東方禁初幻譚   作:鈴華

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課題にひと段落つきました。
でも、まだ終わってない・・・orz
現実逃避にお空でも描いてこよ・・・

では、本編どうぞ。


Ep,5 再会

最初のうちは彼を不審がる人が多かったのだが、洩矢の巫女である水咲の命の恩人であること、洩矢諏訪子に受け入れられたことを知ると、よく接してくれるようになった。そして、ある日のこと―

 

「ふざけないでよっ!」

 

諏訪子の怒った声が神社の中から聞こえてきた。幸い、水咲は外出している。カルマは屋根の上で日向ぼっこをしていた。諏訪子の声に安眠妨害されたが、一応様子を見るために社内の中に入ると、諏訪子が手紙を前に怒りをあらわにしていた。

 

「どうした?外まで声が漏れてんぞ。」

「これ読んでよ!」

「あ?」

 

諏訪子が持っているものは、大和と言われる国からの手紙だった。渡された文面にはこうあった。

 

『諏訪の国、引き渡しを承諾されたし。拒否した時、我らは全力にて攻め落とすのみ。』

「ふぅ~ん・・・。」

 

カルマはこの手紙が一瞬で偽物だと理解できた。何故なら、差し出し人の名前が彼のよく知る名前だったのだ。

 

「諏訪子。ちょっと大和に行ってくる。」

「はぁ!?何言ってんの、カルマ?こんな手紙が来てるんだよ?危険だよ!」

「心配は不要だ。夕暮れまでには帰る。水咲にもそう言っといてくれ。」

「ちょっ!」

 

諏訪子の静止の声も聞かず、カルマは片手を振りながら、諏訪の国を出て行った。道なりに少し歩いてから、立ち止まる。辺りには誰もいないようだ。

 

「第3禁忌魔法“開門”。」

 

手を虚空にかざす。すると、目の前の空間が硝子のように砕け散った。その先には暗闇が広がっている。カルマは迷うことなく、その闇の中へと足を踏み入れた。

 

 

 

場所は大和の国。街は賑わい、今日も平和なようだ。その一角にある大きな神社。洩矢神社よりもはるかに大きい。その中では、神様たちが集まり、諏訪の国をどう“説得”するかの話し合いをしていた。そして異変は起きた。話し合いをしている部屋の空間の一部が硝子のように砕け散ったのだ。

 

「な、なんだ!?」

「なにが・・・!?」

 

状況は混乱している。すると、割れた空間から一人の男が現れた。黒い服に金髪。カルマだ。

 

「突然で悪いな。」

「・・・カルマ!?」

「やはり、生きていたか!」

 

そこにはあのツクヨミとアマテラスがいた。2人はここでの首相といったところだろう。

 

「ツクヨミ様、アマテラス様。彼は一体・・・?」

「カルマ。我々、姉弟の友人だ。」

「なっ!?」

 

あたりがざわめく。2人は今、神の中でも最高位に近しい存在だ。その友人となると、どれほどの人物なのかと思うに決まっている。

 

「久しぶりだね、カルマ。元気だった?」

「お陰様でな。ところで一ついいか、アマテラス?」

「なぁに?」

 

カルマはポケットから諏訪子宛ての手紙を見せた。その手紙には差し出し人の名前は“アマテラス”とある。彼の知る限り、彼女はこんな物騒な文章を書かない。それに字の癖も違う。

 

「これはお前の出した手紙か?」

「・・・・・・。」

 

手紙を受け取り、読んでいく。彼女の答えは“否”。首を横に振った。

 

「私、こんな手紙書かないよ?」

 

カルマが、手紙を全員に見せるようにした事にはわけがあった。

 

「これは貴様が出したものだな?」

 

会議に集まっている者に紛れている神を睨みつける。

 

「な、なにを証拠に!」

「貴様は、俺がこの手紙を出した時、明らかに焦った。」

「そんなことはない。その手紙は私が出したものではない。」

「へぇ・・・。」

 

カルマが怪しく笑みを浮かべる。

 

―第39禁忌魔法“ダウト”―

 

「本当に出していないんだな?」

「私ではnゴハッ!?」

 

突然、その神は血を吐き出した。体勢を崩し、膝をついて咳き込む。いきなりのことに辺りが騒然とする。カルマは血を吐き出した神を蔑むような眼で見つめる。

 

「嘘をつくからそうなる。」

「カルマ。お前、何かしたのか?」

「第39禁忌魔法“ダウト”を使ったんだ。無演唱で。」

「無演唱を使えるようになったのか。」

「まぁな。」

 

ツクヨミは膝をついている神に近づく。

 

「貴様、名を偽り、諏訪の国を脅迫したのだな。」

「ち、違います!私は―」

「第39禁忌魔法“ダウト”。嘘を見抜くだけの魔法だ。無差別にな。それに嘘の大きさによっては命を落とす。つまり、貴様は嘘をついていた。違うか、ド低脳。」

「―ッ!」

 

罵倒された神はカルマを睨みつける。すると、そばにいたもう一人の神がカルマに襲いかかってきた。どうやら、一人での独断ではなく、不満を持つ一派によって企てられたものだったようだ。

 

―第1禁忌魔法“拒絶”―

 

神の拳がカルマから逸れた。連続で殴りかかろうとしても、それはカルマに当たることなく、拳の方から逸れていく。

 

「く、くそっ!」

「やめとけ、当たんねぇよ。」

 

彼の魔力は長い間蓄えられた。それだけでなく、月の方では、皆を救ってくれた英雄として称えられている。そのためか、魔力は異質になり、無演唱も可能となったのだ。異質変化した魔力は下位の神なら凌駕できる程に変わっている。取り敢えず、血を吐いた神とカルマに襲いかかった神は捕らえられた。そして、念のためということもあり、部屋の中にはツクヨミ、アマテラス、カルマ、そして、紫がかった青いセミロングに、背中には複数の紙垂を取り付けた大きな注連縄を輪にしたものをつけている女性が残った。彼女から神力を感じることから、彼女も神なのだろう。

 

「あぁ、紹介がまだだったな。彼女は八坂神奈子。私たちと一緒に大和を築いてきた風雨の神だ。」

「八坂神奈子だ。よろしく。」

「カルマだ。」

「早速で悪いのだが、カルマ。お前がその手紙を持っているということは、お前は諏訪にいるのだな。」

 

脅迫の手紙は諏訪の国宛てに送られたものだ。それを無関係と言えるカルマが持っているとなると、そうとしか思えなかったのだろう。

 

「そうだな。俺は今、諏訪にいる。」

「・・・敵対しちゃうの?」

「俺を住まわせてくれている恩があるからな。仇で返すつもりもない。」

「そっか・・・。」

 

アマテラスが悲しそうな顔をした。2人とって、彼は友人だ。敵対することになることが辛いのだろう。だからといって、それを表に出すほど、カルマとツクヨミは甘くない。

 

「それで、手紙の件以外に何か用があるんじゃないのか?」

「あぁ。それなんだが―」

 




ツクヨミとアマテラスとの再会でしたー。
そんなこともつかの間いよいよ始まる諏訪大戦。
どうなることやら。

それでは今回カルマが使った禁忌魔法の紹介ですよっと。
第3禁忌魔法“開門” ― 空間を硝子のように砕き、空間と空間をつなげる。スキマに似ているがこれは「界」と付く空間ならどこへでも繋げることが可能。例えば、冥界、魔界、そして「平衡世界」、「異世界」など。
第39禁忌魔法“ダウト” ― 嘘を見抜くだけの魔法。だが、無差別のため、発動中に誰が嘘をついても効果が現れる。

それでは、間違い等がありましたらご指摘のほどよろしくお願いします。感想も待っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

一読者のマツタケ様が前作主人公を描いてくれました。
あざっす(*´▽`*)
http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im4364945
これはお返しを描かなければ・・・(いつとは言ってない

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