寒さに強い私ですが、風邪をひいたみたいです。
みなさんも気を付けてくださいね。
それでは、本編どうぞ。
諏訪の国からある程度離れた場所にカルマはいた。今頃、諏訪子と神奈子の一騎打ちが始まっていることだろう。
「ツクヨミの言うとおりだったな。」
離れたところに多数の神力を感じた。堕天している赤い左目で見てみると、カルマは押しかけた時、捕縛された神もいる。
「待ってたぞ、ド低脳共。」
「ツクヨミ様の縁者かなんだか知らないが、お前一人で俺たちを止められるのか?」
笑い声が聞こえる。明らかに見下し、馬鹿にしているのだ。たかが人間と。
「造作もない。貴様らド低脳には俺一人で十分だ。」
―第25禁忌魔法“ソウルイーター”―
彼の手に異質な大鎌が現れた。その鋒を相手に向ける。
「面倒なんだよ。さっさと済ましてやる。」
「やってみろ!」
一気に走り出す。手始めに、目の前で彼と話していた神を蹴り飛ばした。すると、面白いぐらいに飛ばされ、群れの中に突っ込んだ。辺りが静まり返る。
「どうした?来ないならこちらから行くぞ。」
カルマの声に我に帰る神たち。雄叫びとともに戦闘が始まる。だが、神速にも及ぶ速度と異常な力量による斬撃に戦場は、カルマの独壇場とかしていく。
「な、なんだお前は。本当に人間か!?」
「はっ。面白いことを教えてやる。」
カルマと鍔釣り合いになった神が怒鳴る。それに対し、カルマはニタリと笑みを浮かべた。
「俺はとうの昔に人間やめてんだよ!」
鎌を振り抜き、後ろから襲いかかろうとしていた神ごと切り裂く。彼の持つ鎌“ソウルイーター”は元々は魂を狩り取る能力を持つ。しかし、その能力を抑えることにより、普段の数倍の力量を発揮できる。堕天による身体強化とソールイーターによる異常な斬撃。この2つがあれば、諏訪子と神奈子が同時に来ても余裕で勝つことができる。
「どうしたド低脳共!その程度か!」
カルマの顔に笑みが生まれる。久々の戦闘で血が騒いでいるのだ。
「こいつに構うことはない!諏訪の国に攻め込め!」
何人かがカルマを無視し、諏訪の国に駆け出した。だが、カルマは止めることなく、目の前の神たちを切り捨てていく。
「行かないのか?諏訪の国が潰れるぞ。」
「無駄なことだ。」
既に対策はできている。カルマは、ここに来る前に、民に何があっても国から出ないように伝えている。そして第1禁忌魔法“拒絶”の応用である“拒絶結界”を張った。そう簡単に壊される結界じゃない。案の定、国に向かった神たちが帰ってきた。
「貴様、あの国に何をした!」
「結界を張っただけだ。」
拒絶結界がある限り、諏訪の国に入ることはおろか、近づくこともできない。
「ならば、貴様を倒せば済むことだ!」
「やってみろよ。」
「隙有り!」
1人の攻撃を防いでいる隙に、もう1人の神が斬り上げ、大鎌を弾いた。がら空きとなるカルマの身体。堕天しているとはいえ、これではひとたまりもない。
「死ね!」
―第48禁忌魔法“キマイラ”応用“キメラパーツ・胴”―
神の斬撃は通らなかった。逆に剣の方が折れてしまった。カルマの胴体部には化物のような鱗があった。
「なっ!?」
「残念だったな。」
鎌の柄を腹部にぶつけ、腰が曲がった神の顔面に蹴りを叩き込み、空中に上がったところで鎌を振り抜く。
「き、貴様、一体何者なんだ!?」
「しつけぇよ。もういいよな。」
すると、彼の足元から全員を覆い尽くす程、巨大な魔法陣が現れた。
―第16禁忌魔法“テンペスト”―
そして、光が打ち出される。だが、光が消えても全員が残っていた。
「は、はは。どうした?痛くも痒くもねぇぞ。」
「あーあ、終わった終わった。さっさと帰るか。」
「おい、無視すんn!?」
そこでようやく気づいたようだ。自分の身体の端から気化していくことに。しかも、それに痛みはない。あるのは意味のわからないという恐怖のみ。
「な、なんだこれは!?貴様、何をした!?」
「何をしたかって?教えてもいいが、貴様らが理解できる時間もねぇよ。」
すると、光に巻き込まれたカルマも気化していることに気づいた。
「ははは!!お前も消えていくじゃねぇか!馬鹿か!」
「・・・はぁ。言っておくが、俺は死なねぇよ。」
カルマは大鎌を振り上げると自分自身の腹部を貫いた。あまりのことに唖然とする。しかし、変化はすぐに訪れた。倒れこむカルマの身体が修復されていく。起き上がると感覚を確かめるように身体を動かした。
「まぁ、こういうわけだ。悪いな、全員消えろ。」
「ク、クソがああああああああああああああああああ!!!!」
襲い掛かる神たち。しかし、攻撃は届くことはなかった。彼に届く前に全て消えてしまったのだ。静寂が辺りを包み込む。静かに吹く一陣の風。
「・・・風?」
それはただの風ではないことはすぐ気づいた。まず、神力を感じる。そして、こんな平地で起こるはずのない乱気流。明らかに自然のものではない。
「わぁお。もう終わったのか。ま、いいか。」
そこにはいつの間にか1人の男神がいた。肩に一本の長刀を担いでいる。先の奴らとは違う膨大な神力。下手をすれば、ツクヨミとアマテラスに届きそうな力だ。
「お前さんがカルマだな。」
「そうだが・・・。」
「オレはスサノオノミコト。スサノオとでも呼んでくれや。」
「それで俺になんのようだ。」
「この強行派をまとめたのはオレだ。そして、オレはツクヨミとアマテラスの弟。2人からお前さんについて色々聞いてる。そんなわけで、オレと戦え!」
腰を沈めると、スサノオは一気に踏み込んできた。刀のひと振りを鎌で防ぐ。
「無駄だぜ!」
効果はすぐに現れた。防いだはずなのに、カルマの身体にいくつもの切り傷ができたのだ。慌てて距離をとる。ただの刀ではないのだろう。あの刀からも神力を感じることができる。
「こいつが気になるか?」
「まぁな。どういう仕掛けだ?」
「そうだな。オレの能力は“刃物の隠された能力を引き出す程度の能力”ってところだ。そんで、この刀は“天叢雲剣”って銘でな。こいつは“風を操る程度の能力”があるんだ。」
「・・・なるほど。つまりは、その刀に風を刃として乗せたわけだな。」
「おぅ。今のでそこまでわかるか。驚いたな。」
「禁忌魔法を理解してるんだ。これくらいわかるに決まっている。」
「なら、これならどうだ?」
スサノオは楽しそうに笑みを深めると、衝撃的な一言を放った。
「洩矢の神は暴走する。」
いきなりの登場、素戔嗚尊。
彼との闘争は次回というわけですはい。
今回使った禁忌魔法の紹介コーナー。
第25禁忌魔法“ソウルイーター” ― 大鎌を生み出す。斬られれば魂を刈り取られるが、その能力を抑えると、身体能力が上乗せさせられる。また、これは磔十字も同様の効果がある。
第48禁忌魔法“キマイラ”応用“キメラパーツ”については次回ということで。
なぜかって?次回出るからだけど?(`・ω・´)
それでは、間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。