東方禁初幻譚   作:鈴華

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寒くなってきましたねぇ。
寒さに強い私ですが、風邪をひいたみたいです。
みなさんも気を付けてくださいね。

それでは、本編どうぞ。


Ep,7 諏訪大戦 裏

諏訪の国からある程度離れた場所にカルマはいた。今頃、諏訪子と神奈子の一騎打ちが始まっていることだろう。

 

「ツクヨミの言うとおりだったな。」

 

離れたところに多数の神力を感じた。堕天している赤い左目で見てみると、カルマは押しかけた時、捕縛された神もいる。

 

「待ってたぞ、ド低脳共。」

「ツクヨミ様の縁者かなんだか知らないが、お前一人で俺たちを止められるのか?」

 

笑い声が聞こえる。明らかに見下し、馬鹿にしているのだ。たかが人間と。

 

「造作もない。貴様らド低脳には俺一人で十分だ。」

 

―第25禁忌魔法“ソウルイーター”―

 

彼の手に異質な大鎌が現れた。その鋒を相手に向ける。

 

「面倒なんだよ。さっさと済ましてやる。」

「やってみろ!」

 

一気に走り出す。手始めに、目の前で彼と話していた神を蹴り飛ばした。すると、面白いぐらいに飛ばされ、群れの中に突っ込んだ。辺りが静まり返る。

 

「どうした?来ないならこちらから行くぞ。」

 

カルマの声に我に帰る神たち。雄叫びとともに戦闘が始まる。だが、神速にも及ぶ速度と異常な力量による斬撃に戦場は、カルマの独壇場とかしていく。

 

「な、なんだお前は。本当に人間か!?」

「はっ。面白いことを教えてやる。」

 

カルマと鍔釣り合いになった神が怒鳴る。それに対し、カルマはニタリと笑みを浮かべた。

 

「俺はとうの昔に人間やめてんだよ!」

 

鎌を振り抜き、後ろから襲いかかろうとしていた神ごと切り裂く。彼の持つ鎌“ソウルイーター”は元々は魂を狩り取る能力を持つ。しかし、その能力を抑えることにより、普段の数倍の力量を発揮できる。堕天による身体強化とソールイーターによる異常な斬撃。この2つがあれば、諏訪子と神奈子が同時に来ても余裕で勝つことができる。

 

「どうしたド低脳共!その程度か!」

 

カルマの顔に笑みが生まれる。久々の戦闘で血が騒いでいるのだ。

 

「こいつに構うことはない!諏訪の国に攻め込め!」

 

何人かがカルマを無視し、諏訪の国に駆け出した。だが、カルマは止めることなく、目の前の神たちを切り捨てていく。

 

「行かないのか?諏訪の国が潰れるぞ。」

「無駄なことだ。」

 

既に対策はできている。カルマは、ここに来る前に、民に何があっても国から出ないように伝えている。そして第1禁忌魔法“拒絶”の応用である“拒絶結界”を張った。そう簡単に壊される結界じゃない。案の定、国に向かった神たちが帰ってきた。

 

「貴様、あの国に何をした!」

「結界を張っただけだ。」

 

拒絶結界がある限り、諏訪の国に入ることはおろか、近づくこともできない。

 

「ならば、貴様を倒せば済むことだ!」

「やってみろよ。」

「隙有り!」

 

1人の攻撃を防いでいる隙に、もう1人の神が斬り上げ、大鎌を弾いた。がら空きとなるカルマの身体。堕天しているとはいえ、これではひとたまりもない。

 

「死ね!」

 

―第48禁忌魔法“キマイラ”応用“キメラパーツ・胴”―

 

神の斬撃は通らなかった。逆に剣の方が折れてしまった。カルマの胴体部には化物のような鱗があった。

 

「なっ!?」

「残念だったな。」

 

鎌の柄を腹部にぶつけ、腰が曲がった神の顔面に蹴りを叩き込み、空中に上がったところで鎌を振り抜く。

 

「き、貴様、一体何者なんだ!?」

「しつけぇよ。もういいよな。」

 

すると、彼の足元から全員を覆い尽くす程、巨大な魔法陣が現れた。

 

―第16禁忌魔法“テンペスト”―

 

そして、光が打ち出される。だが、光が消えても全員が残っていた。

 

「は、はは。どうした?痛くも痒くもねぇぞ。」

「あーあ、終わった終わった。さっさと帰るか。」

「おい、無視すんn!?」

 

そこでようやく気づいたようだ。自分の身体の端から気化していくことに。しかも、それに痛みはない。あるのは意味のわからないという恐怖のみ。

 

「な、なんだこれは!?貴様、何をした!?」

「何をしたかって?教えてもいいが、貴様らが理解できる時間もねぇよ。」

 

すると、光に巻き込まれたカルマも気化していることに気づいた。

 

「ははは!!お前も消えていくじゃねぇか!馬鹿か!」

「・・・はぁ。言っておくが、俺は死なねぇよ。」

 

カルマは大鎌を振り上げると自分自身の腹部を貫いた。あまりのことに唖然とする。しかし、変化はすぐに訪れた。倒れこむカルマの身体が修復されていく。起き上がると感覚を確かめるように身体を動かした。

 

「まぁ、こういうわけだ。悪いな、全員消えろ。」

「ク、クソがああああああああああああああああああ!!!!」

 

襲い掛かる神たち。しかし、攻撃は届くことはなかった。彼に届く前に全て消えてしまったのだ。静寂が辺りを包み込む。静かに吹く一陣の風。

 

「・・・風?」

 

それはただの風ではないことはすぐ気づいた。まず、神力を感じる。そして、こんな平地で起こるはずのない乱気流。明らかに自然のものではない。

 

「わぁお。もう終わったのか。ま、いいか。」

 

そこにはいつの間にか1人の男神がいた。肩に一本の長刀を担いでいる。先の奴らとは違う膨大な神力。下手をすれば、ツクヨミとアマテラスに届きそうな力だ。

 

「お前さんがカルマだな。」

「そうだが・・・。」

「オレはスサノオノミコト。スサノオとでも呼んでくれや。」

「それで俺になんのようだ。」

「この強行派をまとめたのはオレだ。そして、オレはツクヨミとアマテラスの弟。2人からお前さんについて色々聞いてる。そんなわけで、オレと戦え!」

 

腰を沈めると、スサノオは一気に踏み込んできた。刀のひと振りを鎌で防ぐ。

 

「無駄だぜ!」

 

効果はすぐに現れた。防いだはずなのに、カルマの身体にいくつもの切り傷ができたのだ。慌てて距離をとる。ただの刀ではないのだろう。あの刀からも神力を感じることができる。

 

「こいつが気になるか?」

「まぁな。どういう仕掛けだ?」

「そうだな。オレの能力は“刃物の隠された能力を引き出す程度の能力”ってところだ。そんで、この刀は“天叢雲剣”って銘でな。こいつは“風を操る程度の能力”があるんだ。」

「・・・なるほど。つまりは、その刀に風を刃として乗せたわけだな。」

「おぅ。今のでそこまでわかるか。驚いたな。」

「禁忌魔法を理解してるんだ。これくらいわかるに決まっている。」

「なら、これならどうだ?」

 

スサノオは楽しそうに笑みを深めると、衝撃的な一言を放った。

 

「洩矢の神は暴走する。」

 




いきなりの登場、素戔嗚尊。
彼との闘争は次回というわけですはい。

今回使った禁忌魔法の紹介コーナー。
第25禁忌魔法“ソウルイーター” ― 大鎌を生み出す。斬られれば魂を刈り取られるが、その能力を抑えると、身体能力が上乗せさせられる。また、これは磔十字も同様の効果がある。

第48禁忌魔法“キマイラ”応用“キメラパーツ”については次回ということで。
なぜかって?次回出るからだけど?(`・ω・´)

それでは、間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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