結論から言うと、西からになります。
まだ投稿ペースは遅いままだと思います。
なぜか?挿絵の描き溜めだよおぉぉぉぉ><
それでは、本編どうぞ。
Ep,1 プリズムリバー
とても暗い森の中。その中を延々と進む足音が聞こえてくる。闇に紛れるような黒の服を着ているカルマは無事、西の大陸へとたどり着いた。そこから気まぐれに旅を続け、今に至る。暫くして、開けた場所に出た。どうやら山道に出たようだ。
「宿は…、近くに無さそうだな…。」
今まで宿を利用することはあったが、ほとんど野宿だった。また適当にどこかで寝るか、と思い始めたとき、道の向こうに灯りが見えた。目を凝らすとどうやら館のようだ。灯りがあることから誰か住んでいるのだろう。近づくに連れて、その館が大きなものだと分かってきた。しかし、灯りは一室のみに灯っている。そして、異様に静かだ。これ程の館なら賑やかのはずなのだが…。
「一人くらいはいるようだな。」
大きな扉をノックし、しばらく待つ。これだけ大きければ使用人はいそうなものだが、その生活音すら聞こえてこない。
「どちらさまでしょうか?」
扉の向こうから聞こえてきたのは物静かそうな少女の声だ。
「旅の者だが、泊めてもらえないか?ここへは偶然たどり着いたのだが…。」
「……わかりました。今、開けます。」
扉を重そうに開けて出てきたのは、膝まである緑色の髪に青紫の貴族服を着込んだ少女だ。明らかに一人暮らしをするには、早すぎる年齢に見える。
「どうぞ。」
「邪魔する。」
中を通されると、改めて理解される。この少女はここで一人で暮らしている。その証拠に少しほこりっぽい感じがする。
「家族はいないのか?」
「…いません。両親は事故で、姉さんたちは親戚に引き取られていきました。」
「それは…悪いことを聞いた。」
「いえ、もう慣れました。」
しかし、彼女の表情は暗いままだ。相当参っているのだろう。
「どうぞ、この部屋を使ってください。」
案内された部屋は少し大人びた部屋だった。ダブルベッドであることから元々両親の部屋だったのだろう。長い間そのままだったのか、少し埃っぽい気がする。
「すみません。こんな汚い部屋で。」
「いや、気にするな。普段から俺みたいな奴はそうそう来ないだろうからな。」
「ありがとうございます。」
もう夜も遅いということで、二人は床につくことにした。そして迎える深夜、正確には丑三つ時。何かが割れる音でカルマは目を覚ました。その音は立て続けに起こっていた。さっきの娘が癇癪でも起こしているのだろうか。だが、その考えは打ち消されることとなった。
「あの…起きてますか…?」
少女が扉を開けて入ってきたのだ。カルマのところに来たというのに、音は鳴りやむことはない。彼女以外がしているとしか思えない。
「あぁ、起きている。どうした?」
「実は…。」
彼女の話によると、この騒音は家に彼女だけとなった日から起こっていることらしい。そして、その原因を突き止めようとしても、犯人は見つからず、幽霊の仕業なのではないかと考えているとのことだった。
「それならこの家から出れば―」
「だめっ!」
少女は首を横に振った。それには強い意志が見て取れる。
「この家でまたみんなで暮らすために、私はここで待ち続けるの。」
「…わかった。」
カルマは立ち上がると廊下へと出る。音はまだ鳴り止んでいない。
「あ、あの…?」
「そこまでの意志があるなら犯人捜しに付き合ってやる。」
「あ、ありがとうございます!…あ、名前まだでしたね。私はレイラ・プリズムリバーって言います。」
「カルマだ。」
自己紹介も済ませ、二人は音のする部屋と向かう。場所は食堂からだ。
「(ここか…。)」
「(そうみたい…。)」
少し開いた扉から除くとたくさんの食器が勝手に浮き、床に落とされ割れるという光景が広がっていた。
「(や、やっぱり幽霊っ!)」
「(…ここで待ってろ。)」
―第47禁忌魔法“堕天”―
カルマの左目が赤く輝きだす。堕天を使うことで、彼は身体能力以外にも動体視力、その他諸々が強化されている。そして、左目限定で人には見えないものも見ることができるようになる。レイラを部屋の外に待たせると、カルマは部屋の中に入った。すると、音は鳴り止んでしまった。だが、左目にはしっかりと犯人が映っていた。
「逃がさん。」
カルマが手を伸ばし、虚空を掴んだ。すると、そこからじたばた暴れる一人の少女が現れた。
「は、はなせー!」
「他2人も出てこい。」
虚空を睨むとそこから二人の少女が現れた。
「妹を離してよ!」
「そーだそーだ!」
再び騒がしくなり、顔をしかめる。すると、部屋にレイラが入ってきた。
「カルマさん。その子を離してあげてください。」
「……。」
カルマは手を離すと、少女は姉であろう二人の元へと駆け寄っていった。
「大丈夫だった?」
「へーきだよっ!」
「よかったわね。」
妹と心配している霊を見つめるレイラの瞳はなにか懐かしむようだった。
「ねぇ、貴方たち。」
三人の肩が跳ね上がり、おびえるようにレイラを見つめる。
「私の家族にならない?」
「「「えっ?」」」
彼女たちは考えさせてほしいと言い残し、姿を消した。翌日、カルマは館を後にすることにした。館前にはレイラが見送りに来ていた。
「もう行ってしまうんですか?」
「泊めてもらっただけで十分だからな。」
「そうですか…。」
「ひとついいか?」
「なんでしょうか?」
「なぜ、あの騒霊を家族に迎え入れようなんて言い出したんだ。」
彼女は館を見上げ、懐かしむように見つめた。
「姉に、似てたんです。」
「……そうか。」
あの姉妹は騒霊だ。おそらく、レイラは人間であるが故に苦労するだろう。
「そろそろ行く。」
「…わかりました。お元気で。」
「お前もな。」
レイラに別れを告げ、カルマはプリズムリバー邸を後にした。
アジアの話?知らない子ですね。
はい、というわけで最初はプリズムリバーでした。
騒霊はレイラの魔術で生まれたとよく言われますよね。
この話では、落ち込むレイラに負の力が働いたことで、無意識に誕生したという設定にしています。
それなら別に騒霊でなくてもいいのでは?
と思うかもしれませんが、彼女は家族と『賑やか』に暮らしたかった。
でも、『もういない存在』を求めてもしょうがない。
という二つのキーワードから騒霊が生まれたのです。
・・・・・・たぶん、おそらく(´・ω・`)
それでは、間違い等がありましたら、ご指摘のほどよろしくお願いします。
感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。