もんすたーな世界にもんすたーで転生?   作:ひなあられ

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ブラキさんに新しい粘菌が出来たようです。



新生緑化粘菌

「…んー!なんか綺麗になったなぁ。

空気が澄んでるぜ。」

 

「坊主ー!」

 

ドドドドドドドドドド!!

 

「うわっ!?駆け寄ってくんなし!」

 

ゴッ!

 

「ヘブッ!?」

 

「…あ。」

 

やべ、粘菌変更すんの忘れてた。

せめて雷撃粘菌にしとくべきだったな…。

どうなるんだコレ。

 

「いてて…酷ぇな坊主。

何も殴ること無いだろうに。」

 

「むさいおっさんが駆け寄って来たら、むしろ当然の反応だと思うのは俺だけか?」

 

そんな軽口を叩きながらも、内心物凄いハラハラしていた。

何が起こるか分からない新粘菌。

下手すりゃ命に関わる事に…。

 

「うぐっ!?なんか体が痺れて来やがった…。

坊主…この粘菌は一体…?」

 

「あ、あはは…。まぁ、頑張れ。」

 

「お、おい坊主!?」

 

そうこうしている内に、おっさんに付着した粘菌が活動を始めたようだ。

顔に着いた緑の粘菌は、みるみるうちにその範囲を広げ、数秒で全身に及んだ。

更にそこから生えまくるキノコキノコキノコ…。

麻痺睡眠毒だけじゃない。赤色、青色、紫色、とにかく大量のキノコが生えまくっていた。

 

まだまだ止まらない。

 

キノコが生えた下から、これまた大量の植物。

この頃になると、おっさんの手足から根のような物が伸び、養分を絶え間なく送っているようだ。

薬草だけじゃない。何やら赤色をした実や、青色の実。白いシダのような物から青い海藻っぽい物まで。

とにかくありとあらゆる草が生えて来た。

もうおっさんの形をした色とりどりの何かしかそこに無い。

 

…この粘菌…もしかして…。

大地の循環そのものを起こす粘菌なんじゃ…。

キノコが生え、その菌糸を頼りに草が伸びる。

そして、枯れた草を頼りに伸びるのは…。

 

ズアァァァアアア!!

 

「ぐおぅっ!?」

 

樹木だ…。

あーあー、おっさんが巨木に飲み込まれちゃったよ。

どーすんだこれ。

多分死ぬことは無いんだろうけどさ…。

あんだけの薬草類があれば、状態異常に掛かっても、すぐに治るだろうし…。

養分は大地や空から得ているらしく、おっさん自身はなんとも無さそうなのが救いかな…。

取り敢えず、助けますか。

 

尻尾を伸ばし、木に差し込むように入れてみる。

 

「おっさん、捕まれ。」

 

「無理だ。木に絡め取られている上に、痺れたり回復したり気持ち悪くなったりでとても動ける状況じゃねぇ…。」

 

「…うーん…。」

 

多分放っておけば、そのうち木が枯れて脱出出来ると思んだけど…。

それまで放っておくのもなんかなぁ…。

粘菌を雷撃粘菌に変え、殴ってみる。

 

「セイッ!」

 

バチッ!

 

「アバババババ!?」

 

「…あ、ごめんおっさん。」

 

おっさん、雷属性に弱いの忘れてた…。

大丈夫かな?

 

だが、ここで二次災害。

雷を使ったせいで木全体を攻撃してしまった。

この木を構成していた物の中には、爆発物も混じっている。

つまり…。

 

ドーーーーーン!

 

「グホォッ!?」

 

「お、おっさーん!」

 

木が爆発し、おっさんが吹っ飛んでいった。

見た限り目立った傷は無いので、多分大丈夫だろ。

 

「ゲホッ!ゴホッ!

…坊主…その攻撃、エグすぎるぞ…。」

 

「あぁ、うん。俺も思った。

少し意識して威力弱めて使うわ。」

 

「そうしてくれ。

下手すりゃ死人が出るぞ。主に精神的な面で。」

 

「りょーかい。」

 

新粘菌。命名『緑化粘菌』

危ないので多用しないようにしよう。

まぁ、出し惜しみすると死ぬのがこの世界なので、容赦無く使っていくけどね。

 

「おっと、目的を忘れる所だった。

坊主、お前何したんだ?嫁の病気がすっかり治っちまったぞ。

しかもここら一帯の嫌な気配まで消えちまってる。

どういうことだ?」

 

「あぁ。それな。

なんかウイルスの大元ぶっ叩いたら、ウイルスが綺麗さっぱり消えちゃってさ。

多分それが原因。

詳しくはこのガキに聴いてくれ。

多分よく知ってると思うから。」

 

「ギャウ!」

 

「…教える気はねぇってか?」

 

「ギュウ!?」

 

「まぁ、そうだな。あんまり知られると面倒だし。」

 

「ギュウ…。」

 

「そうか…。まぁいい。

何はともあれ異変は止まったんだ、それでいいか。

来てくれ。俺の妻を紹しよう。」

 

「ん。分かった。」

 

のっしのっしと歩き始めるおっさん。

器用に前足を浮かせたまま歩く姿は、やっぱり飛竜なんだなぁと感じる。

 

…俺、空飛べないしね。

人型ならいけると思んだけどなぁ…。

竜の時は甲殻や器官の比重が重すぎて、空気を蹴り飛ばしても浮かばない。

地面は別だが。(その代わり、地面にバカでかい地割れを作ります。まさに地形クラッ(ry)

 

まぁ、音速越える動きを地上で行うには、この重さが必要不可欠なんだけど…。

俺がとんでもなく軽快な動きが出来るのも、粘菌以上に体重によるものが大きい。

いつからこんなに重たくなったかは定かでは無いが、幼少期のウラガンキンを吹っ飛ばした時点で、もう始まってたと思う。

どう考えても、吹っ飛ばされるのって俺の方でしょ、アレ。

後はギターの重さとかね。あれ、俺の甲殻製だから。

 

…ちょ、ガキ。よじ登って涙目でペチペチすんなし。

罪悪感とか色々ヤバいから。拗ねんなよ。

 

「アラアラ♪随分と懐かれているのね♪

私には怯えて近づいて来ないのに…。」

 

「当たり前だろうが。可愛さの余り、突進で抱き着く親に誰が懐くって言うんだ。

いい加減節操ってもんを覚えやがれ。

坊主、これが俺の妻のリーロックだ。

よろしくしてやってくれ。」

 

「よろしくお願いしますね♪」

 

「…濃っ!」

 

「…ギュゥゥゥ!((((;゚Д゚)))))))」

 

ヒシッ!

 

「…苦労したんだなぁ、お前。」

 

現れたのは黒轟竜。

それもおっさんより少し大きいぐらいの。

雰囲気はおっとりとしたお母さん風。あのヤンデレ気質はなりを潜め、安心感が半端ない。

話を聞く限り、そうでも無いみたいだが。

それより、なんだこのキャラの濃さ。

ナルガ親子が霞んでるじゃないか。

 

…ガキ、尻尾にしがみつくのはいいが、振り落とされるなよ?

尻尾に関しては、結構無意識で動かしてるから、どう動くかわからんぞ。

 

緑化粘菌は現在停止させており、付着して身動きが取れなくなるという事がないようにしている。

本来ならば、操作する事によって付着する事を防げるのだが、緑化粘菌は思った以上に厄介な粘菌だった。

どうやら死滅させてしまった粘菌が二つも入っているせいか、矢鱈と生命力が高い。

狂竜粘菌を使用していても稼働するようで、壊れた側から再生、復活を繰り返し、死滅する事が絶対にないようになっている。

更に、常時超活性化しており、角や腕、尻尾や足に付いている粘菌が、その繁殖域はほぼ全身に至るまでになっており、まるで緑と黒の迷彩状態のようだ。

しかも停止させた種の状態でも、微妙に活動を続けているようで、エネルギーを少し送るだけで即活性化する。

 

危ないってレベルじゃない。

殆ど爆弾のような物だ。

まぁ、爆発しても、あまり被害は無いのだろうけど。

せいぜいここら一帯が密林状態と化すだけだ。

しかも状態異常付きな癖に即回復する謎エリアとして。

 

「…もう夜が近いな…。

坊主、俺の家に泊まっていかないか?

んでもって互いに昔話でもしようや。」

 

「いいねぇ。

お言葉に甘えて泊まって行こうかな?

おっさんの話も聞きたいし。」

 

「よーし、決まりだな。

リーロック、案内頼む。」

 

「わかりました。お酒はいるかしら?」

 

「俺の分だけな。こいつまだ子供だし。」

 

「えぇ!?そうなんですか!?」

 

「そーですよ。まだ一年も経ってない赤ん坊ですよ。

ちょっとばかし成長が早かったんですよ。」

 

「そうですか…。私も一緒にお話を聞いてもいいかしら?」

 

「どーぞ。」

 

「ありがとうございます♪家はこっちですよ♪」

 

そう言って、リーロックさんは旦那さんと一緒に歩き始めた。

イチャイチャって訳でもなく、まるでそこが私の定位置だと言わんばかりに。

 

…前世の両親もこんな感じだっけ。

おしどり夫婦って訳でも無いが、かと言って離れる訳でも無く。

それが自分達の居場所だとお互いに分かり合っているような…。

 

「…元気にしてるかなぁ…。」

 

ポツリポツリと思い出して来た前世の記憶。

今までは喋りたくても喋れなかったが、今は違う。

やっぱ話すべきなんだろう。

もしかしたら話す内に何か思い出すかもしれん。

 

もし、それが原因で古龍会議に掛けられたりしたら…まぁ、その時はその時だな。

どうにかなるだろ。

さて、何から話そうか…。





ブラキさんは過去を話すようです。
次回、おっさんの秘密が…?

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