東方禁初幻譚   作:鈴華

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最近、DMMに登録しました。
言っておきますが、艦これじゃないよ?
かんぱにガールズってやつです。
楽しいでふ(●´ω`●)

それではどうぞ。


Ep,8 諏訪大戦 表裏一体

「諏訪子が暴走だと?」

「そうさ。」

 

カルマとスサノオの攻防は続く。刀と鎌が打ち付け合い、火花が何度も散っている。叢雲の効果により、風の刃がカルマに襲い掛かる。押されているのはカルマの方だ。しかし、それよりも彼の口にしたことの方が気になる。

 

「どういうことだ?」

「簡単な話だ。ここに来る途中、諏訪の巫女を斬ってきただけさ。」

「……なるほど。」

 

諏訪の国でなくてはならない存在、諏訪の巫女。なくてはならない役職ではあるが、彼女は諏訪子に役職と関係なく、親子のように暮らしていた。居候させてもらっていたカルマだからこそわかることだ。

 

「つまりは、アイツが斬られたことに対する怒り、か。」

「そういうことだ!」

 

叢雲の横一閃。カルマはバックステップで回避するも、風が追いかけてくる。案の定、切り傷が生まれた。これでは防ごうが避けようが、風の刃に襲われてしまう。

 

「どうよ、この叢雲。手に入れるのに結構苦労したんだぜ。」

「はぁ…。めんどくさ…。」

「あ?」

「風の刃が邪魔だと思っただけだ。だから、鎧を着る事にした。」

「?」

「第48禁忌魔法“キマイラ”。」

 

すると、カルマの立つ地面から何か液状のものがあふれてきた。それはカルマを飲み込んでいく。

 

「何する気か知らねぇが、させっかよ!」

 

スサノオは駆け出し、斬りつける。しかし、刃が通らない。カルマを飲み込んだ液体から、猛禽類のような腕が飛び出し、斬撃を止めたのだ。それだけでなく、風の刃も弾いている。スサノオは飛びのくと同時に、液体が弾け飛び、中からカルマが現れる。しかし、いつもの彼ではないことは一目瞭然だ。長めだった髪は更に伸び、黒く変色し、毛先の方には金色が残っている。顔の左半分を黒い仮面のようなものが覆っている。そして身体は黒い鎧のようなもので覆われていた。先ほどと全く違う姿にスサノオは首を傾げた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「なんじゃそりゃ?」

「第48禁忌魔法“キマイラ”。簡単に言えば、自分を化物に変える禁忌の魔法。第47禁忌魔法“堕天”の上位互換だ。」

「へぇ。どうでもいいが、楽しませてくれるんだよな?」

「無理だな。早急に終わらせる。」

「そんなに諏訪の奴らが心配か?」

「別に。俺には関係ない。」

 

一気に駆け出す。しかし、それは常人から見たら瞬間移動に見えるほどの速度だ。堕天はかろうじて軌跡が残るものの、キマイラはもう人間という枠から逸脱している。右腕を振るい、スサノオに襲い掛かる。スサノオはそれを寸前で反応し、叢雲で防いだ。しかし、そんな速度で駆け出せば、当然異常なほどの衝撃と風圧が加わる。スサノオはカルマの腕一振りで遠くに飛ばされてしまった。飛ばされている間、叢雲を地面に突き刺し、速度を和らげようとした。が、そこに追いついたカルマからの殴打が加わり、地面に叩き付けられてしまう。さらにバウンドして跳ね上がったスサノオに蹴りを加え、弾き飛ばす。

 

「くっそ、がああああああああああああ!!!」

 

飛ばされながらも、叢雲を振り、風の刃を飛ばす。しかし、カルマはそれを右腕で切り裂く。全くもって意味がない。

 

「くたばれ、ド低能!」

 

右腕の爪がスサノオに襲い掛かる。叢雲で防ぎ、火花が散る。

 

「うおおおおおおおおおっ!!」

 

スサノオは渾身の力でカルマの右腕を弾き飛ばした。勝った、そう確信した瞬間、スサノオは誤りだったと気づく事に遅れた。流石のスサノオでも、今のカルマの力を押し返せるほどの力はない。カルマがわざと力を抜いたのだ。そして、右腕の上がる勢いを利用し、体を回転させる。右足の爪がスサノオの体に裂傷を与え、血が噴き出した。大きな傷を負ったことにより、力が抜け、スサノオは地に伏した。

 

「はぁ…はぁ…。くそぉ、負けたか…。」

「あぁ、貴様の負けだ。」

「そうか…。」

 

決着はついた。そして、カルマがキマイラを解こうとした時だ。遠くから凄まじい衝撃波が襲ってきた。方角からして諏訪子のいるほうだ。そして、そちらを見たとき、大きな白い蛇が現れていた。

 

「言った通りだろ。あれは諏訪の祟り神の本性さ。」

「…ちっ。」

「行けよ。本当は心配なんだろ?」

「…俺には、どうでもいいことだ。」

「姉兄から聞いてんぞ。お前さん、素直じゃないらしいじゃねぇか。本当は行きたくてたまらないんだろ?それにオレはもう動けねぇからね。好きにしろい。」

 

事実、カルマはあちらに行きたくてしょうがなかった。心配でしょうがなかったのだ。彼は再び小さな舌打ちをすると、諏訪子の元へと駈け出していった。

 

 

 

水咲は諏訪子が駆け寄ると安心したように息を引き取った。水咲の身体には幾つもの斬り傷があった。それが致命傷となったのだろう。冷静に考えれば、神奈子がやったことではないことは明らかなのだが、水咲の死を目の当たりにした諏訪子が冷静でいられるはずがない。

 

「神奈子おおおおおおおおおおおオオオオオオオオオアアアアアアア!!!!!!!!!」

 

彼女から神力があふれ、衝撃波のように広がる。そして、辺りが瞬時に荒地へと変わり、地面は剥がれ、さらに荒れはててしまった。

 

「よくもおおおおおおおおお!!!」

「待て、諏訪子!私じゃ―」

「ミジャクジ様!!」

 

諏訪子の神力が集まり、形を成していく。そこには白く輝く大蛇が現れた。

 

「神奈子おおおおおおおおおお!!!」

「くっ!?」

 

蛇が襲い掛かる。神奈子はそれを躱したが、尻尾に地面へと叩き付けられてしまった。

 

「ぐぅ…。諏訪子、落ち着け!」

「うるさあああああああああああああああああああああああああああい!!!!」

 

蛇が大口を開けて襲い掛かる。神奈子は反応に遅れ、ミジャクジ様に喰われそうになってしまった。顎を両手両足で閉じるのを防いでいる状態だ。

 

「―ッ!!」

 

それだけでなく、地面が突き出し、壁を作った。神奈子をそこへぶつけるつもりだ。必至に口から逃れようとするが、ビクともしない。そして、蛇は壁に衝突し、土煙が舞いだす。

 

「はぁ…はぁ…。」

「少しは落ち着いたか?」

 

煙の中から男の声が聞こえてきた。そこには神奈子を抱えたキマイラ状態のカルマが立っていた。神奈子が壁にぶつけられる直前に間に合ったカルマが、通り過ぎざまに神奈子を救い出したのだ。

 

「も、もしかして、カルマか?」

「そうだ。」

 

カルマの変わり果てた姿に目を丸くする神奈子。それよりも今は諏訪子だ。彼女は興奮しきった状態でいる。完全に神奈子しか見えていない状態だ。

 

「神奈子ぉぉ…。」

 

後には横にされた水咲の姿があった。血の量からして致死量、もう死んでいるだろう。彼女からは生気を感じ取ることはできない。

 

「神奈子、下がっていろ。」

「だ、だが―」

「二度も言わん。邪魔だ。」

「―ッ!」

 

神奈子はまだ何か言いそうだったが、口を閉じ、後ろに下がった。それを確認すると、カルマは諏訪子に向かって駆け出した。そして、目の前で地面に右腕を叩き付ける。凄まじい衝撃にクレーターが生じ、瓦礫が襲い掛かる。一瞬の出来事に諏訪子の体勢が崩れた。その一瞬の隙を見逃さず、左腕を諏訪子の腹を思いっきり殴りつけた。

 

「うっ!?……あ。」

 

その衝撃と今まで使っていた神力が引き金となり、彼女は気を失ってしまった。倒れこむ諏訪子を抱き留める。

 

「神奈子。こいつを諏訪まで運んでくれ。俺は水咲を運ぶ。」

「…わかった。」

「そいつが目覚めたら、これからについて後で話し合おう。」

 

そして、諏訪大戦は幕を下ろす事となった。

 




水咲さんはお亡くなりになられました。
皆様、黙祷・・・。人(´・ω・`)
そんなわけでカルマはスサノオに勝利を修めたわけですが、
諏訪大戦の勝敗はあやふやのままです。

今回と前回使った禁忌魔法についての説明コーナー。
第48禁忌魔法“キマイラ” ― 身体をおぞましい化物に変える。堕天の上位互換であり、堕天よりも飛躍的に能力が上昇している。
応用“キメラパーツ・○” ― キマイラを部分的に発動することが可能。○には発動部位の名称が入る。

それでは、間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。



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