もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

9 / 87
ブラキディオスside


生きる事【改】

今日、イビルジョーがどっか行った。やったぜ。

 

だけど小型の動物は粗方食い尽くされたぜ。クソッタレが。

 

序でに鉱石を食った後、何日か寝込んだせいで日付感覚が完全に狂ったぜ。チクショウが。

 

…まぁ、イビルジョーがどっか行っただけマシと考えよう。命の危機が完全に去ったと同義だし。

 

取り敢えず、当分は鉱石を食う事になりそうだ。あのサラダみたいな、物足りない感じは好きじゃ無いが、飢え死ぬよりかはマシである。

 

この前食べた鉱石は、幸運にもウラガンキンが砕いた物がそのまま残っていたので、其処から頂戴した。相変わらずの寄生っぷりだが、しょうがない事でもある。

 

が、しかし、そのウラガンキンが掘った穴も閉じ、此れからは完全に俺個人の力で生きていかなければならない。先ずは鉱石を掘り出すとしよう。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「…グルァ」

 

甘かった。鉱石を砕くなんて真似はウラガンキンだからこそ出来たのであり、俺のようなブラキディオスの成り損ないが出来る芸当では無い。

 

この鉄柱のような拳では鉱石を拾い上げる事は出来ても、割砕く事が出来ない。粘菌でも有れば話は別だったのだろうが、無いものは無い。要は詰みだ。

 

…まぁ、だから何だと言う話だけれども。

 

割れない砕けない。だから食えない餓死するしか無いというのは、単純に諦めているだけだ。数日前の見つかれば即死ルナティックモードに比べれば、食料が取れない等苦労の内にも入らない。

 

砕けないのならば、砕けるまで殴るまでだ。ウラガンキンは一撃でこんなもの砕けるのだろうが、俺はそんな域に居ない。ならば何度でも、そう何度でも殴り続ける。

 

俺は拾った鉱石を殴り始めた。

 

鉱石…と言うか、鉱石の入った岩石は途轍もなく硬い。俺が鉱石を見つけられたのは、ひとえにこの硬さがあったからだ。何せ溶岩に浮いていた位だからな。

 

桃太郎かよと思ったのは内緒だ。

 

さて、先ずは一発。思いっきり振りかぶって殴る。ドスッと拳が岩石に突き刺さる…なんて事はなく、鈍い音がして弾かれた。

 

二発目。これも同様に弾かれる。三発目、四発目…。ふと思い立ち、右左と交互に打ち出した。するとこれが面白いように入る。

 

自分は右利きだと思っていたが、この身体にそんな物は無いらしい。左腕であろうと右腕同様に扱えた。

 

何度も殴る内に、岩石から鉱石とおぼしき物が転がり出てくる。その数、約二、三個。ウラガンキンと比べると圧倒的に少ない。

 

序でに俺の両拳はボロボロになっていた。甲殻が砕けて爪のような物が見えている。思ったより痛みは無いが殴ると痛い。カサブタが剥がれた様な痛みに近いだろうか。

 

結局その日は数個の鉱石で我慢した。腕痛いし、殴れないんだからしょうがない。

 

ーーーーーーーーー

 

朝起きてみれば完全とは言えないものの、砕けた拳が復活していた。薄くだが甲殻の様な膜が出来ている。竜の再生力は人間以上らしい。

 

そんな訳で今日も岩石を殴る事にする。治ったなら殴れ。じゃないと死ぬ。だって肉が無いし。

 

ただ、一晩寝るだけで傷の治る超生物と言えど、そう簡単に強くなる訳では無い。案の定、昨日よりも取れた鉱石は少なかった。いい加減飢え死にしそう。

 

…そうだ、火薬岩食べれないかな?アレなら掘らなくてもいいし、何より量がある。ネックは爆発といった所か…。一応、ウロコトルを退けた立役者でもあるしな。

 

 

そんな訳で火山山頂。早速火薬岩を発見。…匂い…食えそう。何処となく肉っぽい。人間的に言えば、クラッカーの様な匂いに近いだろうか。要するに火薬の匂いだ。

 

自然界にこうしてドンッ!と火薬がある辺り、何だかんだでモンハンの世界なんだと実感させられる。但し、リアリティは天元突破。今迄だって一歩間違えていたらあの世行き確定のルナティックモード。…せめて人間になりたかった…。何だってこんな修羅の国なんだろう。もうちょっと生きやすくても良いんだよ?

 

イビルコワイ。

 

…止め止め。段々鬱っぽくなってる。あんまり考え無い様にはしているけど、モンハンには古龍とか言う頭の可笑しい存在がいるんだ。設定上の話ではあるけど、古龍の大半は自然災害級。人類が滅亡するレベルの被害を齎すんだぞ。

 

例え成竜になったとしても勝ち目ゼロ。勿論イビルよかよっぽど怖い。…やっていけるのか俺。

 

 

…はぁ…食うか…。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

絶食二日目。

 

…OK、言いたい事は分かる。分かるが、一応説明させてくれ。

 

あの時俺はどうにかしてたんだと思う。何だよ、火薬岩食うって。どう考えても爆発するだろうが。

 

辛うじて死ななかったが、二、三メートル吹っ飛ばされた上に、口周辺の甲殻はズタボロになった。もうね、バカかと。何処に爆弾平らげるど阿呆がいるんだろうか。そうです俺ですクソッタレ。漫画じゃねーんだぞオイ。

 

…正直死にそうだが、何とか口が治った。死に物狂いで殴り続けた岩石から出た屑鉱石をしょっぱい何かと共に吞み下す。もうね、竜の涙出まくりですよ。生きるって素晴らしい。

 

因みにだが、死に物狂いで殴り続けた腕は折れている。…そう、『折れている』何度でも言うが『折れている』。拳からは甲殻が剥がれ落ち、二本あった爪は完全に砕け、肘から先の骨と肩から先の骨が折れた。しかも両腕。

 

甲殻が剥がれ落ちていた事により、腕全体の強度がガタ落ちしていたようだ。外骨格って大事だね!…流石と言うべきか、腕の骨はもう繋がっている。まぁ、あくまで繋がっただけだ。当然殴る事など出来ない。

 

現在は頭突きで岩砕き中だ。…もうやめようかなこれ…。

 

あ、いま首筋がピキッて…。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

「グ、グルル」

 

し、死ぬ…!マジで死ぬぅぅう!!

 

 

グギュルゴゴゴ!!

 

 

腹痛ぇ!チクショウ!なんか絶対可笑しいと思ったんだよ!明らかに毒々しいからやめとこうと思ったさ!あぁ思ったよ!虫が食ってるから大丈夫だと思ったんだよ!クソッタレ!過去の自分をぶん殴ってやりてぇ…!

 

キノコなんか食うもんじゃねぇよ…!

 

幾ら食糧難でも食っちゃ悪いもんぐらい見分けようぜ俺!あぁそうですよ!紅いキノコを試しに買ってみたら、予想外に美味かったもんでつい調子に乗っちまったんだよ!

 

紫は今後一切食わねぇ!奴は悪魔だ!紫の悪魔だぁ!

 

うぐごごご…あ、やべ、出る…!

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

キノコ、草、木の実はダメだ。食っても全く腹の足しにすらならない上に、ハズレしかない。しかも大抵が殺しに来てる。…特に黄色と紫のキノコはヤバイな。マジで殺しに来てる。水色のは別の意味で怖かった。食った後の記憶がねぇ。

 

…栄養にはならなくとも、腹さえ膨れれば何でもいいと思って見境なしに食った結果がコレだよ。わざわざ麓まで降りてきたってのに、飛んだ無駄骨だチクショウ。

 

魚と虫は捕まえる事が不可能。魚は押し潰してしまうし、虫に至っては小さ過ぎて食ったかどうかすら判らない。

 

と言う訳で、現在の俺の食料は肉と岩だ。しかし肉は不足し、岩は掘り出すのに多大な労力を必要とする。首の骨にヒビが入った今、力の限り岩石を殴るなんて芸当は不可能。つまり詰みだ。

 

再び絶食生活の始まりである。…ひもじい。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

岩石殴りと火薬岩特攻を繰り返す事一週間。何だか色々突っ込みどころのある近状報告だが事実である。

 

骨折その他諸々の傷を乗り越えた後、俺はある事に気付く。甲殻の頑丈さが上がっていたのだ。

 

コレは一種の超回復だと思われる。確かモンハンには普通の甲殻の他に、堅殻や重殻と言った物が存在していた。それらの説明文をじっくり読んだ事は無いが、長年生きた事により厚みを増した…うんちゃら等を書いてあった…ような気がする。

 

うんまぁ要するに、どんな竜でも幼少期がある以上、その身を守る甲殻は歳を重ねるに連れて厚くなるよねって話だ。つまり、どんな竜にも防御力を増す仕組みが備わっていると言う事にもなる。

 

ならばそれが過度の怪我により、促される可能性もあるんじゃないかと。

 

そんな思考の元、出来るだけ殴る事をやめない様にした。勿論火薬岩に挑戦するのも忘れない。今の俺のライフワークは、岩を殴って爆弾に突っ込む事だ。

 

毎度毎度死ぬんじゃないかと思うが、何だかんだで摂取カロリーは増えた。火薬岩もカケラなら食えるので、大きな火薬岩に突っ込む事を止める事は無いだろう。俺だって成長するのだ。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

ニートが卵ニートから幼竜ニートになり、小竜ニートになった。しかしニートである。だがそれは戦うニートだ。

 

朝か夜かも判らぬ火の山にて、岩を殴り爆薬に突っ込む。それは己との戦いであり、自然への挑戦でもあった。

 

甲殻は砕け、筋肉が傷付き、骨が折れ、筋を痛める。それでも尚拳を止める事は無く、爆薬へ頭突きする事を止める事も無かった。己を壊し、食って治し、また壊す。

 

そんなある種の修行を行う小竜ニートは、ある日唐突に気付いた。

 

 

あれ、コレ火薬岩に岩投げ込めば良いんじゃね?

 

 

と言う訳で絶賛落ち込み中の小竜ニートこと俺だ。毎度思うが、気付けよ俺。…あれ、もしかして俺って頭悪い…?

 

いやまぁ、こんな文明らしさの欠片も無い生活してたらそうなるか。何だかんだで順応してるけど、一応一般人の普遍な一学生に過ぎないからね?しかも人間じゃ無いと言う鬼畜モードだし。

 

技術チートだとか神様転生だとかを鼻で一蹴してクソ掛けてふぁっくしてる様な状況なのを忘れる事なかれ。だから脳筋気味なのも仕方ないのだ。人目も憚らずゲロしたりクソしたりしてる時点でお察し下さい。

 

衣食住の内、食しか満たされて無いってどういう事なの…(震え)。しかも服は一生縁なさそうだから強制露出魔だし(白目)。トドメに住処は溶岩近くの平地。マイン○ラフトか此処は(白目痙攣)。

 

ーーーーーーーーー

 

轟く爆音、吹っ飛ぶドラゴン、紅い月を背後にして無様に空を舞う。そうです俺です。火山にて無期限サバイバル生活約二ヶ月(?)のブラキです。

 

ヤバイね、火薬岩舐めてたわ。誰だこんな危険物ダイナマイト代わりにしようとか言ったヌケサクは。

 

…此処は大自然。何が起こるかわからない。ゲーム内では一定量しか取れない火薬岩だが、此処では幾らでも取れる。だがしかし、その品質は全くもって一定では無い。

 

要するにアレだ。阿保みたいに苦労して火薬岩かき集めて、その上に岩石積み重ねて衝撃与えた所で爆発しないのだ。起きても爆竹程度でしか無い。

 

それにムキになって倍以上積み重ねた結果がこれだよ。この程度の爆発ではビクともしない己の甲殻に、呆れればいいのか感謝すればいいのか…。

 

しかしそれはさておき大豊作である。今まで壊せずに溜まっていた岩石が一気に食料の山と化したのだ。フヘヘ、今日は祝い…じゃ…。

 

 

…。

 

 

 

…さて、皆さんは布団をダイナマイトで吹っ飛ばしたシュール過ぎる映像を見た事はあるだろうか?俺はある。序でに言えばその映像が今目の前で再生されていた。

 

強過ぎる爆発により地面には馬鹿でかい穴が開き、もう既に溶岩が入り込んでいる。木っ端微塵に粉砕爆砕大喝采された岩石の粉が、無情にも風に流されて行く。

 

竜の涙が大出血バーゲン大サービスを開催した。アァァンマァァリダァァアア!!と泣き叫びたい。と言うか叫んだ。

 

「グルァァァアア!!(アァァンマァァリダァァアア!!)」

 

こうして俺は、知識チート等糞食らえという事を学んだのだった。自然が強敵っつーかもうほぼラスボスである。こんなもんどう打ち勝てと言うのだチクショウメ。




色々と妄想設定が出て来ました。
文章構成がズタボロなのは仕様です。
ご容赦ください。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。