うーん、この後どうしようかな・・・。
それでは、本編どうぞ。
「ななな、なんで魔神ささまがこんんなとここころにぃっ!?」
呼び出された女の子はカルマを見て慌てふためいていた。しかし、カルマは彼女に見覚えがあるわけがない。それだけでなく、『魔神』という呼び名にも聞き覚えがない。2人の様子にパチュリーは首を傾げていた。
「お兄さんって有名人なの?」
「いや、身に覚えがないんだが…。」
「なにを言ってるんですかっ!魔神さまは神に勝ったお方ですよっ!」
「神?……あぁ。」
カルマには思い当たる節があった。それはここに来る前にいた場所で起こった戦いのことだ。そこで彼は幾つもの神を倒している。
「なるほど。察したわ。」
おそらくツクヨミかアマテラスが付けた呼び名だろう。カルマが魔人であることに因んで、魔神と捩ったのだろう。
「しかも、魔界をお作りになったお方でもあるんです!」
思い出すのは、だだを捏ねたあの時の少女。彼女から魔界のことが出た以上、上手くやっているのだろう。
「ほんとなの?」
「あぁ。そいつの言ってること事実だ。」
「すごいわ!」
パチュリーからの信頼が更に増した瞬間である。
「それはそうと、使い魔云々はどうすんだ。」
「そうだったわね。早速始めましょう。」
「あのぉ…。」
再度本を用意するパチュリーだが、対して召喚された少女は小さく手を挙げた。
「その女の子は魔神さまの親戚ですか?」
「いや、助けたってだけだ。別に手加減しなくていい。」
それに少女はパチュリーよりも弱いことはすぐに分かったが、今のパチュリーには技量を見分けられるほどの力はない。カルマの言葉に安堵すると、少女は気を引き締めて構えた。
「それでは、小悪魔。行きます!」
結論から言えば、パチュリーが勝った。勝利するのにそれほど時間は掛からなかったが、喘息というデメリットが足枷となり、息を切らせていた。
「か、勝てた…。」
「はにゃぁ~…。」
その相手となった小悪魔と名乗った少女は目を廻して大の字で倒れていた。
「むきゅう…。」
「よく頑張ったな。」
「う、うん。ありがとう。」
喘息で動けなくなった彼女を背負うとしたが、約束した肩車になってしまった。まだ目を廻している小悪魔を横抱きして室内に移動し、パチュリーの部屋へ移った。小悪魔が起き次第、彼女から色々話すらしい。その間にカルマはマキナの部屋へと向かった。
「マキナ。今いいか?」
「えぇ、大丈夫よ。」
扉を開けるとベッドに横になっているマキナの姿があった。お腹は見てわかるほどに大きくなってきている。もう少しなのだろう。
「レミィのことで話がある。」
彼はレミリアの夢の話をした。母親である彼女ならなにか思い当たる節があるのではないかと判断したためだ。
「同じ夢を何度も…。それは多分レミィの能力じゃないかしら?」
「あいつの能力?」
「えぇ。私の能力の欠片がレミィに遺伝しちゃったのかもね。」
マキナの能力。それをカルマは一度も聞いたことがない。それは深の能力もそうだ。
「いい機会だ。お前と深の能力ってのはなんだ?」
「私の能力は『運命を破壊する程度の能力』。そして深が『時間を操る程度の能力』。」
「時間…。なるほど。」
これで深の瞬間移動の原理が理解できた。つまり、彼は時間を止めて移動しているということになる。これで今までの戦闘への疑問がすべて解けた。
「私の能力は文字通り、相手の運命を破壊することができる。その過程でこれから起こる運命を見ることができるわ。レミィには運命関係の能力が派生したみたいね。」
「そうか…。」
そうなると、どんな理由にしろ、カルマとレミリアはいつか戦うことになる未来があるということになるのだろう。
「レミィと戦うことは避けたいわ。それで私の能力を使っての提案なんだけど。」
「なんだ?」
「カルマ。貴方、レミィの許嫁にならない?」
カルマは一度何を言われたのか理解できなかった。数秒硬直した後に、彼女が何を言ったのか理解することができた。
「馬鹿か、お前…。」
「失礼ね。私は歓迎するわよ?レミィも貴方に随分と懐いてるようだし。」
「否定はしねぇが、歳の差が広すぎだろ。」
「吸血鬼は人間と成長が遅いし、長寿なのよ?私だって1000歳超えてるし。」
「残念だったな。俺はお前より年上だ。」
「え?」
今度はマキナが硬直する番だった。彼女は目を点にしながら唖然としている。
「ただの人間じゃないとは思ってたけど…。ち、ちなみに何歳?」
「さぁ、数えてねぇな。少なくとも、億は行ってるか。」
「億って…。もう神様の領域じゃないかしら?」
「さぁな。」
カルマにとっては人間を捨てた以上、身体になにかしら影響が出るとは思っていた。しかし、これほど長生きするとは思ってもいなかったのだ。
「ま、まぁ、それはさておき。」
マキナは咳払いをして話を戻した。
「レミィの許嫁にはならないのね?」
「あぁ。悪いが無いな。」
「そう…。」
「それに俺は旅人だ。いずれはここも出るつもりだったからな。」
「…いつ、発つ予定なの?」
やはり別れる事に寂しいという感情が湧いて出たのだろう。彼女の顔に影が差した。
「お前の子供が生まれた後に出ようと考えてる。」
「…そう。」
彼女の第二子はもう少しで生まれようとしている。マキナはそれまでまともに動く事もできない。それにレミリアやパチュリーもまだ幼い。ここには深や美鈴がいるとは言え、深はまだ回復中、美鈴も技量不足だ。ならば、自分がいる間くらいは守ってやろうと考えたのだ。
―そして、その時が訪れた。
小悪魔が仲間になった!
やったね、レミリア!家族が増えるよ!
出産でさらに増えるよ!
もう、何も怖くない。
はい。いきなりですが、マキナの能力判明です。
彼女の能力『運命を破壊する程度の能力』は、対象にこれから起こる運命を破壊し、違う運命を植え付けることができます。
運命を破壊するために、どれを破壊するかという選択の過程で、運命を見ることが出来るんです。
そして、深の能力は言わずもがなです。
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。