東方禁初幻譚   作:鈴華

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表現力の欠落が激しいです。(´・ω・`)
イラストも女性が多いのでギャルゲ感がしますし。
なんてこったい\(^o^)/

それでは、本編どうぞ。


Ep,6 Vlad Tepes

カルマは闇の中に一人の男の姿を捉えた。勢いそのままで男の首を掴み、木に押し付けた。男は苦悶の表情を浮かべる。

 

「カハッ!?」

「貴様がヴラド・ツェペツュか?」

「そうだっ!」

「グッ!?」

 

男―ヴラドは返事とともに、カルマの腹を蹴り飛ばし、距離をとった。

 

「私としては君が誰なのかわからないのだがね。」

「知らずで結構。今夜限りの付き合いだ。適当に呼べ。」

「ふむ。そうか…。」

 

ヴラドはカルマをじっと観察し続ける。

 

「それで、君は私に何の用だい?」

「貴様の首だ。」

「それは困った。私としてはここで倒されるわけには行かないのだがね。」

 

悠長な会話をしているようだが、二人はそれぞれ相手の出方を伺っていた。ヴラドは腰に下げている剣に手を沿えている。カルマも大鎌を肩に掛け、いつでも振り下ろせる形をとっていた。

 

「―ッ!」

 

先に動いたのはカルマだった。飛び出し、鎌を振り下ろす。ヴラドはそれを躱し、抜いた剣を振り上げた。それを鎌から離れることで回避する。追撃が来る前に跳躍し距離を取った。

 

「得物が君の手か離れてしまったが、いいのかね?」

「問題ない。」

 

すると、鎌が一瞬にして姿を消し、カルマの手元に戻ってきた。

 

「ただの鎌ではない?」

「そういう貴様の剣もただの物ではないだろ。」

「これか?これの銘は“魔剣バルムンク”。苦労して手に入れた私の愛剣だ。」

 

おそらく彼の持つ魔剣が深の言っていた武具なのだろう。

 

「君の鎌の銘はなんというんだい?」

「…これは魔術で生んだものだ。銘はない。」

「そうか。」

 

ヴラドがバルムンクを横に振った。その軌跡が光線となり、カルマに襲い掛かる。しかし、それを鎌で弾こうとした。そこで異変が起きた。慌ててすぐ飛び退くカルマ。彼の手には柄を二つに分断された大鎌があった。

 

「この魔剣に斬らないものは存在しない。」

「斬れないものはない、ねぇ。」

 

おそらく剣そのものには特殊な効果はないだろう。重要なのは、刀身から放たれる光線だ。あの光が全てを斬り裂くことを可能としているのだろう。

 

「おや?君の得物はこれで使い物にならなくなってしまったな。」

「問題ない。」

 

元々は魔術で生み出したもの。出すも消すも自由だ。

 

「キメラパーツ“両脚”。」

 

鎌を消すとキマイラを発動し、両脚をキメラ化させる。

 

「ふん。」

 

キメラ化した脚は堕天した時よりも力は上を行く。一度の踏み込みでヴラドの距離を0にした。

 

「―ッ!?」

 

鋭い蹴りを紙一重の差で回避。すぐにバルムンクで斬りかかる。それを蹴り飛ばし、更に追撃を加えるが、またも躱されてしまった。距離を取ったヴラドは横一閃に薙ぎ払う。その軌跡が光線となり襲い掛かるが、その攻撃を読んでいたカルマは前方に跳躍し回避する。そのまま踵落としを放つが、バルムンクから更に放たれた光線が再び襲い掛かる。それを空中で無理に身体を捻り回避。着地すると再度距離を取った。

 

「ふぅ、危なかった。」

「…ド低脳が。」

 

まだ奴の眷属がいるかもしれない。その可能性を考えると早くヴラドを討つに限る。だが、どちらも一歩も譲らない攻防が時間を無駄にしていくのみだ。

 

「瞬殺してやる。」

「君にそれが可能なのかい?見たところ、君は妙な魔力を持つ以外はただの人間のようだが?」

「言ってろ。」

 

―第64禁忌魔法“ニブルヘイム”―

 

カルマが禁忌魔法を発動した。すると、彼の身体から冷気が出始めた。それは彼の立っている地面に霜ができるほどである。

 

「うん?なんだか急に冷えてきたな。」

「そうだな。」

 

カルマが一歩踏み出すごとに冷気が広がっている。その事実に気付いたヴラドは冷気を払おうとバルムンクから光線を放つ。しかし、無尽蔵に溢れ出す冷気は留まることなく広がっていく。

 

「一体どんな魔法を使っている?」

「……」

 

返答の代わりにカルマは踏み込み、殴りかかる。ヴラドはそれをバルムンクで受け止めた。

 

「なっ!」

 

剣に触れた瞬間、カルマはヴラドの手首を掴んだ。そして、放り投げる。翼を広げ、空中で体勢を整えると、そこから斬撃の光線を飛ばした。しかし、カルマはそれを滑るように躱していく。そして、それはすぐに起きた。

 

「な、に!?」

 

ヴラドの剣を握る感覚が無くなったのだ。そしてそれは手首から肘へ、肘から肩へと広がっていく。しかも、それだけでなく、感覚の無くなった箇所から動かなくなっていったのだ。

 

「何をした!」

 

しかし、ヴラドの質問にカルマは答えない。まだ感覚の残っている左手で感覚の無くなった右肩を切り落とし、バルムンクを拾い上げる。それで感覚麻痺の進行は止まったが、右腕を無くしたというハンデがついてしまった。攻撃を仕掛けるべくヴラドに接近する。彼は翼を広げ、空中に逃げる。しかし、攻撃範囲外にも関わらず、カルマは薄い笑みを浮かべていた。

 

「何がおかしい?」

「名高い吸血鬼が人間風情に逃げる事しかできねぇと思うとな。」

「貴様…。」

 

右腕を奪われただけでなく、挑発までされてはさすがのヴラドも乗ってしまう。とうとう吸血鬼としての武器である牙を剥いた。翼の力と重力による加速。しかし、カルマは動こうとしない。

 

「―ッ!」

 

そして、牙を剥きカルマの首に噛みつこうとした。無謀に立っている今なら絶好のチャンスだろう。しかし、彼の牙は刺さらない。それどころか、犬歯の先から感覚が無くなっていくではないか。

 

「一体、どんな手品をッ!」

「知ったところでどうすることもできねぇよ、お前は。今の俺に触れただけでなく、噛みつこうとしたんだ。すぐに口の感覚もなくなり、動かなくなる。」

「―ッ!」

 

カルマの言う通り、ヴラドの口は大口を開けた状態で動かなくなっていた。

 

「無理に動かすことは可能だが、砕け散るからな。まぁ、言ったところで聞いてないか。」

 

口が動かなくなった以上、そこから感覚が無くなり、動かなくなっていく。そして、口は頭の一部である以上、どんどん効果は広がり、口から鼻へ、鼻から目へ、そして脳へと伝わる。結果、ヴラドの脳は機能停止してしまった。

 

「活動停止。終わったな。」

 

身体全体まで効果が及んだヴラドは像のように動かなくなった。そして、それに軽く触れた瞬間、ヴラドの身体は硝子細工のように粉々に砕け散ってしまった。

 

「これで終わりか。」

 

丁度、日が上りだし、山の向こうが明るくなってきた時、この戦いは終わった。静かに地面に刺さる魔剣に反射する日の光がそれを物語っていた。

 

【挿絵表示】

 




バルムンクのデザインが厨二臭い・・・(´・ω・`)
そんなわけでヴラドを倒すことができました。
カルマが無双すぎて戦闘がつまらなくなってきてる感があります。
まぁ、今回わかりにくいフラグを入れたけどw

禁忌魔法説明~。
第64禁忌魔法“ニヴルヘイム” ― 万物全てにおいて触れた場所から分子レベルで振動数を0とする魔法。振動数0の物質は触れた(少しの振動)だけで壊せるほど脆くなる。

あるラノベをもとにしています。
分かる人にはわかります。
ヒント、ある意味☆ネギトロ。

それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。


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