を追うように闇が下方から襲い掛かる。
「拒絶結界。」
透明な壁に阻まれ、闇は避けていく。しかし、その勢いがすさまじく、結界が悲鳴を上げていた。
「開門。」
同じ場所に居続けるのは危険だと判断したカルマは開門により、転移し、ルーミアの近くへと移動した。
「貴様…、一体何者なんだ。俺はお前を知らない。だが、お前は久々に会ったと言った。それだけでなく、『私たち』という複数を示す単語まで出した。」
「わからないかしら?」
再度襲い来る闇を掻い潜りながら、どうにか思考を巡らせる。しかし、何も思いつかない。彼がわかっていないと分かったのだろう。彼女は闇を引っ込め、話し始めた。
「分かってないようだし、ヒントをあげるわ。私は貴方に殺され、そして絶滅した者たちの集合体。」
「俺が殺し…まさかっ!」
そこで気づいたらしい。彼の表情には驚きが見て取れる。
「貴様、穢れかっ!」
「ふふ。正解よ。」
ルーミアは彼の答えに満足したように、にやりと笑みを浮かべ、両手を広げた。
「そう。私は穢れの集まり。人を喰らうのはその名残り。そしてこの闇はすべて穢れの力。さぁ、あの時の続きをしましょう?」
瞬時に闇が波のように覆いかぶさろうとカルマに襲い掛かる。拒絶を発動し、横薙ぎに手を振るった。そして、闇が裂けると同時にカルマは駆けだした。
「来い、魔剣バルムンク!」
ルーミアに振り下ろした手には、魔剣が握られていた。ルーミアはそれを闇で作った盾で防ぐ。
「その魔剣、私が手に入れて、ヴラドに渡したものなのよね。」
「知るか。ありがたく使わせてもらう。」
「そーなのかー。」
しかし、剣一本に対し、ルーミアには無尽蔵と言えるほどの闇がある。カルマの左右後方から襲い掛かる。それに気づいたカルマは力任せに回転。その回転を軌跡として円状の光線が放たれる。
「随分と使い慣れているようね。」
「だが、流石に使いにくい。」
魔剣を消すと、それと入れ替わるように、ソウルイーターが現れる。
「ふふ。それじゃあ遠慮なく、喰らわせてもらうわ!」
闇の顎が彼を喰らおうと襲い掛かる。しかし、それはカルマに到達する前に斬り刻まれてしまった。それは彼の得意とする遠心力によって振るった大鎌で起こしたものだ。
「懐かしいわね。あの頃は私たちをよく鎌で斬ってくれたものね。」
「そうだな。」
一気に詰め寄り、鎌を振るう。しかし、またも闇の盾に防がれてしまった。弾かれた反動を利用し、回転。そのまま鎌を向ける。それも防がれるが、それを繰り返し続ける。
「いい加減私に食べられなさいよ。」
「お前こそ、いい加減斬られろ。」
「もう斬られるのは散々なの、よっ!」
拮抗していた2人だが、先に動いたのはルーミアの方だった。盾にしていた闇が膨張し、爆発する。膨張しだした時点で距離を取ろうとしたカルマだったが、闇が足を捕え動くことが出来ず、そのまま爆発へと巻き込まれる。
「くっそ…。ド低能が…。」
煙が晴れた時、カルマは距離を取っていたが、鎌を持っていた両手の前腕が完全に無くなっていた。爆発に巻き込まれた上に、闇に喰われたためだ。
「あら、まだ残ってたのね。残念。」
「言ってくれる…。」
これで彼は手を使う戦闘が出来なくなった。これは致命的とも言える。
「もう逃げることしかできないわね。さぁ逃げ惑いなさい。その上でじっくり食べてあげる。」
「冗談。ただで喰われるほど、俺は甘くねぇよ。キメラパーツ“両脚”」
カルマは両足をキマイラ化させた。これで足を使った戦闘もできる。両腕から流れる血はニヴルヘイムで応急処置をしている。
「しつこい人は嫌われるわよ?」
「その言葉、そのまま返す。」
「妖怪の時点で嫌われてるわ。」
「そうか。」
カルマの返答はルーミアのそばで聞こえてきた。キマイラ化した脚で踏み出したため、動体視力が追いつかなかったのだ。そしてそのまま蹴り飛ばす。あまりの速さにルーミアの反応が遅れ、そのまま蹴り飛ばされてしまった。
「がっ!」
飛ばされるが、闇がクッションとなり、ダメージを半減する。
「さぁ、数億年ぶりの殺し合いの再開だ。」
なんか今回戦闘長引きそう。
―って言っても、次回で終わるけどね。
ルーミア=穢れ説はまぁ王道なのかな?
あまり見ないけど、こういう設定にしました。
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。