不思議!
試験がやっと終わりました。
finishじゃないよ?endの方ねw
それでは、本編どうぞ。
ヴラドは死んだ。その事実にカルマはスカーレット当主直々に感謝を述べられた。魔剣バルムンクはそのお礼ということでマキナからカルマに贈られた。ヴラドを倒したことにより能力を解除された深はソウルイーターで斬られなかったが、ずっと十字架に貼り付けにされていたため、かなり衰弱していた。今は自室で安静にしている。その間、眷属とされていたスカーレットの従者たちは休むことなく働いていた。これも深に対するお礼だそうだ。
「……。」
邪魔になるだろうと判断したカルマは、館の中にある書庫で静かに本を読んでいた。禁忌魔法の魔導書しか読んだことがない彼にとって他の魔法が記された本を読むということは新鮮なことだった。
「あ、お兄様みっけ。」
すると、車庫の扉を開けて入ってきたのはマキナの娘であるレミリアだった。
「どうした?」
最初のうちはその呼び名に慣れなかったが、いつの間にか慣れてしまった。読んでいた本を閉じ、レミリアに視線を向ける。
「あのね。パチェが探してたから、呼びに来たの。」
「パチュリーが?」
「うん。」
「わかった。」
本を棚に戻すと、2人は車庫を後にした。
「うー…。」
「あ?」
廊下を進んでいこうとすると、カルマはレミリアが唸っていることに気付いた。
「なんだ?」
「肩車して!」
「…………はぁ。」
一つ溜息をつくと、レミリアの前に腰を屈めた。彼女は笑顔を浮かべ、カルマの肩に乗る。今、深は動くことができず、マキナも出産が近いのかあまり動けなくなってきている。そのため、カルマしかかまってくれそうな人物がいないのだ。
「わぁい♪」
レミリアは喜んでカルマの肩に乗った。しばらく楽しんでいたようだが、ふと彼女にしては珍しく真剣な声音で口を開いた。
「あのね、お兄様。」
「なんだ?」
「最近、よく夢を見るの。」
「夢?」
「うん。お兄様と私が戦ってる夢。」
彼女の話だと、その夢をたまに見るようになったようだ。しかも1回ではないらしい。紅い館を背に2人が戦っている夢だそうだ。
「……。」
「お兄様?」
「いや、なんでもない。大丈夫だろ、俺はお前に危害を加えるつもりはないからな。」
「うん、ありがと。」
レミリアは気にしないことにしたようだ。しかし、カルマは違う。少なくとも今の彼女には戦えるほどの技量も力もない。すると、はるか未来での可能性がある。しかし、子どもの見る夢を真に受けてもしょうがない。あとでマキナに聞いてみるべきだろうか。
「ここか。」
「うん。」
パチュリーの部屋の前についたので、カルマは彼女を降ろそうとした。しかし、しがみついて離さない。
「…おい、レミィ。」
「うー!」
「…わかったよ。」
「やった!」
降ろす事を諦め、そのまま部屋に入ると、机に魔導書を広げているパチュリーの姿があった。
「パチェ、連れてきたわよ。」
「うん。ありがとう。」
まだ幼い子どもにしては不釣り合いな厚い魔導書から顔を上げたパチュリーだったが、目の前の光景に一度固まった。
「…な。」
「「な?」」
「なにしてるの、レミィ!」
確かに真剣に魔導書を読んでいる彼女の前に、肩車をして入ってくれば、さすがに失礼だろう。
「え?何って肩ぐるm」
「私もしてっ!」
「そっちか…。」
まさかの返答にあきれるカルマは後ですることを約束させられてしまった。それはさておき、今は彼女が彼を部屋に呼んだ理由についてだ。
「―で、何の用だ?」
「そうそう、お兄さんに相談したいことがあって…。」
余談だが、彼をレミリアは『お兄様』、パチュリーは『お兄さん』と呼んでいる。
「相談?」
「そうなの。」
彼女が魔導書を広げていたことから、魔法を使う彼に相談しようと思ったのだろう。しかし、カルマは禁忌魔法しか扱うことができない身体だ。
「使い魔を召喚しようと思ってるの。」
「使い魔、ねぇ…。」
確かに、現状からして使い魔のような従者が必要と言えるだろう。しかし、使い魔は手懐けることが大変である。自分が相手よりも実力が上でなければならないためだ。
「確かにお前には魔力があるが、まだ幼い。使い魔を手懐かせることは難しいぞ。」
「そのためにお兄さんでしょ?」
「私も手伝うわ。」
「……。」
彼はどうやら使い魔を手懐かせるために呼ばれたらしい。
「それでいいのか?俺に仕えてもパチェには懐かないかもしれんぞ。」
「それじゃあ、パチェ1人でどうにかするしかないの?」
「そうだ。」
「わかった。私1人でやってみる。」
どうやら決心できたようだ。彼女の瞳には固い意志が見て取れる。彼女は中庭に移動すると魔法陣を描き始めた。予めマキナからは許可をもらっている。日の光に当たらないようにレミリアは窓からその様子を見ていた。カルマは念のため、パチュリーの後ろに控えていた。
「―よし。」
「描けたか?」
「うん。…それじゃあ、始めるね。」
深い深呼吸をすると、彼女は魔法陣に触れ、演唱を始めた。
「異の門を開きて、我が声を聞き入れよ。して、異なる者を呼び、我が意に従え。」
すると、魔法陣が輝きだした。そして、光は魔法陣の中心で形状を成していく。そして光が人の形状になった時、その光は砕け散った。
「私を呼んだのは、貴方ですか?」
現れたのは小さな女の子。頭と背中に小さな翼を生やし、赤い髪を靡かせている。まだ幼いパチュリーだったため、相手もまだ子供のようだが、彼女がどれほどの強さを持っているのかわからない。
「私よ。」
「…そうですか。それでは、私が仕えるほどの力があるのか、確かめさs」
そこで彼女は硬直した。彼女の様子にパチュリーは戦闘用に準備していた本を片手に首を傾げた。彼女の視線を追うとカルマに向けられていた。
「ま、ままま、ままっまままままままっままままままままっまままままま。」
「あ?」
「魔神様あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!?」
彼女の叫びが館を越えたことは言うまでもない。
れみ☆りあ☆うー。
そんなわけですはいw
レミリアの「うー」は出したいなぁって思ってたんですよね。
結論から言えば、書いてて、何この生き物かわいいってなりましたw
小悪魔の登場回でした、はい。
最初のうちは彼女を出そうとは思わなかったんですがね。
ブラド戦の後に、出産がすぐ来ると違和感があるので、なにか挟もうと思ったんです。
それが今回でした。
次回にも続くよっ!
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。